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160.緑内障を遅らせる!これ絶対食べて!

今回は緑内障なら知っておきたい血流をよくする食事に関してお話しいたします。

日本人の7割は正常眼圧緑内障といいますが、眼圧が正常値でも発症する緑内障が一番多いです。現在、緑内障に対する唯一確立された治療は眼圧下降です。

目薬による眼圧を下げる治療をされている方が多いと思います。

しかし、いくら眼圧を下げても緑内障の進行を完全には止められないことがあるので眼圧以外の要因に関して様々な研究がされています。

以前から眼圧以外の要因としてよくあげられるのが循環障害説です。

視神経の周りの血流が悪くて、それが神経の障害に影響しているのではないかという考え方です。私たちの身体の組織は血液から酸素や栄養をもらって生命活動を維持していますよね、視神経も同じです。血流が悪くなって、必要な栄養や酸素が視神経に行き届かないとダメージを受けます。

その視神経に栄養を与えている血管には他にない様々な特徴があります。

1.眼球内




に入る血管は視神経付近で強く折れ曲がっているということ。

そのため血液が流れにくくなっているんじゃないかとかんがえられています。

また緑内障は出血をするような事があるのをご存知でしょうか?注意する所見に

2.視神経乳頭出血


というものがあります。原因ははっきり分かっていませんが、これも血流障害のために起きているのではないかと考えられています。健常眼では稀にしかみられませんが、緑内障患者さん特に正常眼圧緑内障の患者さんに多く認められます。出血があると、緑内障が4倍も進行しやすいとする報告があるので見落とせない所見です。

また近年の研究で

3.緑内障の方は視神経周辺の血流が正常眼と低下している

という報告もされています。

このような事が知られているので緑内障の方には眼圧以外に血液の循環障害による影響も考えられています。

緑内障患者さんの主な治療は目薬などによる眼圧を下げる治療であることは間違いないんですが、食事を含めてこういった事に関して気を付けて下さいというをよく外来でお話ししています。

今回は緑内障なら知っておきたい食事に関してお話しいたします。

食事に関して色々報告があって、いくつかおススメしているものがあります。

まず一つめはポリフェノールを多く含んだ食事です。ポリフェノールとは植物由来の抗酸化物質で、苦味や渋味の成分です。抗酸化物質というとビタミンC,ビタミンE,ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテノイドが代表的な栄養素で目にとても大切な成分ですが、ポリフェノールも強い抗酸化作用があります。

植物が自身を守るための成分ですが、人の体に対しても同じように働いて、活性酸素から保護する役割があります。

こちらの


論文はシステマティックレビューといって信頼度が高いものになりますが、分析内容




としてポリフェノールの一種である
フラボノイドには血流を改善し緑内障の進行を緩やかにする可能性があると報告されています。

これはフラボノイドの抗酸化作用によって、神経や血管を酸化による影響から守る働きがあるからです。

特に最近の研究ではフラボノイドをとると神経栄養因子という神経の再生、修復に関与する成分が上昇することが報告されています。緑内障は神経変性疾患です。神経栄養因子の量が正常の方と比べると緑内障の患者さんには少ないと報告されていることもあるので神経栄養因子を増やすことがよい影響になるのではないかと期待もされています。

フラボノイドはどのような食品に含まれているんでしょうか。代表的なものは緑茶、ダークチョコレート、赤ワイン、ブルーベリー、コーヒーにも含まれています。

例えば緑茶は、カテキンというフラボノイドを豊富に含んだ飲み物です。

緑茶のカテキンは主に4つに分類されていますが中でも、エピガロカテキンガレート (EGCG) が最も豊富で最も活性が高いとされています。緑茶以外からは抽出されない成分です。

カテキンのようなフラボノイドが目にきくということは、身体でとったものが腸で吸収されて、その成分が血液によって運ばれて血液網膜関門という関所みたいな部分を超えなければなりませんが、



血液網膜関門を超えてきちんと目の組織に到達することが報告されています。

酸化ストレスの減少



が動脈硬化を抑制させて、緑内障疾患の進行を低下させる可能性が考えられています。ペットボトルなどのお茶にも含まれていますが一般的には、渋味のある煎茶ほどカテキンの量が多いとされています。

緑茶と同じくらいポリフェノールが多い飲料水はコーヒーです。コーヒーにもポリフェノールが多く、フラボノイドが含まれています。

ただ緑内障の方が心配なのは、コーヒーのカフェイン摂取による眼圧上昇だと思います。確かにそのような報告があるので、コーヒーを控えている方もみえますが、最近の国内



の研究や海外の報告によるとコーヒーを習慣的に飲んでいる人の方が飲んでいない人より眼圧が低い傾向にあったというようなデータがでています。それも1杯より2杯、2杯よりも3杯飲んでいる人の方が低い傾向にあったとされています。

コーヒーはカフェインによる影響を思い浮かべがちですが、ポリフェノールの含有量が非常に多いので、コーヒーの健康効果に注目されています。

だからといって大量にコーヒーをたくさん飲んで下さいというわけではありません。またコーヒーが嫌いな方にまで無理にすすめるわけではありませんが、1日3杯程度のコーヒーだったら緑内障の方にも安心して飲んでもらえると思います。

