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108. 目がどんどん良くなるスーパーフード6選

今回は目に良いスーパーフードに関してお話させていただきます。身体に必要な栄養素が色々あるように、目にも欠かすことが出来ない大切な栄養素があることが明らかになっています。以前目に良い食べ物の代表的なものとして「卵」に関してお話させて頂きました。目に大切な成分にルテインとゼアキサンチンと言われるものがあります。これら両方含んでいる食品は中々ないんですが、卵はその両方を含んでいます。ルテイン、ゼアキサンチンは脂溶性と言って油に馴染みやすい性質があるので脂質ととると効率的に体内に取り込む事ができます。卵の卵黄部分は天然の脂質が多いので植物(しょくぶつ)由来のものより吸収率が3倍程度高い事が知られています。ある報告によるとたった1個卵を毎日食べることでコレステロールの値を上昇させることなくルテインの血中濃度を26%、ゼアキサンチンは38%増加することができたと報告されています。他の研究では12週間にわたって卵を3個毎日とることでルテインとゼアキサンチンの血中濃度がそれぞれ21%、48%増加した事が報告されました。卵はビタミンCと食物(しょくもつ)繊維を除いたすべての栄養素が含まれていて目にとってまさにスーパーフードです。卵の栄養価は飼育されている鶏によって違うので可能ならω3強化卵を食べるようにしてください。とお話させていただきました。目にとってよい食品はその他にもあります。参考にしていただいて明日からの食生活で意識してとっていただけたらと思います。今回は眼科医がすすめる目に良いスーパーフードに関してお話させて頂きます。

1つ目はゴジベリーです。クコの実ともいいます。ゴジベリーってなんだろうと思われた方もおられると思いますが、ゴジベリーは杏仁豆腐の上にちょこんと乗っている赤い果実です。ゴジベリーは中国では視力回復のための薬用食材として使用されて2000年以上の長い歴史があります。クコの実には高濃度のビタミンA、B1、B2、B6、C、Eやルテイン、ゼアキサンチン、βカロテン、更にポリフェノール、鉄分のようなミネラルなど豊富な栄養素が含まれています。

その中で注目すべきことはルテイン、ゼアキサンチンの量が非常に多いことです。ルテインやゼアキサンチンはカロテノイドに分類されれる天然色素の1種で強い抗酸化作用があります。これらは水晶体や黄斑部という視力に大切な部位に多く含まれていますが特に黄斑部には多くて、有害な活性酸素から目を守る天然のサングラスとして知られています。

ゴジベリーにはそのルテイン、ゼアキサンチンが多く含まれていますがその中でもゼアキサンチンが多く、そして体内に吸収されやすい形で存在していることも特徴です。

カリフォルニア大学で行われた研究ではゴジベリーを28g90日間毎日摂ることで黄斑部の色素が大幅に増加したことが報告されています。

加齢黄斑変性の発症や進行予防に期待されている目のスーパーフードとされているものの1つです。

アメリカでの中途失明原因の1位が加齢黄斑変性症です。日本での中途失明原因は4位ですが、有病率は年々増加しています。加齢黄斑変性症になると物が歪んでみえたり、中心暗点といって見たい部分が霞んで見えるような症状が出ます。ゴジベリーを摂ることがこのような病気の発症リスクを抑える可能性が期待されています。

2つ目はさつまいもです。さつまいもにはビタミンAの元であるβカロテンがたくさん含まれています。

このβカロテンが多く含まれている代表的な野菜は人参ですが、さつまいもにも多く含まれています。さつまいもの中身は白、黄色、濃い黄色、紫色など色々ありますが、このうち黄色の主成分はβカロテンによるものです。濃いほど多くのβカロテンが含まれていて、例えば安納(あんのう)いもはβカロテンが豊富で人参に匹敵すると言われています。βカロテンはビタミンAとなってドライアイや夜盲症を防ぐのに大切な栄養素です。ビタミンAにならなかった過剰分のβカロテンは身体の中であらゆる眼疾患の原因となる活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。βカロテン以外に抗酸化ビタミンであるビタミンCやEも豊富に含まれています。さつまいもは低GI食品で、ダイエットにも向いている食材の1つです。食物繊維も多く含まれていて身体にも良い食品です。

糖質がやや多いので食べ過ぎは良くないのですが、1日1/2本程度を目安に摂られてみてはどうでしょうか。

3つ目鮭やマグロ、サバ、イワシなどの魚です。これらにはω3脂肪酸が豊富にふくまれています。ω3脂肪酸は不飽和脂肪酸に分類されるもので身体に必要な必須脂肪酸です。ω3脂肪酸に含まれるDHA、ドコサヘキサエン酸は網膜の神経細胞に多く含まれていて網膜の機能維持や保護効果のための重要な成分です。いくつかの研究でω3脂肪酸を摂ることで糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症の発症リスクを減らした事が報告されています。DHAは網膜だけでなく脳にも多く含まれていてしっかり摂ることで認知症の予防効果もあるとされています。

