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11. 老眼矯正レンズでの白内障手術

最新の白内障手術に関して何回かに分けてブログにしております。
前回は手術の一部分をレーザーで行うレーザー白内障手術に関して論文などでの検討されたものを踏まえてお話しました。フェムトセカンドレーザーというレーザー白内障手術は現在自費診療で行われておりますが私の個人的な見解から申し上げますと、高いお金を出してそのような手術を受ける必要はないと考えてまして従来のマニュアル手術と比べても視力から合併症から結果に有意な差がないという結果が出ているので、そこまではやらなくていいんじゃないかということでした。そういうことで白内障手術はだいたいどこの施設行っても結果は変わらないと考えますので、先生と話しが合うとかそこのクリニックの評判、もしくは実績などから受けられることを決められて問題ないと思います。

今回は白内障手術で使うレンズに関してお話させて頂きたいと思います。多焦点眼内レンズ、もしくは老眼矯正レンズというものをご存知でしょうか?週刊誌やテレビなどでもこの話題は取り上げられているみたいで、先生、最近老眼を矯正できる白内障手術ってできたんですよね?それ私にもやってほしいです!と言われるようなことがあります。なんか怪しいなと思って実際の記事をみせてもらったりするんですが、結局多焦点眼内レンズの範疇で新しくでたものなどの記事でした。確かに眼の中に入れるレンズは年々出てきてますので、そちらの方を今回は話させて頂きたいと思います。

白内障手術をしたらどのように見えるようになるのでしょうか?濁ったレンズから綺麗なレンズになり、遠くも近くも調節でき昔のように若返ったかのように見えるようになるというようなことを期待される方もいるかなと思いますが、そういったレンズは現状はないんです。いずれそのようなレンズが出ればいいのですが、またそのようなレンズが出たらブログにしてお話したいと思いますが、多焦点レンズにしろ保険適用の単焦点レンズにしろ現状は何等か妥協しないといけないのが現状です。なので専門の先生としっかり話して私はこういう生活スタイルでこういう見え方を希望するというのを話合い納得してレンズを決めていく事が大切です。

眼内レンズには大きく分けて二つあり、保険適用の単焦点レンズと自費診療の多焦点レンズがあります。多焦点レンズは別に老眼矯正レンズだとか調節型レンズなどといわれておりますが全て同じです。ですから先ほどの話ではないですが、老眼矯正レンズが出たというのは多焦点眼内レンズのことなんですね。

まず単焦点レンズから説明させていただきます。

保険診療で行われるのが単焦点レンズです。通常の白内障手術された方のほとんどはこのレンズです。単焦点レンズは遠くも近くも両方みることができません。裸眼で遠くをみるかもしくは近くをみるかどちらかを選んでいただきます。遠方のレンズを選ばれた方は、だいたい1.2mより遠方がはっきりみえるようになります。裸眼で車の運転をしたいとか離れたところからテレビをみたいというような方は遠方用のレンズを入れます。その代わり手元は見にくくなりますので、手元に関しては眼鏡をしてみてもらうということになります。これが遠方用のレンズです。近くに入れるレンズはこの逆です。裸眼で本を読んだり、パソコンをしたり、そういう生活の方が多いという方、もしくはもともと近視だった方は見え方が自然のため近方用のレンズを入れます。そして遠くをみるために眼鏡をしてみるという方法のレンズですね。これが保険診療で行われる単焦点眼内レンズです。見え方は裸眼の状態だと遠くか近くかどちらかしかみえませんが、その分手元もしくは遠方はっきり見えるようになります。ほとんどの方はこのレンズで充分見え方がよくなり、満足される方が多い印象あります。

最新の白内障手術の点からお話させて頂くと、この単焦点レンズに最近更に進化した低加入度分節眼内レンズと言ったレンズが最近発売されました。このレンズ単焦点レンズで保険診療で受けられる手術なのですが、レンズに弱い遠視のレンズも組み込まれておりますので、なんと遠方から中間距離、おおよそ70cmまでみえるというレンズです。

このレンズは単焦点レンズでありながら、多焦点レンズの様な機能があるのです。

私はこのレンズ実はすごくいいと思っておりますし、実際多くの先生が絶賛されております。近方に関しては眼鏡が必要になる場合があるのですが、遠方から70cmまで視力の落ち込みがなく、そして次回お話するんですが多焦点眼内レンズの欠点であるハローグレアという現象やコントラスト感度の低下といったものがほとんどないんですね。

唯一の欠点は手元の見え方はやはり多焦点レンズには劣るという点ですね。論文などでは手元も眼鏡なしで70%の方がみえているという報告があるのですがやはり術後は眼鏡が必要になることを覚悟しないといけません。

このレンズに適しているのは中間から遠方をしっかりみたい例えばゴルフをするような方にはいいのかなと思います。

そういうことで今回は白内障手術で保険診療で受けられる新しいレンズがあるというお話させていただきました。次回、皆さんが気になる自由診療の多焦点レンズに関してお話させて頂きたいと思います。


(2021.4.4)