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97. これ食べ続けると失明!?

今回は目の老化が進む取りすぎ注意の食事に関してお話させて頂きます。普段何気なく食べているものが目にとって悪影響があるものご存知でしょうか。よく言われるのが糖分との関係です。糖分は身体にとって必要なものであるのは間違いありません。ただし、必要以上に糖分をとって、運動せずに代謝されないでいると蓄積した糖分は身体に様々な悪影響を及ぼします。糖分による悪影響を「糖化ストレス」といいます。余った糖

は身体の中のタンパク質と結合して体温によって熱が加わることで終末糖化産物といいますが、「AGE」という強い毒性をもった物質に変化することが知られています。AGEは老化物質であり、悪玉物質の一種です。

身体の多くの臓器はタンパク質でできています。頭髪、皮膚、骨、血管、脳、目の場合水晶体もタンパク質です。水晶体が糖化すると、白内障になりやすくなります。白内障なら手術すれば治るから別にいいよねと思われるかもしれません。しかしこの糖化による影響は白内障だけでなく最近の報告だと加齢黄斑変性症、緑内障にも悪さをすると言われています。そのためこのAGEを体内に過剰に蓄積させることは危険です。今回はこのような食品を摂りすぎるとAGEがたまって目に悪影響となる可能性がありますということに関してお話させていただきます。

AGEというのはタンパク質と糖が合体して熱を受けて変性してできたものです。よくパンケーキに例えられますが、糖質である小麦粉を練って、牛乳や卵のタンパク質を加えて加熱した際に出来る焦げ目の部分です。カリっと焼いたベーコンであったり、ステーキやハンバーグの焦げ目の部分にはAGEが大量に含まれていて強い毒性があって、老化を促進させます。

目の糖化反応で代表的なものは白内障です。


白内障は水晶体が濁ることが主な原因です。水晶体はクリスタリンというタンパク質で出来ています。クリスタリン蛋白は特有の立体構造をとって光の乱反射を防いで水晶体の透明性を維持していますが、このタンパク質が変性することによって水晶体の透明性が失われていきます。

白内障の主な原因は「酸化ストレス」とそして今回の「糖化ストレス」によるものです。酸化ストレスというのは酸化反応によって引き起こされる有害な作用をいいます。酸化ストレスを分かりやすくいうなら身体の錆びとなる原因です。加齢、紫外線、喫煙などによって「活性酸素」というものが生み出されてタンパク質を変性させます。そのため活性酸素から目を守ることが大切です。予防法として非常にシンプルな事ですが、外出時にサングラスやつば付きの帽子をして紫外線をカットしたり、禁煙することや抗酸化物質のルテインやビタミンC、Eを積極的にとることが有効です。また白内障予防の目薬をするのも効果的です。代表的な目薬はピレノキシンというものです。軽度の白内障に使用することでタンパク質の変性を防いで進行の抑制が期待できます。

このような酸化ストレスから目を守ることも大切ですが、同じく大切なのが今回の糖化ストレスを避けることです。糖化ストレスは体内に吸収された過剰な糖分によって引き起こされる反応です。過度の糖化によって発症する代表的な全身的な病気は糖尿病です。糖尿病の方は正常の方より5倍早く白内障になると言われています。

通常糖分は運動などで代謝されていくんですが、余った糖分はタンパク質と結合して体温によって熱が加わることで「AGE」が作られます。常に高血糖状態が持続している糖尿病の方はもちろん注意が必要ですが、健常者にも蓄積しますので若いから大丈夫というわけではないんです。

水晶体のタンパク質は糖化されてAGEという劣化した物質になって蓄積していくことで水晶体が混濁する原因になります。水晶体は粘膜と違ってターンオーバーできないので、一度変性してしまうと悪くなることはあっても元に戻る事ができません。

白内障だけでなく冒頭でもお話した通り、加齢黄斑変性症や緑内障を悪くする要因になります。加齢黄斑変性症は日本人の中途失明原因の4位、アメリカでは1位の病気です。加齢黄斑変性症は黄斑部という視機能に大切な部位に障害が起きてしまって視覚障害を引き起こします。単に視力が低下するだけでなくて、物が歪んでみえる変視症、見たい中心部分がが霞んで見える中心暗点といった症状を引き起こします。注射やレーザーといった治療があるんですが、結局後遺症が残ってしまうことが多いです。


