〒500-8847 岐阜県岐阜市金宝町1-11

ブログ BLOG

107. コンタクトで失明する人の4つの特徴

今回はコンタクトレンズで失明する人の特徴に関してお話させて頂きます。コンタクトレンズをされている方は多いと思います。コンタクトレンズといえば近視や遠視、乱視といった屈折異常がある方にされているイメージがあると思いますが、老眼用のコンタクトレンズも豊富にありますし、カラーコンタクトレンズの度無しがあって元々目がいい方であったり目に異常がない方もおしゃれとしてされています。正しく使用すれば問題になる事がほとんどありませんが、不衛生に扱うと重症な後遺症を残して事実失明に近い状態にまで至ることがあります。このようなトラブルは20代の若い方に多くて本当に悲惨です。外来で心が痛い思いを何度もしてきました。コンタクトレンズは異物なので不衛生に扱えば誰しもリスクになるわけですが、重症化しやすい方には特徴があります。

今回はコンタクトレンズで失明に近い状態まで悪くなってしまう人の特徴に関してお話させていただきます。

コンタクトレンズトラブルは色々あるんですが、その中で特に問題になるのは角膜といって目の表面の黒目の感染症です。感染症を起こして角膜潰瘍といって黒目がえぐれて失明に近い状態にまでなることがあります。正しくコンタクトレンズを使っていればここまで悪くなることがまずないんですが、コンタクトトラブルを起こしやすい方には特徴があります。それはどのような方に多いのでしょうか。

1つ目、眼鏡をもっていない人です。コンタクトレンズだけしか持っていない方が時々おられます。よく聞かれることですが、近視を矯正する上で眼鏡、コンタクトレンズ、どちらを購入したらいいのでしょうか?というように聞かれる事があるんですが、どちらかという選択肢はないんです。眼鏡のみか眼鏡を購入した上でコンタクトを時々するかという選び方になります。眼鏡は絶対必要なんですね。

朝起きて寝る直前までコンタクトをしているような事はないでしょうか?当然ながらそのような方はコンタクトレンズの装用時間が長いのでトラブルを起こしやすいです。目の表面の角膜に傷が出来たり、慢性的な結膜炎の原因になります。目が痛いけど眼鏡がないから我慢しながらコンタクトをするしかない、このような事を繰り返す結果ひどい感染症を起こす事がよくあります。

感染症を起こしていたら絶対コンタクトレンズをしてはいけません。

感染症を起こされた方にそうお話すると眼鏡がないんですがどうしたらいいでしょうか?と聞かれてびっくりすることがよくあります。コンタクトレンズの装用時間は通常12時間程度です。必ず装用時間を守って眼鏡も一緒にもっておく必要があります。このあたりは眼科受診してコンタクトレンズをこれから購入される方は説明をうけると思いますが、最近だとネットや激安店でコンタクトレンズを簡単に買えてしまうので眼科受診して購入される方が少なくなっているのが現状です。必ず眼鏡をまず購入されるようにしてください。

2つ目はコンタクトレンズのケースを定期的に変えない方です。コンタクトレンズを綺麗に洗ってもケースが汚ければ全く意味がありません。ソフトコンタクトレンズの場合ワンデイ以外のものはコンタクトレンズケースが必要です。ソフトコンタクトレンズの場合1.5ー3ヶ月に1度ケースを交換するようにしてください。ケースを綺麗にケアできていたとしても、細かな汚れはどうしても蓄積されてしまいます。そのため定期的にケースを交換する必要があります。

重症な目の感染症を起こす菌にアカウントアメーバーと緑膿菌というものがありますが、これらは不衛生のコンタクトレンズのケースの中で繁殖する事が知られています。

①コンタクトレンズをとったらケースに入った保存液を毎回捨てる②ケースの内側も外側も保存液できちんと洗う③しっかりケースを乾かすといった事を徹底するようにしてください。コンタクトレンズの洗浄液は殺菌作用が弱いので浸して置けばよいというものではありません。勿体ないからといって洗浄液を付け足して使用されている方もおられますがそのような事は絶対してはいけません。

コンタクトレンズケースを使わないワンデイはその点安全です。事実重症な感染症になるリスクが連日装用型タイプよりはるかに少ないです。可能ならやや割高になりますが、目の安全のためにワンデイのコンタクトレンズを使うようにしてください。

3つ目ソフトコンタクトレンズをされている方に対してですが、コンタクトレンズの上からさしてはいけないと書いてある目薬をしている方です。コンタクトの上からさしてはいけない目薬には「塩化ベンザルコニウム」という防腐剤が入っています。ハードコンタクトレンズの方は問題ありませんが、ソフトコンタクトレンズを使用されている方は防腐剤が素材に吸着されて長い間目の表面に残る事になります。防腐剤が長いあいだ目に残ると目の表面の角膜を傷つける原因になることがあります。コンタクトレンズがきちんと使えている方で目の痛みがある場合、原因が市販の目薬であることがよくあります。防腐剤が入っていない目薬であれば問題ありませんが、パッケージを読んでソフトコンタクトレンズの上から使用できるか、塩化ベンザルコニウムが入ってないかを確認するようにしてください。

最後4つ目、圧倒的に多いのがこちらです。コンタクトレンズをして寝る方です。コンタクトをつけて寝ることは本当に危険なのでやめてください。30分程度のうたた寝でも必ず外すようにしてください。通常起きているときは涙によって汚れや雑菌を洗い流しています。ですが、就寝中は涙の量が減るんですね。涙が減ると菌を洗い流せないので菌が繁殖しやすい状態になります。2week以上の連日装用型のコンタクトをしている方は更に危険になります。不衛生にしていたレンズケースから取り出した緑膿菌やアカウントアメーバがついたレンズをつけて寝るとこれらの菌が繁殖して感染症を起こします。アカウントアメーバーや緑膿菌がなぜ問題になるかというと一度感染が成立すると通常の抗生剤に中々反応しにくくて治りにくいからです。あっという間に見えなくなります。事実これらの菌によって失明して、角膜移植が必要になったケースが報告されています。先程もお話しましたが、1dayタイプは清潔に扱える点で連日装用型と比べるとこのような重症な感染症の可能性が少なくなります。もちろん1dayタイプでも手を洗わず装用したり1dayなのに連続で数日使用していたような場合話は別です。汚れた手指にも緑膿菌はいますので必ず手を洗ってからコンタクトレンズをするようにしてください。

このようにコンタクトレンズで失明する人は適切な管理が行えていない方に多いです。これからコンタクトレンズを始める方はまず眼科受診して説明受けてから始めるようにしてください。今回の話をまとめますと

①これからコンタクトレンズをされる方は必ず眼鏡も購入するようにしてください。

②ソフトコンタクトレンズの方は塩化ベンザルコニウムが入った目薬をささないようにしてください。

③レンズケースを1ヶ月半から3ヶ月程度で交換するようにしてください。

④コンタクトレンズをつけたまま寝ないようにしてください。

⑤ソフトコンタクトレンズを購入される場合1dayタイプを選ぶようにしてください。

という5点です。コンタクトレンズは高度管理医療機器に分類されるもので透析機や人工呼吸器と同じレベルの位置づけです。副作用が出た場合人体へのリスクが高いものとして考えられています。コンタクトレンズのケアをしっかりしていただて、定期通院も必ずされるようにしてください。今回はコンタクトレンズで失明する人の特徴に関してお話させて頂きました。


(2022.12.14)