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147.白内障手術中 お願いだからこれ止めて!

今回は白内障手術中にこれだけはやめてほしい事に関してお話いたします。

いざ白内障手術当日になると緊張される方多いのではないでしょうか。手術当日に緊張しない方はほとんどいません。全身麻酔となれば意識がないので問題ないと思いますが、白内障手術は局所麻酔なので術中は意識があります。そのため

  1. 瞬きをしたくなったらどうしよう
  2. 目が動いてしまったらどうしよう
  3. 咳がでたらどうしよう
  4. 手術器具が見えたら怖いな
  5. 手術が失敗して見えなくなってしまったらどうしよう

など色々考えてしまって緊張して当日迎える方が多いです。。

このような質問はよく聞きますので、皆さん同じような不安があるのだなと思っています。実際手術前日は眠れなかったと言われる方や普段血圧は正常値なのに手術直前となると170ぐらいまであがっている方も稀ではありません。

しかし、安心してほしいなと思っています。白内障手術は10分から15分程度の短時間で終わる安全性が非常に高い手術です。手術失敗して見えなくなるというような事はありません。

ですが、短時間で終わる手術であっても白内障手術は、細かな作業の連続です。

手術を安全に受けて頂くために知って頂きたいポイントがあります。今回は白内障手術を安全に受けるために知っておきたいポイントに関してお話しいたします。

まず1つ目は『目洗い』に関してです。

白内障手術当日順番が呼ばれたら、手術室に入ります。そして手術用の椅子に座ってまずモニターがつけられます。酸素モニターや、血圧計、心電図です。

そしていきなり手術かというとそうではありません。

まずする事は『目洗い』です。イソジンで目を消毒します。眼科手術用のイソジンで目を洗います。この目洗いは、手術を行う上でとても大切な前処置です。目を洗う理由はもちろん術後の感染症を予防するためなんですが、感染症予防のためにイソジンによる消毒が非常に有効であることが知られています。手術当日は化粧をしないでお越し下さい。目の周りに化粧品がついていると消毒にムラができてしっかり消毒できません。

その目洗いをするときに知っていただいことが4つほどあって

 1.イソジンは目にしみることがある。

耐えれないほどしみることは通常ありませんが、多少しみることがあることを知っておいてください。

 2.目洗いが終わったら喋らないようにしてください。

喋った時の唾が目の中に入って術後感染症を起こす可能性があります。そして

 3.洗った目を触らないようにしてください。

目洗い直後はごろごろ違和感を感じる事が多いです。ですが、目を触ってはいけません。時々この違和感のためにせっかく目を洗ったのに触ろうとする方がみえます。触ってしまったら当然もう一度目洗いをしなくてはなりません。

 4.汚れてもいい服を着てくるようにしてください。

イソジンが服につくと取れなくなる事があります。こちらも気を付けて目を洗うんですが、念のために汚れてもいい服装で来るようにしてください。

目洗いが終わったらドレープという清潔なシーツが顔全体を覆います。開瞼器というもので瞬きできないようにして手術が始まります。なので、手術中に瞬きしたらどうしようと思われている方は心配は無用です。器具をつけると瞬きがもう出来なくなるからです。

2つ目のポイントは手術がはじまったら

急に眼を動かさないようにしてください。多少動いてしまうのは仕方ないと思いますが、基本は顕微鏡の眩しいライトをずっとみてもらう事になります。手術後によく言われる事として

心配していた痛みは無かったけど、とにかく眩しかったというような感想をよく聞きます。

手術中は眩しいんですが、顕微鏡のライトを見続けるようにしてください。手術の器具は目の真横から入るので何か入っている感じはあると思いますが、刃先が見えるとか近づいてくるというような事はありませんので安心して頂いていいかと思います。

そして3つ目は手術中は頷いたり、いきなり起き上がらないようにしてください。

こちらの声かけに対しては頷かずに声に出して伝えるようにしてください。頷くと目が動きますからね。

姿勢が辛くなった、咳がでそう、トイレに行きたいなどで急に起き上がろうとする方が時々見えますが、とても危険です。目洗いが終わってドレープというシーツがかかるまではあまり喋らないで頂きたいのですが、ドレープがかかった後なら目と口は遮蔽されるので何かあったらお話して頂いて大丈夫です。話て頂いたら手術する先生は一旦中止してくれます。その上でトイレにいきたい、咳がでそうなど我慢せずに教えて頂くようにしてください。