この病気の初期病変にはドルーゼン

という沈着物が網膜にできるんですが、このドルーゼンはAGE化されたタンパク質が凝集されたものと考えられています。この糖化されたタンパク質が網膜に炎症を起こして加齢黄斑変性症の引き金になっているということが最近の研究で指摘されています。日本人も食生活が欧米化しつつあるので今後加齢黄斑変性症は増えていくのではないかと予想されています。

緑内障は国内では中途失明1位の眼疾患です。AGEは皮膚に機械をあてて簡単に測定することができるんですが、皮膚のAGEを測定して値が高い人ほど緑内障になっている人が多いという報告もあります。これは篩状板

というコラーゲンでできた部位のAGE化が指摘されています。視神経は篩状板という部位に支えられていますが、この部位が硬く変性することで視神経に物理的なストレスを与えて障害を与えていると考えられています。

また落屑緑内障という緑内障の中でも進行スピードが早いタイプの緑内障があるんですが、その緑内障も皮膚のAGEの値が高い人ほど多かったという報告もあります。緑内障は点眼治療による薬物治療が最優先されるものですが、充分に下降しているにも関わらず緑内障が進行している場合日々の食生活に原因があるかもしれません。

このように糖化反応は白内障、加齢黄斑変性症、緑内障への影響があげられていますが、もちろん目だけに悪影響を及ぼすわけではありません。人の身体のあらゆるタンパク質に反応します。皮膚のコラーゲン線維を変化させてしわ、たるみの原因になります。血管のコラーゲン線維を変化させて心筋梗塞のリスクを高めます。脳にあるタンパク質、βアミロイドを変性させてアルツハイマー認知症の可能性を高めます。骨にもコラーゲン線維が含まれているので骨粗鬆症のリスクにもなります。身体の様々な部位へのAGE化をすすめることで老化現象を早めるんですね。

そのためAGE を出来るだけ体内に蓄積させない必要があります。

AGEは2通りのしくみで体内に蓄積します。

1つは過剰な糖分を一気に摂ることで身体に残りやすくなります。体内で代謝されずに余った糖がタンパク質と結びついてAGEができます。長い時間高血糖が持続しないようにしてください。具体的には①早食いして急に血糖値があがらないようにする。②低GI食品をとるようにする。③間食を摂らないようにするといった事が大切です。

2つめはAGE値が高い食品をそもそも摂らないようにしてください。

炭酸飲料、揚げ物、スナック、インスタント食品はAGE値が非常に高いです。ほとんどは消化の段階で分解されますが、過剰量は蓄積されて体の中に残ってしまいます。AGEは糖とタンパク質に熱反応が加わることで作られるんですが、加熱する温度が高いほどより多く発生します。生→茹でる→蒸す→煮る→焼く→揚げるの順でAGEの値が高くなります。唐揚げ、とんかつ、ステーキ、焼き鳥のような動物性脂肪食品には多く含まれています。一方で茹でる、蒸す、煮るといった調理方法なら加熱温度が低めなのでAGE値も低いです。刺身など生の食品がおススメです。

このように過剰に糖分をとったり、AGE値が高い食べ物を食べ続ける事で健常者であっても老化をすすめる原因になるので注意してください。今回の話をまとめますと

①身体の老化の原因は酸化ストレスだけでなく糖化ストレスも関係があります。

②過剰の糖がタンパク質と結合して体温によって終末糖化産物 AGEというものが作られます。

③AGEは強力な毒素で老化をすすめる物質です。

④蓄積することで目の場合白内障だけでなく加齢黄斑変性症、緑内障といった病気を悪化させる原因になります。

⑤血糖値が急激に高くなるような食事や、AGE値が高い食品を避けることが大切です。

という5点です。AGE値が高い食べ物は脂と糖でできたおいしい食べ物です。糖質は生きていく上で必要なもので完全に糖化を避ける事は難しいですが、糖化を緩やかにすることが大切です。野菜やきのこ類を先に食べて血糖値の上げ方を緩やかにするといったことやAGE含有量の多い食品を減らすようにしてください。含有量が多い食品は唐揚げやステーキのような高温で調理したものですが、その中で非常にAGEが高いものはポテトチップスやフライドポテトです。スナックとしておいしいものではありますが食べ過ぎには注意するようにしてください。

今回は目を老化させる危険な食品に関してお話させて頂きました。


(2022.10.7)