またチョコレートにもカテキン、エピカテキンといったフラボノイドが含まれています。ポリフェノールの含有量が多くスーパーフードの1つとされていますが、どんなチョコレートでもよいわけではありません。カカオ70%以上のダークチョコレートに健康効果が高いとされています。ダークチョコレート



を食べた人のみ神経栄養因子が増えたという研究結果もされているぐらいです。残念ながらホワイトチョコレートやミルクチョコレートはカカオ含有量がすくないので健康効果は期待できません。

ダークチョコレートは脂質が多いので少量とるようにしてください。1日あたりだいたい20g程度、5切れぐらいがよいとされています。

さらにチョコレートに含まれるポリフェノール



は一酸化窒素を合成するための酵素の働きを高めます。

一酸化窒素とは、血管を拡張させて血圧を下降させる作用や、血小板の凝集を抑え血管が詰まるのを予防する働きがあります。

緑内障患者さんにとってもう 1 つ知っておきたい食事成分がこの一酸化窒素です。一酸化窒素は血管を拡げ、血流を促進する作用がありますが、目に関しても房水という眼圧に影響するお水の排出を促す作用や網膜の血液循環を改善させることで、緑内障にも良い効果が期待されています。ハーバード大学からの報告



では葉物野菜を多く食べていた人々はそうでない人々よりも、緑内障の発症が21%少なかった、視野検査において中心付近の視野欠損が発症するリスクも44%程度低かったと報告しています。これは葉物野菜に多く含まれている硝酸塩が体内で一酸化窒素となって、血流量を増やして網膜の血液循環やお水の排出によい影響を与えるからでないかと考えられています。

一酸化窒素はほうれん草やケール、ルッコラなどの濃い緑色の野菜に含まれています。

濃い緑色の野菜は眼に大切な栄養素ルテインが多く含まれていますが、それだけでなく血管を広げて循環を改善する効果も期待できます。

3つ目におススメの食品はオメガ-3脂肪酸を多く含んだ食品です。特に視神経や網膜に多く含まれるドコサヘキサエン酸、DHAと血液をさらさらにするエイコサペンタエン酸、EPAを含んだ食品をとるようにしてください。これらの脂肪酸は、サケ、マグロ、サンマ、鯖などの魚に多く含まれています。

魚の脂は動脈硬化の原因となる悪玉コレストロールを減らして、

血管の炎症や血の塊ができないようにする働きがあります。

このDHAやEPAは必須脂肪酸であるのに体内で合成できないので積極的に食事から摂取する必要があります。毎日食べるのは難しいかもしれませんが、週に2回ほど意識して鮭などの脂が多い魚を取れたらよいですね。

このようにポリフェノールの多い食事、野菜や魚を中心とした食事は身体にとってもいいですし、目にもよいです。

食事だけでなく、運動やストレスともうまく付き合う事が重要です。

血液循環の調節はストレスなどによる自律神経の働きに影響をうけるからです。

自律神経系の異常、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると血管が異常に細くなります。その結果眼へ血液が届きにくくなって視神経にダメージを与える原因になります。よく言われるのは睡眠時無呼吸症候群と緑内障の関係です。睡眠時の無呼吸による低酸素状態が自律神経系の異常につながって視神経や網膜への血流量の調節に影響します。睡眠時無呼吸症候群は緑内障の発症率が10倍高いという報告もされています。

運動習慣も作るようにしてください。運動することは血流を改善させるだけでなく自律神経の調節機能を高めたり、ストレス発散効果になって緑内障にもよいです。週に3回程度有酸素運動を30分程度されるのがよいですね。

緑内障の治療の中心は目薬ではありますが、緑内障と診断されると長い付き合いになるのでこのような事も知って頂いて上手に付き合っていただけたらと思います。

今回の話をまとめますと

①緑内障は眼圧以外の要因として血液循環障害も知られています

➁フラボノイドには血流を改善し緑内障の進行を緩やかにする可能性があると報告されています

➂緑茶、コーヒー、ダークチョコレートはフラボノイドの含有量が多いです。

④チョコレートは一酸化窒素を増やす作用があります。ほうれん草のような葉物野菜には天然の硝酸塩が含まれていて循環をよくする作用があります。

⑤ストレスなどによる自律神経の異常も循環に影響を与えます。

運動習慣を作るようにしてください。

という5点です。

あまり知られていませんが緑内障はこのように食事、運動、睡眠などの生活習慣も影響する事があります。

よいサプリメントはなにかないですかと聞かれることがあるので、その時はサンテグラジェノックスという参天製薬さんのをおススメしています。ちなみに案件ではありません。

これは眼圧を下げるサプリメントではありません。血液循環に注目して出来たサプリメントです。松樹皮エキスといって今日お話したフラボノイドが多く含まれています。循環の改善だけでなく神経の保護効果も期待されています。あくまでサプリメントなので基本的にはバランスのとれた食事からの摂取をすすめていますが、眼科専売品なので気になる方は眼科の先生に聞いてみてください。

今回は緑内障なら知っておきたい食生活に関してお話しいたしました。

(2024.3.29)