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近視抑制治療

①低濃度アトロピン

以前より、1%アトロピンという点眼薬が近視を抑制する効果があることが分かっていましたが、瞳孔が開いたままになるため、副作用が強いというデメリットがありました。
しかし近年の研究によって、低濃度アトロピン(0.01%)であっても近視の進行を抑制する効果があることが明らかになり、近視抑制治療として確立されています。
当院では、低濃度アトロピンを使った近視抑制治療を行っております。
毎日就寝前に一滴、点眼するだけで、近視の進行を平均30%程度軽減させることができます。
低濃度であるため、アトロピンの副作用(ふらつき、めまい、発熱)もほとんどありません。
低濃度アトロピン点眼は最近始まった治療のため岐阜市では行っていないところが多く、保護者の方にも十分な説明を行い、慎重に治療を行っていきます。

治療方針

当院での治療方針は、6ヵ月で−0.5D以内の近視進行であれば点眼をそのまま継続し、6ヵ月間で−0.5D以上の近視が進行すれば、少し濃度を濃くしたアトロピン点眼に変更するか、オルソケラトロジーや多焦点ソフトコンタクトレンズを併用するかを検討し、近視が進行しにくくなる15歳~18歳ぐらいまでは治療を継続することをお勧めしています。

②オルソケラトロジー

特殊なカーブのハードコンタクトを寝ているときに装用することで、角膜が圧迫されてカーブが変わり、昼間裸眼で見えるという方法です。あらゆる光学的治療の中で最もエビデンスレベルが高い(近視抑制効果が高いと考えられている)治療がオルソケラトロジーのレンズです。近視抑制効果は30-50%程期待できます。(低濃度アトロピン点眼との併用で相乗効果が期待できます
こちらは自由診療になります。
月々4.400円(片眼)、7,700円(両眼)
(レンズの洗浄保存液は別途費用が必要です。)
【リスク・副作用】
通常のハードコンタクトと同じような充血やアレルギーなどのリスクがあります。また、ハロー・グレア(夜間に光がまぶしく感じたりする症状)が発生するリスクがあります。

こんな方にオススメ

  • お子様で視力低下の進行が早い
  • スポーツ (水泳・球技・格闘技など)をしていて眼鏡ができない
  • 自分ではコンタクトレンズ管理ができない(小学生など)
  • 近視の手術に抵抗感がある
  • ドライアイで通常のコンタクトが使えない
  • 比較的近視や乱視が軽い

③特殊コンタクト(多焦点ソフトコンタクトレンズ)

近視は周辺網膜でピントが合わず、焦点が後方にずれることによって起こることが報告され(軸外収差説)、この周辺網膜での焦点ずれを軽減することで近視の進行を抑制できると考えられています。

多焦点ソフトコンタクトレンズはレンズ中央部分で、網膜中心に光の焦点が合いますが、レンズの周辺部分に向かって加入度数を増して、網膜の手前でピントが合うように設計されています。 適応範囲が広いためオルソケラトロジーのできない強い近視の方も使えます。 近視抑制機序はオルソケラトロジーと同じなので抑制効果は同等(30-50%)と考えられています。 昼間の装着が必要ですので、自分で管理できる年齢の方が対象となります。当院で使用しているレンズはシード1Day Pure EDOF(MID)です。 遠方・中間・近方度数が複雑に組み合わされた光学デザインになっています。

④適切な眼鏡処方、近視抑制用眼鏡

「眼鏡をかけ始めると一気に近視が進むから良くない」という話を聞いたことありませんか?よく聞かれる内容ですが、結論から言うとそれは迷信です。
遠くから近くまで常にクリアな見え方をしている方が、近視進行抑制には有利とされています。
そのため「できるだけ裸眼で頑張った方が目は悪くならない」はお子様にとってデメリットでしかありません。
現在はやや弱めにした低矯正メガネより、ピッタリ合った完全矯正メガネが近視の抑制によいと報告されております。
又、学童は、近見作業時にはフォーカスが網膜の後ろにずれる傾向(調節ラグ)があり、これが近視進行刺激になります。
レンズの近見エリアにプラスの加入度数を付けて調節を助けることで、調節ラグを低減し、近視進行刺激を減らすメガネも処方できます。
眼鏡による治療であればより小さな子供でも簡単に可能であり、さらにコンタクトレンズや薬物療法と比較して、副作用がほとんど、またはまったくありません。当院では、お子様のメガネ処方に慎重に対応しております。

⑤サプリメント(クロセチン)

カロテノイドの1種であるクロセチンが近視の進行を抑制した研究データが発表され、クロセチン配合のサプリメントが近視進行の抑制に期待されています。
1日2時間の屋外活動が近視抑制に有効なことが分かっていますが、これは太陽光に含まれるバイオレットライト(太陽光に含まれる波長360〜400nm領域の紫色の光)が「EGR-1」という近視を抑制する遺伝子の活性化するためだという発表があります。クロセチンも同様に近視抑制遺伝子EGR1を活性化します。 (近視抑制効果があると発表された「クロセチン」の含有量は7.5mgですが、一般で販売されているロートクリアビジョンジュニアには、2.5mgと少量しか入っていませんので注意してください。)