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98. さよなら飛蚊症

今回は飛蚊症を忘れるための方法に関してお話させて頂きます。眼の前にある飛蚊症が不快で仕方がないと言われる方が多いです。飛蚊症というのは自分にしか見えない浮遊物を言います。アメーバー状のものであったり黒い点状のもの、目を動かす度についてきて鬱陶しいですよね。この飛蚊症は若くして自覚されている方もおられますが、一般的には50歳以降に自覚する事が多くなります。飛蚊症は硝子体というゲル状でできている成分の1つであるコラーゲン

が変性することが原因です。目から入ってきた光

がこのコラーゲンに当たり網膜に影となって映ることで飛蚊症として自覚します。この塊が

網膜に近くて大きなものであれば影をはっきり自覚しますし、逆に網膜から遠くて小さいものであればあまり気になりません。このように飛蚊症は変性したコラーゲンの影を自覚しているのですが、どの程度自覚するのかは目から入ってきた光の強さと変性したコラーゲンの位置とその大きさによります。今回は飛蚊症を自覚しないようにするためにはどうしたらいいのかということを日常生活でのポイントであったり最近の飛蚊症に対する海外で行われた研究などを含めてお話させていただきます。

飛蚊症の原因は硝子体に含まれているコラーゲンの変性物質です。そのためこの元を除去できれば飛蚊症の症状はなくなります。ですが保険診療では変性したコラーゲンを取り除く治療が残念ながらありません。自由診療では硝子体手術や硝子体YAGレーザーという治療がありますが、まだ確立された治療法ではありませんし手術であるためリスクも伴います。そのため飛蚊症の原因が病的なものでないのなら僕らがよく言うことは経過を見ましょうとお話する事が多いです。

これには理由がありまして、

後部硝子体剥離

といいますが変性したコラーゲンを含んでいる硝子体は年齢とともに縮んでいって網膜から離れていくからです。離れて行くにつれて網膜に映る影も薄くなるので自覚しにくくなります。実際期間としてだいたい半年から1年もすると7割ぐらいの方は忘れてしまう方が多いです。このように待てば改善することが多いんですが、飛蚊症が消えなくて、そればかり気になってしまって辛くて精神的にまいっている方が多いのも事実です。

飛蚊症を完全になくす事は中々難しいんですが、日常生活で出来るだけ飛蚊症を気にしないような環境作りをされるのも大切だと思います。飛蚊症を忘れるためのポイントを海外でされた研究を含めていくつかご紹介させて頂きます。

ポイントの1つ目、外出時はサングラスをするようにしてください。飛蚊症は青空や白い壁を見るときに気づきやすいですよね。逆に夕暮時や夜間になるとほとんど気にならなくなると思います。これは光量が関係しているからです。先程もお話しましたが

飛蚊症は光がコラーゲンにあたり、その影が網膜に映ることで自覚します。そのためはっきりした影をできるだけ作らないように工夫することが大切です。明るい光であればあるほど、飛蚊症の原因になっているコラーゲンの影がしっかり網膜に映ります。逆に光が弱いと影が網膜に映りにくくなります。サングラスをした方がいいのはこのように眼内に入る光の量を減らすということともう1つ理由があります。黒目の大きさを収縮させないことです。明るい光に反応して黒目、瞳孔は収縮して小さくなります。黒目が小さくなると光が集まって収束するので網膜に映る影も強くなるんですね。暗い部屋にいると瞳孔が大きくなるという事から分かるように、サングラスをすることで黒目が収縮せずに、逆に少し広がるので光が拡散されれて飛蚊症の症状を緩和できる可能性があります。

このことから分かるように眼内に入る光の量を少なくするということであったり、強い光を浴びて黒目が小さくならないするという事が日常生活で飛蚊症を忘れるためのポイントになります。

次に2つ目、スマホやタブレットを使う時はダークモードにしてみてください。通常モードは白を基調として黒文字になっていると思います。明るくて見やすいというメリットはありますが、先程と同じで光量が強いため飛蚊症を自覚しやすくなります。ダークモードは目に優しく電池が長持ちする効果があります。強い光量ほど飛蚊症を自覚しやすいので光量を落としたモードにされるのがいいと思います。ダークモードがなければ、ディスプレイの光量を少し落としてみてください。

