〒500-8847 岐阜県岐阜市金宝町1-11

ブログ BLOG

133. アーモンドを食べると目こうなります!

今回はアーモンドを食べ続けると目にどのような健康効果があるのかということに関してお話させて頂きます。

★★★

このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/8o1bT24tDuQ

★★★

 

よく患者さんから目にとってよい食事ってどのようなものがありますか?と聞かれます。ルテインのようなカロテノイドを多く含んだブロッコリーやほうれん草、卵などを中心に摂ることをおすすめさせて頂いてますが、ナッツもオススメです。ナッツはコンビニやスーパーで気軽に買うことができますよね。何故ナッツがおススメかというと

①不飽和脂肪酸という身体に必要な良い脂肪が多く

➁マグネシウムや亜鉛、のようなミネラルも多い

➂ビタミンも含んでいますね 特にビタミンEが多いです、そして

④食物繊維が多い

という特徴があるからです。ルテインなどは多く含まれていませんが、その他の目にとって大切な栄養素がぎゅっと小さな1粒に詰まっています。


ナッツにはくるみや、カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンドなど色々あってどれもいいんですが、少しずつ含まれている成分が違います。今回はその中で最近報告されたアーモンドの健康効果に注目して、アーモンドに含まれている成分と、その成分がもたらす目への影響に関してお話させて頂きます。


アーモンドは美肌効果やダイエットに向いているとされていて人気のあるナッツなんですが、

目にとっても必要な成分を多く含んでいるのでおススメしています。それは

①抗酸化ビタミンのビタミンEが全てのナッツの中でトップクラスに多いです。

アーモンドの推奨量は1日あたり25粒程度を推奨していますが、25粒で1日に必要なビタミンEを摂取出来ます。また

②食物繊維もナッツの中でダントツに多いです。

そして

③身体に必要な不飽和脂肪酸も多くて

④マグネシウムや、亜鉛のようなミネラルも多く含まれています。

これらは身体にとっても必要な成分ですが、目にとっても大切な栄養素です。


ビタミンEは脂溶性のビタミンです。油に馴染みやすい性質があって強い抗酸化作用があります。目で脂質が多い部分はどこかというと目の奥にある網膜

という部分です。網膜には不飽和脂肪酸のDHAが多く含まれています。網膜全体の3割程度DHAでできているとされています。とても大切な脂肪で、積極的に摂りたい脂肪の1つです。網膜に含まれるDHAが障害を受けると網膜は変性して視機能障害がでることで知られています。

目を閉じていない限り常に網膜は光刺激を受けているんですが、ビタミンEは光刺激による酸化ストレスから網膜のDHAが変性しないように保護する役割があります。

ビタミンEが欠乏すると網膜が変性したという報告もされているぐらい大切なビタミンです。

国内で第4位の中途失明原因になっている病気で加齢黄斑変性症という病気がありますが、米国での研究

によるとビタミンEをしっかり取ることが黄斑変性症の予防や進行抑制に効果があったとされているぐらいです。

ビタミンEは網膜に含まれる多くの神経組織を守る大切な役割があります。

アーモンドはそのビタミンEがナッツの中でも1番多いというのが1つ目の特徴です。


2つ目は食物繊維が多く含まれていることです。そのため腸内環境によいです。それが目と何の関係があるのと思われたかもしれません。しかし近年身体の健康維持のために腸内環境が注目されています。それは腸内環境をよくするとお通じがよくなるとか単に腸にとってメリットがあるだけでなくて、目を含めた全身の健康とも深く関わっている事が分かってきたからです。

特に注目されているのが、腸内の善玉菌、酪酸菌から作られる酪酸という有機物です。アーモンドのような食物繊維を発酵させることによって酪酸がつくられます。

酪酸は

①腸の主要なエネルギー源

で、腸の健康のためにとても大切な物質なんですが、それだけでなく免疫系にも関与していることが知られています。制御性T細胞というリンパ球を増やして、

➁免疫の暴走を抑える

作用があります。

腸内の酪酸が少なくなると花粉症のようなアレルギーの病気であったり、

自分の正常な組織を攻撃する免疫の異常な状態を自己免疫疾患といいますが、関節リウマチ、強直性脊椎炎といった慢性の炎症性疾患と関係があることが報告されています。

目の場合、免疫の異常な活性で起きる病気にぶどう膜炎という病気があります。

国内で多いぶどう膜炎にはベーチェット病や原田病というものがあるんですが、ぶどう膜炎

を起こしている患者さんと正常の方の便を比較調査したところ酪酸が不足していたという報告もされていますし、酪酸を作る酪酸菌の餌となる食物繊維を与える事でぶどう膜炎の症状が軽減されたとの報告もされています。。


