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30. 涙は出ているのにドライアイ!?

ドライアイ、いわゆる乾き目の治療に関してお話しさせて頂きます。
ドライアイで悩んでる人は結構多く、実に日本人の2200万人の方がドライアイであると推定されております。ドライアイとは単純に涙の量が少ないからなると思われる方が多いと思いますか、ドライアイだけでも奥が深いんです。ドライアイなら涙を補う目薬をさすしかないんじゃない?市販薬で売ってるのをとりあえず使ってみよう。と思われている方もいらっしゃるかと思います。もちろんそれで改善されたということならいいのですが、中々良くならない方はしっかり原因を検索することが大事です。ここでまずドライアイとは何かということから話そうと思います。ドライアイとはどんな状態を言うのでしょうか?
ガイドラインから引用しますと、ドライアイは「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。」と定義されてます。ここで注目するのは涙液層の安定性という言葉です。すなわちドライアイというのは単に涙の量が少ないというものを指すわけではなく、目の表面の涙の層が安定している事が大切なんです。
涙は水層と油層と2つの層でできています。上瞼の涙腺というところから水成分が作られ、白目の結膜からムチンというネバネバの物質が作られて涙の水層部分が作られます。そして、瞼の縁にあるマイボーム腺というところから油がでて油層を形成されてます。これらの成分がバランスよく存在することでしっかりした涙が出来るんです。目の表面に水成分の液層があり、その上を油層で覆っておりこのように涙の層は2層に分離されています。水成分は目の表面全体を潤し、油が最表面にあることですぐに蒸発しないようになっているわけです。例えば、この中でマイボーム腺という油を分泌する腺に機能異常があるとします。そしたら油の成分が作れないために油の量が減ります。そうなるとせっかく作られた涙は蒸発しっぱなしになり目の表面に留まる事が出来ないんです。作られたお水はすぐに蒸発し、ドライアイになってしまいます。これを蒸発亢進型ドライアイといいます。この場合、油成分が足りない人にいくら潤いの目薬をさしても蒸発していくばかりで意味はありません。マイボーム腺というところの機能が回復しないといけないんですね。ですから瞼を温めたりだとか、ベビーシャンプーのようなものであらいマイボーム腺を清潔に保っておく必要があります。逆に根本的に涙が少ない状態があったとします。涙腺という部位から作られる涙が少ない状態です。通常目は乾くと反射的に涙を流す作用があるのですが、様々な原因により乾いても涙の量が分泌されない場合があります。原因としては加齢が多いように思いますが、その他にシェーグレン症候群や、膠原病などが元にあり涙腺からの涙の量が少なくなっている場合がありますし、アレルギーの薬の抗ヒスタミン薬であったり、抗コリン薬という内服薬を飲んでいる場合は涙の量が減りますので薬剤性が原因だったりします。このように涙の量が減る事によるドライアイを涙液分泌減少型ドライアイといいます。これは涙の量が少ないことによることが原因ですので場合によっては市販の潤いの目薬が効く場合があります。 
 このようにドライアイのパターンは大きく分けて2つあります。1つは涙の質的なものの変化による蒸発亢進型ドライアイというものです。これは涙の成分の内マイボーム腺という部位から作られる油の成分の不足しているために涙が蒸発しやすくなっている状態です。涙成分の水の部分は作られているのでいわゆる涙は出ているのにドライアイになるという現象です。もう1つは涙の水の部分が何らか原因により作られていない、涙液減少型ドライアイです。

これらのうち最近の研究では約8割の方はマイボーム腺機能不全による蒸発亢進型ドライアイであるといわれています。すなわち涙は出ているのにドライアイになるというものです。このドライアイは今までお話した通り油の成分が不足しているために涙の量は正常に作られていても油がないためどんどん乾燥してしまうんです。あれ、目が乾くなと思って市販のドライアイの目薬をさしても市販のドライアイの目薬は涙の水成分を補うものですので一向によくなりません。涙は正常に作られており、指したところで指した瞬間は一時的によくなるかもしれませんがすぐに蒸発してしまいます。この場合はマイボーム腺の治療が必要になります。まぶたのあたりを温かいタオルで温めたり、まぶたの周りを洗い洗浄したりすることが必要になってきます。

そういう事でドライアイ1つでも様々な原因がありタイプによって治療法も異なってきます。ドライアイもひどいと目の違和感だけに留まらず頭痛や肩こり、気分が優れないなど精神的な苦痛へと広がっていくことがあります。眼科でドライアイの原因を検索して合った治療法で治療されることをおすすめします。
 
(2021.6.26)