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126. これ食べないで 目悪くなる!

今回は目のために避けたい食品に関してお話させて頂きます。健康的な食事が身体だけでなく、目の健康維持のためにも必要とされています。目と食事ってあまり関係ないように思われるかもしれませんが、そんな事ありません。健康的でない食事を続けることで若くても視力を失う事もあります。不摂生な食事による目への影響で代表的なものが糖尿病です。糖尿病で真っ先に障害を受ける臓器が目です。神経、目、腎臓、しめじの順で悪くなると言われますが、まず足先の血流が悪くなってしびれなどの神経症状がでます。その次に目に影響が出てきます。目の血管は全ての臓器の中で最も細いので血液の循環障害を受けやすいからです。

初期の段階は目の奥にわずかに出血する程度なので自覚症状がありません。ですがそのまま放置すると視力に大切な黄斑部が腫れたり、眼底出血が進んで徐々に視力が下がってきます。治療が遅れたり、血糖値のコントロールがよくない状態が続くと更に網膜の状態は悪化して網膜剥離や難治性の緑内障になって最終的に失明に近い状態まで悪くなります。糖尿病による目の病気で怖いのは多くが両眼同時に悪くなる事です。見えているから問題ないと思っていた、仕事などの都合で受診がおろそかになっていた、このような理由で治療が遅れて事実働きざかりの方で両眼ほとんど視力を失っている方もおられます。

身体は元気なのに見えないから働くことができない、片目だけでもなんとかならないでしょうかと言われることがありますが、手遅れな状態になっているとやはり治療は困難です。糖尿病による目の失明は国内では3番目の中途失明原因ですが、糖尿病の状態が悪いと進行が早くて、そして両眼同時にすすむので注意が必要です。この糖尿病による目への影響は日々の食生活の乱れが大きな原因ですが、目のために気を付けたい食事には様々な報告がされています。今回は目のために摂りすぎ注意な食事に関してお話させていただきます。

目に大切な栄養素は色々あります、ルテインやゼアキサンチンといったカロテノイドであったり、ビタミンC,Eや亜鉛のようなミネラル成分やDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸です。ルテインなどのカロテノイドやビタミンは強い抗酸化作用があって目を保護するための大切な栄養素です。DHAは網膜細胞のリン脂質という細胞膜の重要な構成成分ですし、EPAは悪玉コレステロールを減らして血液の循環を改善させる作用があります。積極的に摂取することで白内障や加齢黄斑変性症の予防やドライアイに効果があると報告されています。

このような栄養素を積極的に摂ることも大切ですが、それと同じくらい大切なことは目にとって良くない栄養素を避ける事です。
バッファロー大学

では加齢黄斑変性症の発症率と66種類の食事パターンの関連性を調査した研究が行われました。

その報告によるとハムやベーコンといった加工肉や揚げ物、精製された炭水化物、マーガリンやクリームのような高脂肪乳製品、加糖飲料水を多く含んだ食事、「欧米型の食事」と言っていますが、欧米型の食生活が中心の方はそうでない食生活の方より中心視力を失う加齢黄斑変性症の発症率が3倍高かったと報告されました。

研究を始めたときは加齢黄斑変性症がなかった方を18年間追跡調査した結果です。


中心視力が失われている状態というのは、加齢黄斑変性症のだいぶ進んだ状態の事をさします。加齢黄斑変性症

の初期段階はドルーゼンといいますが、黄斑部という視力の大切な部分に黄色い沈着物ができたり網膜の細胞が萎縮します。

この状態では視力が落ちたり、視覚的な症状がほとんどありません。眼科や検診を受けない限り見つかることはないです。ですが、初期の段階から進んでくると更に黄斑の組織が変性して物が歪んでみえたり、視力が落ちていきます。


すなわち欧米型の食事を取り続けるとこのようにある程度進行した加齢黄斑変性症になるリスクが高いですよという結果になったんですね。


欧米型の食事スタイルの問題点は

①「単純糖質」といいますが清涼飲料水やアルコールのような急に血糖値があがる食品が多く、ハンバーガー、唐揚げのような

②「飽和脂肪酸」を過剰に摂取してしまう傾向があって、

③カロリーが多いわりに必須栄養素が不足しがちになる点にあります。


糖は生命を維持するための大切なエネルギー源ではありますが、

①急に血糖値が上がって下がるといった「急激な血糖値の変動」を起こすことや

②慢性的な高血糖を起こすことは糖尿病でない健康な方でも身体に負担になることが知られています。

これらは終末糖化産物 AGEsといいますが強い毒性を持った物質が出来る原因になります。糖とタンパク質が結びついて体温によって加熱されるとAGEsができます。人の身体の多くはタンパク質で出来ているので、いたるところでこの糖化反応が起きます。