4つ目、必要な事はお話しいただくのはいいんですが、手術中は関係ないお喋りはしないようにしてください。

先ほど何か伝えることがあればお話しして頂いても大丈夫なのですが、手術中にお喋りされる患者さんが時々みえます。緊張していらっしゃる方は無口になるのでこの傾向にありませんが、どちらかというとあまり緊張されていない方に多いように思います。余計な会話を省きたいというのも理由があって

 1.口が動くと目も動く事が多いので手術がやりにくくなる

という事や先ほど唾が目に入るという事をお話しましたが

 2.医療者側から手術している私たちからの唾が露出した目にかかるのを防ぎたい

という意味もあります。僕らも手術用のマスクをして手術させて頂くわけですが、こちら側の唾などが手術している目に入らないように極力気を付けたいということがあります。不安を紛らわすためにおしゃべりしたい方も見えるかもしれませんが、手術が終わって目にガーゼを張ってもらうまではあまりお話しないようにしてください。

手術した目にガーゼが張られたらお疲れ様でした、手術終了です。少し休憩して落ち着いたところで帰っていただくことになります。

帰宅後当日、何かして頂くことはありません。食事をして頂いて早めに寝るようにしてください。術後の目薬は手術の当日はしません。翌日から開始となるところがほとんどだと思います。

重いものを持ち上げたりするとレンズが目の中で動くことがあります。特にトーリック眼内レンズといいますが乱視を治すレンズを入れている方は注意が必要です。乱視用の眼内レンズは手術当日から翌日にかけてズレてしまって矯正効果がなくなってしまう事があるからです。なので当日、翌日は力む行為は禁止です。万が一乱視レンズがずれてしまうと再手術で、レンズの位置を修正しないといけないような事もあります。

乱視用のレンズでないとしても傷口が開く原因になりますので、当日は重たいものをもちあげないようにしてください。手術が終わった当日はこの3点だけ意識してほしいですね。

①安静にする ➁食事をとる ➂早めの就寝 この3点だけ意識するようにしてください。

今回は手術を安全に受けて頂くために知って頂きたい事に関してお話いたしました。今回の話をまとめますと

  1. 手術室に入って最初に行うこと、目洗いは染みます。目洗い中は喋らないようにしてください。
  2. 目を動かさないようにしてください。顕微鏡のライトだけ見続けてください。
  3. 手術中は会話しないようにしてください。咳がでそうなど必要なことはお話して頂いて大丈夫です。
  4. 頷いたり、急に起き上がろうとしないでください。
  5. 術後は安静にして、お食事をとったら早めに寝るようにしてください

という5点です。手術を安全に受けて頂くために手術までの過ごし方も大切です。手術当日食事制限特ありませんが、軽めに済ませておいた方がよいですね。手術中に気持ち悪くなって吐くまで悪くなる方はあまりみえませんが、術中気分が悪くなることもあるのであまりお腹いっぱいの状態で手術に臨むのはよくありません。余裕をもって起こし頂くことや、場合によって手術が1時間程度かかるような事もあるので、手術開始2時間以内はあまり飲水しない方がよいと思います。手術が長引いたときに尿意が我慢できなくなる方時々みえます。その際は尿瓶で対応することになりますが、寝ながらトイレをすることはなかなか難しいんですね。尿瓶当てても結局できないという方多いです。尿意我慢することはかなり辛いです。硝子体手術や緑内障手術など長引く手術で手術中のトイレを言われる事が多いんですが、まれに白内障手術も難しい症例だと長引くことがあります。手術直前は飲みすぎないようにすることも大切です。

そして一番大切なこと、白内障手術当日緊張することは仕方ありませんが、手術前に気になっていることは全て執刀の先生またはスタッフに伝えるようにしてください。咳がでるかも、痛みを気にしているなど教えていただけると、こちらも備えますので伝えるようにしてくださいね。

今回は白内障手術を安全に受けて頂くためのポイントに関してお話させて頂ました。

(2024.1.25)