目のサプリメントには色々ありますが、目のサプリメントといえばブルーベリー!と言われる方が多いのでのブルーベリーの効用に関してお話させて頂きました。ブルーベリーはアントシアニンというものが含まれており、ロドプシンという物質の合成に関わっております。効果について簡単に言うと夜盲と言って夜見にくいなどの症状がある方には改善の可能性があるのでいいかもしれないというお話させて頂きました。ただ、何でもかんでも目に効くっていうのはちょっと言いすぎだと思いますし、医学的根拠も特にありませんので私個人的にはあまりオススメしていません。
今回は私がこれはおすすめしたいなと思うサプリメントに関して、お話させて頂きたいと思います。眼科のサプリメントは様々なものがあるのですが、ルテイン、そしてゼアキサンチンというものを含んだサプリメントはこれは医学的に根拠があるサプリメントでありおすすめしてます。
ルテインやゼアキサンチンは目の黄斑という視機能でとても重要な部位に存在しています。ルテインは黄斑の周囲、ゼアキサンチンは黄斑中心に含まれており、大切な役割を担っています。
体内で自然に合成できるものではありません。食事を摂ることによって作ることができます。ルテイン、ゼアキサンチンで構成された黄斑色素は網膜に有害な光を吸収し、活性酸素を消去することで、網膜を守る作用があると言われています。
こういった事が広まってきたため最近患者さんの中でも自らルテイン飲まれてる方が多くなってきており、だいぶルテインというものが世に浸透してきているのだなという印象があります。このサプリメントは加齢黄斑変性もしくはその他黄斑の疾患がある方には飲んでほしいサプリメントとしてオススメしてます。加齢黄斑変性は、網膜の黄斑というところに異常な老化現象
が起こり、視力含めた視機能が低下してくる病気です。これは黄斑色素が加齢等の原因により減少してきていることが原因であると言われてます。黄斑は網膜のほぼ中央にあり、ほかの部分の網膜に比べて視機能が格段によく、物を見る非常に重要な部位です。ここが障害されると物が歪んでみえたり、
みたいところが暗くみえたり
相当視覚的な機能が落ちる病気です。日本では現在中途失明率は緑内障がトップなのですが、アメリカでは加齢黄斑変性症がトップなんですね。ちなみに日本は4位が加齢黄斑変性で実際多くの患者さんがおられます。
欧米では加齢黄斑変性が失明率1位といった事情もあり、この病気に関して様々な研究が行われております。その中で有名なものとしてAREADSという試験からはじまり、その更に研究を進めたAREADS2という全米 85 ヵ所の施設で合計 4,200 人の 加齢黄斑変性症の患者さんが5年間にわたる追跡調査の対象となり、この大規模スタディでルテイン、ゼアキサンチンの摂取の重要性を指摘しています。
この研究結果に基づいて病気が発症してから飲むのではなく次の所見がある方に予防的に内服することを推奨されてます。
黄斑症の前駆症状には①多数の中型ドルーゼン及び大型ドルーゼンを含む場合、②中心窩外に地図状萎縮がある場合、③既に片眼加齢黄斑変性症が生じている場合です。
この場合はサプリメントの効果が期待でき飲むべきだと考えられています。ただ、多くの人は③を除いて自覚症状が無いんですよね。ですから50歳を超えたら眼科の検診を受けて異常がないか確認してほしいなと思います。加齢黄斑変性症は2009年から抗VEGF薬といって目の中に注射する薬剤ができ、大きく治療法として貢献してますが根治することは未だに難しい病気です。注射の治療は定期的に2〜3ヵ月毎に打ち続けなければならないことが多く、さらに保険診療といえど注射の費用も高額であるため大変です。早めに分かってサプリメントを使い全員が発症を予防できるわけではないのですが、予防できる可能性は高くなります。実際AREADS2という試験では38〜43%進行を抑えたという調査結果が出ております。
こういったサプリメントなどでの食生活の改善の他に喫煙者は,非喫煙者に比べ 4 倍の発症の危険があるという疫学調査の報告がありますので、喫煙されている方は同時に禁煙も非常に大切です。喫煙は肺癌、喉頭癌、高血圧からあらゆる病気のもとになりますが目もこういった疾患の原因になりますのでサプリメント以上にまずは禁煙をおすすめします。食事で取る場合ルテインは、ほうれん草ブロッコリー 青梗菜 小松菜 などに、ゼアキサンチンは、パプリカ、トウモロコシ、柿、鶏卵などに含まれています。
これらを意識的に取れるのをまず優先して下さい。好き嫌いがあり食事で取れないのならサプリメントを使用するようにしてください。
ルテインやゼアキサンチンは目の合併症の予防だけでなく皮膚老化、アテローム性動脈硬化症及びある種の癌との関連が認められています。目に関してのサプリメントでこれ程実証されているものは現状なく、皆さんの参考になればと思います。
(2021.5.22)