3つ目、日常生活のほとんどを自宅で過ごされている方なら特に注意してほしいことです。部屋の光が調光ができるのであれば少し部屋の光量を落としてみてください。またこれから家を建てる予定がある方なら真っ白な壁にするよりは少し色調を落とした壁紙を選ばれるのも良いと思います。デスクワークがメイン

の方であれば思い切って自分の周りを黒のパーテションで区切るのも有効だと思います。

これら3つ、どれも共通していえることは飛蚊症の原因となっている光の強さを落として、原因となる影をできるだけ薄くするという事を目的にしています。非常にシンプルなことですが、これだけでだいぶ自覚症状は減ります。是非試して頂きたいです。

最後4つ目はヨーロッパで報告された内容で、目薬で飛蚊症を軽減する方法をご紹介します。まだ実臨床で採用されていない薬の話になってしまいますが、低濃度のアトロピンという目薬を使って飛蚊症の症状を軽減させる方法です。この目薬を使うことで7割の方が飛蚊症を気にしなくなったという報告がされています。アトロピンは瞳を広げる作用があります。この作用を利用しています。

先程もお話しましたが、瞳が小さいほど光

が収束するので影がはっきりと写ります。一方で瞳が少しでも広がれば、光が拡散するので影の写り方が弱くなります。光にはこのような光学的な特徴があります。アトロピンは通常1%で、外来では子供の屈折検査や弱視治療で使用します。検査の薬として現在も大切な薬ではありますが、薬の効果がとても強くて1度の点眼で1週間程度瞳が開きっぱなしになって見にくくなります。全身症状が出ることがあり頭痛、発熱、ふらつき、頻脈のような副症状が出る場合もあります。

そのため1%のまま使用するのは全く現実的ではないんですがこの目薬を100倍に薄めた0.01%の低濃度のアトロピンはそのような副作用はほとんどなく、瞳を広げる力もわずかです。平均1mm程度、わずかに瞳を広げて、入ってくる光の量を拡散させて影を目立ちにくくするという方法です。わずかにしか瞳を広げないので見え方への影響は殆どなく、1日1回目薬をさすだけで1日効果があり7割の方に飛蚊症の症状が改善されたと報告されています。この0.01%の低濃度アトロピンは子供の近視抑制にも使われる目薬です。今まで眼科で瞳を広げる検査をされた事がある方で、瞳を広げたときにそういえば飛蚊症が目立ちにくくなったという経験がある方はこのように瞳を広げる事が効果的かもしれません。まだ実臨床としてはない目薬ではありますが、アトロピン自体は大昔から実在している薬です。希釈するだけ作ることは可能ではありますが、今後研究が進みいつか処方できるようになればと思っています。今回の話をまとめますと

①飛蚊症はコラーゲンの変性したものが光の影となって網膜に写ることで自覚します。

②変性したコラーゲンの大きさ、網膜との距離、光の強さが飛蚊症の見え方に影響します。

③光量を減らすために外出時のサングラス、デジタルデバイスのダークモード、照明器具の輝度を落とす事が有効です。

④瞳を広げる目薬で7割の方に自覚症状が改善したという報告があります。

という4点です。飛蚊症を自覚したらまずは今お話した内容を試すより眼科に受診して目の異常がないことを確認してください。急に増えた飛蚊症、真っ暗な部屋にいるにも関わらず稲妻のような光が見える症状、光視症といいますがそのような症状が頻発してるときは何か病的なものが起きた可能性高いです。網膜裂孔、網膜剥離、眼底出血、ぶどう膜炎のような病気が原因かもしれません。近視が強い方、糖尿病がある方は注意が必要です。必ず自己判断せずにまずは目に異常がないことを確認してください。加齢性の飛蚊症であれば通常は半年程度で気にならなくなっていくことがほとんどです。後部硝子体剥離が進んでいく中で変性したコラーゲンが離れていき、そして重力の影響も受けて視軸から外れていく

事が多いからです。それでも完全に消えない方もおられます。出来るだけ明るい光を避けるようにして、飛蚊症を気にせず集中できる環境を作る事が症状を軽減するポイントになりますのでよければ参考にしてください。

今回は飛蚊症を出来るだけ自覚しないためにはという内容に関してお話させて頂きました。


(2022.10.17)