皮膚のコラーゲンと結合してしわの原因になります。血管のコラーゲン線維と結合して動脈硬化の原因になります。脳や臓器と結合してアルツハイマー型認知症や癌になることが報告されています。

目の場合白内障や加齢黄斑変性症の原因になることが報告されています。


特に目は全ての臓器の中で糖化よる影響を受けやすい臓器です。

それは①肝臓や腸などの臓器と違って水晶体というレンズは血管がないので糖の代謝能力が制限されています。そのため必要以上の糖は代謝されずにこべりついてしまうということであったり

②逆に網膜は脳の一部で神経の集合体です。神経系の組織はグルコースの代謝が非常に活発です。糖

は常に解糖系からクエン酸回路に代謝されてエネルギーが産生されます。ですが糖が過剰になるとこの経路だけでは処理できなくなって、ポリオール代謝

と言いますが、ソルビトールというものに変換されます。ソルビトールは体内の抗酸化物質を大量に消費してしまう特徴があったり、その後フルクトースというものに変わって糖化反応を進める原因になります。

このように目の組織は

①血管がない部分であったり

②神経細胞が豊富な部分があって

他の臓器と違う特徴があります。

そのため目は直接的にも間接的にも糖の影響を受けやすい臓器とされています。


AGEsは①慢性的な高血糖と②AGE値が高いものを食べることによって蓄積されます。

中でも清涼飲料水に含まれるブドウ糖果糖液糖などの異性化糖といいますが、サツマイモやトウモロコシなどのデンプンを人工的に糖化させたもので強い甘味があって糖化リスクが非常に高いです。

そして同じ食品でも焼く、揚げるといった高温で調理するほどAGE値が高くなります。

そのためハンバーガー、フライドポテト、甘いジュースといったいわゆるファーストフードで摂る組み合わせは最悪の組み合わせと言われたりしています。


欧米食の摂りすぎは目にのみ影響があるのでなくて、結腸癌や直腸癌といった大腸癌のリスクにもなりやすいことが報告されています。

日本人の癌死亡率の女性の1位が大腸癌、男性は肺癌に次いで2位です。大腸癌は初期症状が基本ありません。便秘や下血などの症状はかなり進行した状態で発覚することが多いです。私自身も定期チェックをしておりますが早期発見のために大腸内視鏡検査などの検診を早くから受けることが大切です。

ではどのような食事がおすすめかというと地中海式の食事がすすめられています。地中海式の食事とは蒸したり茹でた鶏肉、魚、野菜、果物、豆類、穀物、ナッツなどの摂取量が多い食事です。バターの代わりにオリーブオイル、牛肉や豚肉の代わりに鶏肉や魚を意識した地中海式の食事を意識して摂ることで黄斑変性症のリスクが低下したといくつかの論文で報告されています。

これらの食事には、ルテインなどのカロテノイド、ビタミンや亜鉛のようなミネラル、DHA、EPAがバランスよく含まれているので目にもいいんですね。

脂が多いものや甘いものは美味しいもので絶対食べてはいけないものではありませんが、摂取頻度を減らすことは大切です。

食事中心にお話しましたが、これ以外にも適度な運動、禁煙、減塩なども意識するとなおいいと思います。よければ参考にしてください。

今回の話をまとめますと

①糖尿病でまず影響に出る臓器は目です。

➁糖尿病網膜症は両眼同じスピードで悪くなるので注意が必要です。

➂目は糖による影響を受けやすい臓器です。清涼飲料水や砂糖が多い食品など急に血糖値が上がる食品に注意しましょう。

④欧米食は結腸がんや直腸がんのような大腸癌の原因になります。初期の大腸癌は自覚症状がないので定期検査が必要です。

⑤地中海式の食事がおすすめです。

という5点です。加齢黄斑変性症は今後日本でも食の欧米化によって増えるとされています。今は中途失明原因の4位ですが、今後アメリカのように1位になっていくかもしれません。加齢黄斑変性症は萎縮型と滲出型というパターンがありますが、治療の適応になるのは滲出型のみです。初期病変や滲出型以外の病変には治療法がありません。まずは眼科受診して初期病変がないかチェックする。問題があれば早くからまず食事を変えてみるといったことが大切だと思います。

今回は目にとって避けるべき食品に関してお話させて頂きました。


(2023.2.24)