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81. 白内障手術どこで受ける?

今回は白内障手術を受けるクリニックをどのようにして決めたらいいのかということに関してお話させて頂きます。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/rxlSZ8SrpBs

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白内障手術をこれから検討される方はどこで手術を受けたらいいのかなと考えられた事はないでしょうか。昔は白内障手術を受けるなら入院が必要な時代があったので、入院施設がある大きな病院でないと手術が行えなかったのであまり選択する余地がなかったのですが、今は日帰りで白内障手術を行えるクリニックが多くありますよね。

いざ白内障手術をしようと決心しても日帰り白内障手術応需と書かれている眼科は多くありますので、どこで手術を受けるのがいいのかなと悩まれる方も多いようです。ネットなどで調べたり、または手術を受けたご友人からのお話聞いて眼科を決められることが多いのかなと思っております。ですが、単に有名な眼科だからだとか、ネットだけの情報だけで決めてしまうと手術を受けて後悔することがあります。今回はどのようにして白内障手術をうけるクリニックを決めていったらいいのかということに関してお話させていただきます。

私が最も大事にしていただきたいことは最新の白内障手術の設備が入っているとか、有名な先生がいる眼科で受けて頂く事ということではなく、担当される先生との相性が合っていることが凄く大切だと考えています。

もちろん手術を受ける上で最新の設備が整っていて有名な先生に手術をしてもらい、問題なく手術が終わるということも大切なんですが、それ以上に白内障手術は手術前のカウンセリングがとても大切です。

どのような見え方を希望しているのか、その方がどのような生活スタイルをしているのか、術後どのような見え方になるのかということをきちんと伝わっていることが最も重要と考えています。

そうでないと仮に最新の白内障手術の設備が揃っているところで有名な先生に最新のレンズを入れてもらったとしていもカウンセリングが不十分のために不満足な結果になることがあります。

例えば近視の方が遠方合わせにして手元が術後眼鏡しないと見えなくなってしまったというケースです。単焦点眼内レンズで遠方合わせにすると手元が見にくくなるので手元を見るときは眼鏡が必要になります。もとから近視で裸眼で手元を見ていて遠方視の際に眼鏡をしていた方は生活が逆転します。近視の方は遠方視への憧れがある事が多いのですが、手元が眼鏡をしないとみえない状態だと不便になることが多かったりします。このような事がきちんと理解していればいいのですが、十分に説明を受けていないとこのような事が起こります。

または白内障があまりないにも関わらず勧められるがまま白内障手術をされた方です。少し見え方に違和感があって受診したところ白内障を指摘された。そこまで見え方に困っていなかったけど白内障手術を受けたというような方です。遠方も手元もそれなりに手術前は眼鏡なしでみえていたのに、手術後それほど見え方がよくなったわけでもなく手元をみるために今度は眼鏡が必要になってしまったというケースで不満になるような事もあります。もともとの水晶体にはピントの調節力があるんですが、人工レンズになると調節力が失われてしまうのでこのような事が起こり得ます。白内障と言われたからといって必ずしも白内障手術が必要なわけではありません。視覚的に困っていないのならもともとの水晶体をできるだけ残しておくのが良い場合があります。


このように充分なカウンセリングが行われずに白内障手術を行うと問題になることがあります。場合によっては白内障手術をしないほうがよかったなんてことも十分ありえます。何度か受診してどのような見え方を希望しているか、術後どのような状態になるかをしっかり把握した上で決めていくかなくてはなりません。

可能なら眼内レンズについても色々知っている眼科がよいと思います。眼内レンズは現在保険診療でできる眼内レンズでも色々あります。昔は単焦点眼内レンズ、乱視があれば乱視用の単焦点眼内レンズしかなかったのですが、今は選択肢がそれ以外にもあります。保険診療でもレンティスコンフォートという多焦点眼内レンズがありますし、単焦点眼内レンズでも少し焦点深度が広いテクニスアイハンスという眼内レンズがあります。レンティスコンフォートが発売されたのが2019年春頃、テクニスアイハンスは2021年秋頃ですからここわずか数年で保険診療で行える手術でも様々な選択肢ができたんですね。現状は選定療養や自由診療で行う多焦点眼内レンズどれをとっても完璧な眼内レンズはありません。目の状態によっては単焦点眼内レンズを選択した場合がいいことがありますし、多焦点眼内レンズがかえって良くないケースもあります。多焦点眼内レンズは多焦点なだけあって眼鏡なしになる可能性があります。一方単焦点眼内レンズは術後眼鏡を伴うことを理解していなくてはなりません。その話だけ聞くと多焦点眼内レンズの方がいいと思われるかもしれませんが、多焦点眼内レンズにも欠点があります。大きく2つあってハロー・グレアとコントラスト感度の低下です。多焦点眼内レンズは回折型という構造のためどうしても光がぎらつく現象であったり、見え方の質が単焦点眼内レンズより多少悪くなってしまうんです。白内障手術術後に緑内障、黄斑疾患のような眼疾患を患ってしまった場合はもっと大変です。

多焦点眼内レンズによる見え方の違和感がただでさえ生じているのに更に緑内障や黄斑疾患のために見え方が更に悪くなってしまう事が考えられるからです。強度近視の方であったり緑内障の家族歴がある方、糖尿病などの疾患がある方は手術を受けた直後は良くてもその後のリスクも考えて眼内レンズを選ばれるのがいいのではないかと思っています。

そのような事があって保険診療の眼内レンズをむしろ検討したケース方がいいこともあります。

保険診療での眼内レンズのメリットもしっかりされるところが良いのではないかと思っています。

レンズに関しては患者さんにはすぐに理解していただくには難しいので時間かけて少しずつ理解してもらうのが大切です。

ほとんどの術後の不満はコミュニケーション不足で起きることが知られています。多焦点眼内レンズで一番多い不満はWaxy visionといって視力は出るんだけどどこもなんとなく見にくいという症状です。その次にハロー・グレアという現象です。そのような不満があれば最悪レンズを交換するような事もあります。レンズを交換するような事は簡単にできることではないので極力避けなければなりませんが、そのような見え方ができたとしても不満に対してもしっかり理解して対策を一緒に考えることはとても大切なことだと考えています。あまり話を聞いてくれない先生だとレンズは予定通り入っていて問題ないですで済まされる可能性もあります。白内障手術は高い満足度がある手術であるのは間違いないのですが、手術ですから何らか具合が悪いことも生じる可能性があります。それは有名な眼科でももちろん起こりえますし、どんな最新設備を整えているクリニックでも起こりえます。その時にきちんと話を聞いて一緒に悩みを解決してくれる先生ならきっと良い結果になるのではないかと考えています。今回の話をまとめますと

①白内障手術を受けるときにただ有名だからという理由で病院を選ぶと問題になることがあります。

②相性が良くてなんでも話を聞いてくれる先生のところがおすすめです。

③ライフスタイルに合った眼内レンズを考えてくれる先生がよいです。

④高い眼内レンズが必ずしも良いわけではありません、病状によっては保険診療の眼内レンズの方が良い可能性があります。

という4点です。白内障手術は現在レーザー白内障手術や自由診療のレンズを入れると選択肢が多くあります。全て組み合わせるとかなり高額になりますが、高額な治療が一番いいわけではありません。高額なお金をかけるよりも相性のいい先生をみつけることの方が遥かに大事だと思っています。白内障手術をどこで受けたらいいのか迷うわれることがあると思いますので、決められる際に大切にして頂きたいポイントをお話させていただきました。今回は白内障手術どこで受けたらいいのかということに関してお話させて頂きました。


(2022.8.26)