網膜症に対する効果だけではありません、ドライアイの予防と治療にも効果的です。涙は99%の水と1%の油で出来ています。たった1%の油がないことでどれだけ涙が作られても蒸発してしまいます。ある研究では魚からのω3脂肪酸を摂ることでドライアイになるリスクが17%低下したと報告されました。

特におすすめしたいのは鮭です。鮭の赤身の部分は海のカロテノイドと呼ばれる「アスタキサンチン」が含まれています。アスタキサンチンが含まれている化粧品があるので女性の方はご存知かもしれませんが、美白効果も期待できることで知られています。またビタミンCの6000倍、桁違いの抗酸化作用があって眼精疲労の改善や動脈硬化の予防、疲労回復などに効果がある成分です。1日1切れの鮭を摂られてはどうでしょうか。


4つ目、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系のフルーツやキウイです。ビタミンCやビタミンEが大量に含まれています。ビタミンC、ビタミンEは抗酸化ビタミンで水晶体や網膜の機能維持のために必要とされているものです。アメリカで行われたAREADSという研究ではビタミンCとビタミンEを一定量摂ることが推奨されています。

特にキウイは果物の中でもトップレベルでビタミンCの含有量が多く、あまり知られていませんがルテインも含まれています。キウイからのルテインは野菜由来のものより体内への吸収率が3倍程度高いとされています。通常フルーツは生で摂る事が多いので栄養素を失う事なく体内に補充できるのも魅力ですね。


5つ目、ケール、ほうれん草、ブロッコリーのような濃い緑色の野菜です。濃い野菜には網膜に必要な成分がたくさん含まれています。スーパーフードとして知られるケールは栄養価が高く「緑黄色野菜の王様」と言われています。黄斑変性症の予防のためにルテインの必要量は1日6mg以上が推奨されていますが、ケール100g中にルテインは21.9mgと他の野菜と比べて抜群に多いです。またビタミンAの元となるβカロテン、ビタミンC、E、など目にとって欠かせない栄養素を豊富に含んでいます。ルテインは脂溶性なので油と一緒に調理すると吸収率が高まります。油を使った料理で美味しく、効率的にルテインを摂取するようにしてください。


6つ目ナッツです。ナッツにはDHAやEPAというω3脂肪酸に加え抗酸化ビタミンのビタミンEが豊富に含まれています。ナッツにはクルミやカシューナッツ、アーモンドなど色々種類がありますが、おすすめしたいのはピスタチオです。ω3脂肪酸、ビタミンEに加えてルテインとゼアキサンチンが大量に含まれているからです。なんと他のナッツより約100倍程度も含まれています。100gあたり1mgのルテイン、ゼアキサンチンが含まれています。もちろん100g食べて下さいというわけではありません。ナッツは脂質なのでカロリーが高いです。ですが、間食として気軽にルテインも補う事ができるピスタチオはおすすめです。目安として1日25g相当、40粒程度がおすすめです。

このように目に良い食品には色々あります。

これらの食品は目にいいだけでなくて身体にも良い食品です。ルテイン、ゼアキサンチンの欠乏は皮膚の老化や動脈硬化、癌のリスクが報告されていますし、ω3脂肪酸の不足が心疾患系のリスクに繋がると報告されています。日々の食生活で様々な眼病に対して予防効果が期待できますので、今後の食事において参考にしていただけたらと思います。

今回の話をまとめますと

①ゴジベリーはルテイン、ゼアキサンチンが多く含まれており黄斑変性の予防効果に期待されています。

②サツマイモにはビタミンAの元となるβカロテンが多く含まれています。中身が濃い黄色のサツマイモは特に含有量が多いです。

③鮭など魚の油に含まれるω3脂肪酸は黄斑変性やドライアイに効果的です。

④キウイは果物の中でビタミンC含有量が多く、ルテインも含まれていて野菜由来のものより吸収率が高いです。

⑤濃い緑色の野菜にはルテインが多く含まれています。

⑥ナッツにはω3脂肪酸が多く含まれています。ピスタチオにはルテイン、ゼアキサンチンが他のナッツより100倍以上含んでいます。

という6点です。簡単にいうと魚や野菜、果物をたくさん取ってください。唐揚げ、ハンバーガー、ステーキといった動物性の油を多く含んでいるものはほどほどにして頂いて、間食するならスナック類よりもナッツがいいですという話になります。

食の欧米化によって今後日本でも加齢黄斑変性症の有病率は増加していくと言われています。可能な範囲で実行していただけたらと思います。

今回は目によいスーパーフードと言われるものに関してお話させて頂きました。


(2022.12.15)