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144.目に良くない薬

今回は知らずして毎日飲み続けている薬が目に悪影響が出ているかもしれませんという、薬と目の関係に関してお話いたします。普段常用されているお薬って何かありますか。眼科受診される方は、眼科と内科のように他の科もかかられている方が多いので血圧の薬、高脂血症の薬、なにかしら飲まれている方が多いです。薬には病気を治したり、症状を軽くする役目がありますが、ご存知と思いますが、副作用もあります。例えば花粉症の薬を飲むと、鼻炎やそう痒感のようなアレルギー症状を改善しますが、眠くなるといった副作用がありますし、風邪薬を飲むと咳鼻症状はある程度改善するけど湿疹ができた、薬疹といいますが、皮膚にボロができたというような副作用が出る事があります。このような感じで薬を飲むと、目にも副症状がでるものがあります。

軽いものでいうと乾き目、ドライアイやまぶたの痙攣を起こすもの、重症のものだと白内障の進行や、眼圧の上昇、視神経に炎症を起こすものもあります。薬を辞めることが症状改善の鍵だったということは結構あるので、内服薬の確認は必ずしています。
今回はこのような薬を飲み続けるときは注意してください、ということに関してお話いたします。

注意したい薬は色々あるんですが、まず1つ目は抗コリン作用がある薬です。抗コリン作用とはアセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制させる薬です。市販薬買うときに見たことないですか?緑内障の方は注意と書いてある薬です。その薬には抗コリン薬が含まれています。

患者さんだけでなく他科の先生からも次のようによく聞かれます。

私は緑内障ありますが、風邪薬飲んでもいいですか?

緑内障の患者さんですが、風邪薬を処方しても大丈夫ですかと聞かれることがあります。

緑内障の方なら1度は不安に思ったことがあるかもしれません。私は緑内障だから風邪薬飲めないと思っていて漢方薬で済ませている方も実際よく目にします。

抗コリン薬は、こういった風邪薬だけでなく、睡眠薬、精神病薬、パーキンソンの薬、アレルギーの薬など色々な薬に含まれています。

何故このような注意書きがされているのかというと緑内障のタイプによって眼圧をあげたり、急性緑内障発作といって、一晩放置するだけで失明する危険な緑内障の引き金になることがあるからです。

ここでポイントは最近になって緑内障(狭隅角)の方は注意と記載されるようになりましたが、狭隅角の方に問題であって日本人に多い正常眼圧緑内障の方は隅角が広いので問題にならないということです。

抗コリン薬で注意したいのは

①狭隅角の診断を受けている

かたともう1つあって

②元から目が良い方で眼科未受診になっているかたです。

元々目が良い方は遠視の方が多くて、遠視の方に狭隅角であることが多いからです。

実際急性緑内障発作を起こす方は眼科未受診の方に多いです。

ちなみに狭隅角の方でも抗コリン薬に問題なくなることがあります。

それは予め白内障手術を受けていたり、レーザー治療を受けていれば抗コリンの影響を受けなくなるので内服可能です。このような治療を受けていれば、狭隅角と診断されていても緑内障に注意と書いてある薬も安心して内服することができます。

実際は緑内障と診断されている方のうち狭隅角の方



は緑内障全体の10%程度しかいません。

なので多くの緑内障の方は心配がいらないわけですが、自分がどのタイプの緑内障か知っている方はほとんどいないと思うので心配なら一度聞いてみるのがいいと思います、私は目がいいから緑内障とは無縁というわけでは決してないことだけ知ってもらえたらと思います。未受診の方が一番危険です。

正常眼圧緑内障、すなわち隅角があいている人は抗コリン薬が大丈夫なのは分かった、では隅角が空いている人はどの薬も大丈夫かというとそうではありません。隅角が開いている人も注意が必要な薬、それが2つ目ステロイドです。

ステロイドは内服薬、外用薬、吸入薬、目薬など色々あります。ステロイドは切れ味がよくて全身の炎症を抑える大きな効果がある反面、様々な副作用があります。全身的には骨粗鬆症や、胃潰瘍、糖尿病など色々な副作用がありますが、目にもあります。代表的なものは緑内障です。ステロイド性の緑内障といいます。

通常の緑内障と違って知らぬ間に眼圧が30、40と上昇することがあります。緑内障の進行スピードは基本、眼圧に依存します。

そのためステロイド性の緑内障は視野の進行が非常に早い場合があります。

ステロイドで眼圧が上がるのは、目の中を循環しているお水の出口、隅角という部分に目詰まりを起こすからです。お水の排出がうまくいかないので30、40と眼圧がどんどん高くなります。

眼圧は30、40と上昇しても痛みもなければ見にくいといった症状が出ません。

特に気を付けたい方は目のまわりにステロイドの軟膏を使っている方や目薬をしている方です。ステロイドの影響が出やすいです。フルメトロンや、リンデロンといった目薬を使い続けていることはないですか?眼科に通院されている方はいいのですが、4ヶ月に一回とか半年に一回とか受診間隔が空いているかたは注意してください。