このように酪酸は体内で免疫系を整えるとても大切な物質なんですが、最近の研究

でアーモンドを食べる事で酪酸が増えることが報告されました。

酪酸は善玉菌の1つである酪酸菌が食物繊維をエサとして発酵すると増えます。そのため自前の酪酸菌を育てて増殖させることが酪酸を増やすためのよい方法とされています。

アーモンドにはこのように酪酸菌のよいエサとなる食物繊維を多く含んでいる。これが二つ目の特徴です、


3つ目はマグネシウ厶や亜鉛といった栄養素が多く含まれていることです。マグネシウムはあまり聞き慣れないミネラルかもしれませんが、生命維持のために欠かせないミネラルです。マグネシウムは

①体内の酵素がきちんと働くのに欠かせない補酵素の重要な成分です。

目の中は色々な酵素によって守られています。例えば水晶体の中にはグルタチオンやスーパーオキシドジスムターゼのような抗酸化酵素が多く含まれています。水晶体の主成分であるタンパク質を変性しないように酸化ストレスから保護している大切な成分なんですが、マグネシウムが

欠乏するとこれらの酵素がきちんと働かないので白内障の原因になることがわかっています。

またマグネシウムには②血管拡張作用があるので、眼の循環改善に期待されています。緑内障は

血液の循環障害説も言われているので緑内障の方にも大切なミネラルです。

亜鉛もマグネシウムのようにあまり認知されていないミネラルですが、マグネシウムと同様に欠かすことの出来ない必須ミネラルです。目の場合、網膜に大量に含まれていて、網膜組織が変性しないように守る抗酸化作用があります。ビタミンEと同じく一定量とることが、加齢黄斑変性症の発症予防のためにすすめられています。

このように目にとって大切なミネラル成分が多いというのがアーモンドの3つ目の特徴です。


4つ目は不飽和脂肪酸が多い事です。脂肪=悪者と思われる方も多いかもしれませんが、脂肪は私たちの身体に必要なもので、たくさん種類が存在します。よい脂肪と悪い脂肪があるんですが、このうちアーモンドに含まれる脂肪はよい脂肪です。動物性の油と違って、コレステロールをあげる原因になるものではありません。オレイン酸、αリノール酸といった悪玉コレストロールを減らしたり、血圧を下げる不飽和脂肪酸を多く含んでいます。

それだけでなく先ほどお話したしたビタミンEやルテインのようなカロテノイドは脂溶性のため脂質と一緒にとると体内の吸収力があがります。ブロッコリーやほうれん草はルテインが多い野菜ですが、生で食べても生体利用率があまり高くないことで知られています。サラダにアーモンドを砕いたものを入れたりして一緒に食べると吸収力が高まるのでおススメです。

このようにアーモンドは抗酸化作用のあるビタミンEと、食物繊維が他のナッツより多く含まれていて、身体にとって必要なミネラルやよい脂肪を多く含むので身体だけでなく目にとってもよいです。

おススメの量は25粒程度です。塩などで味付けをされたものではなく、無塩、無添加のものを選ぶようにしてください。

アーモンドもそうですが、一般的に「ナッツ」と呼ばれるものは種子なので新しい植物になるためのエネルギーが全てあの小さな1粒に詰められています。

そのため1粒1粒の栄養価が非常に高いんです。

アーモンド以外にもナッツは色々あってそれぞれ特徴があります。くるみはω3脂肪酸であるαリノレン酸を他のナッツより多く含んでいます。α-リノレン酸は、体内で網膜の細胞の一部であるDHA(ドコサヘキサエン酸)や血液をさらさらにするEPA(エイコサペンタエン酸)に変換されます。またピスタチオはルテインが他のナッツより何倍も多く含んでいます。ピスタチオのあの緑色の部分にはルテインが多く含まれています。

それぞれよい部分があるんですが、今回その中でアーモンドを紹介させて頂きました。今回の話をまとめますと

①アーモンドは網膜の変性を防ぐ作用があるビタミンEが多いです。

②食物繊維が多くふくまれているので、腸活にとてもよいです。

③酪酸を増やすことが知られています。

④マグネシウム、亜鉛のような抗酸化ミネラルも多く含まれています。

⑤くるみは他のナッツよりω3脂肪酸を多く含んでいて、ピスタチオはルテインを多く含んでいます

という5点です。ナッツは腹持ちがよいので私も1日、間食で食べています。ある程度満腹感が得られるので、お昼前や夕食前に少しとってドカ食いにならないように意識して摂っています。ナッツはいいところが多いので、積極的に摂りたい食品ではありますが、カロリーが多いので摂りすぎは良くないです。小分けにしたものを買って頂いて、1日1袋か2袋程度にするとか、アーモンドなら1日25粒程度までと決めて食べるのがよいですね。アーモンドを食べるときは皮を剥かずに食べるようにしてください。アーモンドの薄皮には、ポリフェノールの一種であるフラボノイドが多く含まれているからです。

日々の食生活にアーモンドを取り入れてみてはどうでしょうか。

今回はナッツの中でもアーモンドに関してお話させて頂きました。


(2023.6.26)