このようにステロイドの影響を受けやすい方をステロイドレスポンダーといいますが、若い方ほどステロイドの影響を受けやすいことで知られています。

ステロイドは眼圧を上げることがあるだけでなく、白内障の原因にもなります。加齢性の通常の白内障と違って進行が早くて、たった数ヶ月で真っ白に濁るような事もあります。ステロイドの目への影響は他にもありますが、代表的なものは緑内障と白内障です。ステロイドを使用されている方は定期的に眼科受診されるようにしてください。

3つ目、アレルギーの内服薬、睡眠薬を飲んでいる方です。ドライアイの原因になっている可能性があります。

これも1つ目でお話した抗コリン作用によるものです。抗コリン薬には分泌腺の働きを抑える作用があります。そのため口が乾いたり、汗の分泌を抑えたりというような乾きを促す作用があります。目にも涙を出す涙腺という分泌腺があります。涙の分泌を抑えてドライアイ症状が酷くなっている可能性があります。

1剤のみで症状が出る方はあまりいませんが、抗コリン薬はたくさんの薬に含まれてます。風邪薬、胃薬、パーキンソンの薬、血圧の薬、それに今お話した睡眠薬、アレルギーの薬などです。抗コリン作用含むものをいくつも同時に内服している場合、ドライアイの原因になっている事があります。目薬しても治らない場合、一度内服薬に関して相談されるのもいいですね。

4つ目、睡眠薬や抗不安薬に含まれるベンゾジアゼピン系の内服薬を飲んでいる方です。眼瞼痙攣といいますが、まぶたがピクピク動く原因になることがあります。まぶたがピクピクすることってないですか?原因の多くは眼瞼ミオキミアといってストレスなどによる影響であることが多いですが、中にはこのように薬に影響をうけていることがあります。デパスのような飲み薬をのんでいる方で瞼の痙攣が多い方は薬と関係があるかもしれません。

5つ目、血液がサラサラになる抗凝固薬を飲んでいる方です。時々目が真っ赤になることないですか?結膜下出血といいますが、赤目の原因になっていることがあります。目の白目の血管が切れて真っ赤になる状態を結膜下出血といいます。眼科的には病的意味はないのですが、見た目が派手なのでびっくりして眼科受診される方が多いですね。

通常1、2週間で引く出血が、1ヶ月くらいかかったり、年に何度も繰り返す事があると思います。

このような薬は血栓が脳や心臓につまらないようにするための大切な薬ではありますが、目にもこういった影響が出る場合があります。目が真っ赤になって心配な方は薬の影響かもしれませんね。結膜下出血程度で辞めることはできないと思いますが、何度も目が真っ赤になる方は内服を確認してみてください。

6つ目エタンブトールという結核の薬を飲まれている方です。結核の治療薬で大切な薬ですが、内服されている方の8%ぐらいに薬剤性の視神経障害を起こす事で知られています。視神経に障害が起きると視力が下がって、色の見え方にも変化が出てきます。

両目に起きることが多いですが、両眼同時に悪くなるというより症状の出方に左右差があることが多くて、また痛みも無ければかゆみもないので自覚症状が出にくいのですね。この場合有効な治療法は薬をやめることのみです。

早めにやめればほぼ改善しますが、症状に気付かないでいると回復しない場合があります。

内服前に内科の先生から眼科にも受診するようにと言われると思いますが、エタンブトール内服中は通院を中断しないように気をつけてください。

その他、抗がん剤なども含めるとまだまだあるんですが、主に注意が必要な薬に関して説明いたしました。思い当たるような事ありましたでしょうか。

今回の話をまとめますと、

①閉塞隅角の方は風邪薬などに含まれる抗コリン薬に注意です。

②もともと目がよい方は狭隅角の可能性があります。

③ステロイド内服中は眼科通院を継続してください。

④抗コリン薬にはドライアイを強める場合があります。

⑤繰り返す赤目は抗凝固薬による影響の可能性があります。

⑥結核の薬を内服するときは眼科受診継続してください

という6点です。このように普段内服している薬が目の症状に影響していることがあります。内服薬が目に影響している場合がありますし、逆に目薬が全身の症状に出ている場合があります。緑内障点眼に多いですが、β遮断薬のチモプトールやミケランといった薬は喘息や頭痛の原因になったりしますし、アイファガンには眠気、めまい、ふらつきを起こすことがあります。目薬をさす前から症状があったという場合原因は目薬にありませんが、目薬さしだしてから頭痛が多くなった、咳が多くなったということがあれば目薬に原因があるかもしれません。

気になる方は先生にお薬手帳を渡してチェックしてもらうようにしてください。

今回は薬による目への影響に関してお話いたしました。

(2024.1.23)