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122. 絶対やめて!目を悪くする危険な習慣

今回は注意してほしい目を悪くする習慣に関してお話させて頂きます。目を悪くする習慣は色々あります。スマートフォンやコンタクトレンズの使い方、日々の食事、喫煙など色々あります。今は見えているから関係ないと思っていても、続けていると取り返しのつかない状態になることもあるので注意が必要です。

今回はこのような習慣を続けると目によくないですよ、ということに関してお話させていただきます。

1つ目は皆さんが普段使われているスマホやタブレットなどのデジタル端末です。実際患者さんからもスマホを長時間見続ける事で目って悪くなりますか?と聞かれる事がありますが、スマホを長時間使って視力が落ちるとか失明するというようなことはありません。ただしスマートフォンを正しく使わないと

①子供の場合近視の進行 ②スマホ老眼と言われる調節障害 ③スマホ内斜視といわれますが、後天性の内斜視 ④睡眠障害 ⑤ドライアイ

の原因になります。

長時間、近距離を見続けることは子供の場合、近視の進行の原因になります。スマホなどのデジタル端末は1日1時間まで、見る時は30cm以上離すようにしてください。

また、近くでものを見続けるという行為は


①目を内側に寄せて(輻輳)、②ピントを合わせて(調節)、③黒目が小さくなって、そして④瞬きの回数が減ります

長時間見続けることによってこれらの目の筋肉がずっと緊張して麻痺してしまう事があります。ピント

の調節ができなくなったり、目が内側に向いたまま治らなくなることがあります。基本的に一時的な症状であることが多いんですが、斜視に関しては手術が必要になったという報告もあるので注意が必要です。

また瞬きの回数が減るのでドライアイのリスクにもなりますし、就寝前に強い光を浴びる行為は睡眠障害の原因になります。明るいところで30cm以上離して、猫背でなく姿勢を正して1時間みたら10分休憩するようにしてください。

2つ目はコンタクトレンズを正しく使うようにしてください。

①コンタクトレンズをつけたまま寝る、➁保存液の代わりに水道水で保存している ➂1dayなのに2,3日連続でつけている。④ネットから国内で流通していないコンタクトを買っている、⑤コンタクトを外したり装着するときに手を洗っていない。これらは厳禁です。そうは言っても今まで何ともなかったから大丈夫と言われる方が、どこかのタイミングで痛い目に合います。コンタクトレンズを正しく使って欲しい理由は2つあります。

①角膜潰瘍と言いますが、黒目の障害は後遺症を残す場合があって事実失明に近い状態にまでなることもあります。

そして感染症以外にあまり知られていませんが、

➁角膜内皮細胞

という角膜の透明性を維持するための大切な細胞が減ることがあります。角膜内皮細胞は再生しないので減ってからでは増やすことができません。減りすぎると将来白内障手術をする場合リスクになります。

平日はコンタクト、休みの日は眼鏡にするなどして目を休む日を作るようにしてください。

3つ目、目薬を決められた回数以上にさす方です。乾き目の目薬を買ってさした瞬間はいいんだけど、目の乾きがよくならないから1日に何回も何十回もさしている事ないでしょうか。さしすぎが目を悪くしている可能性があります。目の表面にあるべき大切な涙成分まで洗い流して、ドライアイが改善するどころか粘膜が荒れる原因になります。市販の目薬は気軽に買えるということでメリットがありますが、結果的にささない方がよかったということもあるんですね。1週間程度使っても効果がなければ継続しない方がよいかもしれません。

4つ目、目の周りの化粧品をきちんと落としていない方です。長引くマスク生活の中でアイメイクに力を入れている女性の方多いです。アイメイクが原因でドライアイやものもらいといって瞼の感染症になる方が増えています。瞼の周りには油を出すマイボーム腺

があります。目の乾きに大きく関わる大切な分泌腺です。マイボーム腺がつまると油分が十分に分泌されずドライアイの症状に繋がるだけでなく、出来物の原因になります。丁寧にメイクを落としたり、休みの日はメイクをしないようにして工夫してください。それだけで今の乾き目の症状が改善する可能性があります。


5つ目はきちんとした食生活を送れていない方です。食生活と目は非常に関係があります。目に大切な栄養素で代表的なものはビタミンA,C,Eやルテインやゼアキサンチンといったカロテノイド、不飽和脂肪酸のDHAやEPA、亜鉛です。

カロテノイドであるルテインやゼアキサンチンは目の網膜や水晶体に多く含まれています。ケールやほうれん草、小松菜といった濃い緑色の野菜や卵の卵黄部分に含まれています。これらを合わせて1日6mg摂ることで白内障や加齢黄斑変性症といった病気の発症や進行抑制に効果があると報告されています。ビタミンAは夜間視力を維持するためであったり、角膜や結膜といった粘膜の形成のために大切なビタミンです。にんじん、さつまいも、かぼちゃに多く含まれています。ビタミンC、Eは強い抗酸化作用があります。ビタミンCは柑橘系のフルーツに多いです。みかんやグレープフルーツ、キウイフルーツに多く含まれています。中でもキウイはビタミンCに加えてビタミンEやルテインも含まれているのでおススメです。ビタミンEはナッツや豆に多いです。DHA、EPAは鮭やイワシや鯖、マグロなどに含まれています。DHAは脳や網膜の細胞膜に多く含まれていて神経系の機能維持のために不可欠な成分です。亜鉛はカキやレバー、ナッツの中でもカシューナッツに多く含まれています。砂糖をたっぷり含んだ食事や飲み物を減らして、目のためにこれらを意識して摂る事をおススメします。

6つ目、目をこする習慣がある方です。目を頻回にこすると

①目の表面を傷つける原因

➁まぶたの感染症の原因になります。

ものもらいなどの瞼の感染症の原因の多くは接触感染です。まぶたを触ることによって感染します。更に頻回に強く擦ると目の奥にまでダメージを受けて

➂白内障や網膜剥離の原因にもなります。

アトピーの方が何故網膜剥離や白内障になるのかというと目を強く擦ったりしていることが原因だと考えられています。

目が痒くてよく擦るといった場合、冷たいタオルで冷やすと痒みが和らぐのでおススメです。

最後7つ目、眼科を受診されていない方です。強度近視の方や、緑内障などの家族歴がある方、糖尿病などの慢性疾患がある方、コンタクトレンズ使われている方、定期受診が必要です。また目が良くて今まで眼科とは無縁だった方も40歳になったら受診が必要です。緑内障や糖尿病網膜症はある程度重症化しないと自覚症状がありません。見えているから問題ないと思われる方が多いと思いますが、一生視機能を維持するためにまず一度早めにチェックすることをおススメします。今回の話をまとめますと

①スマホを長時間、近づけてみる事は避けて下さい。

➁コンタクトレンズを正しく使わないと、角膜潰瘍といった感染症や角膜内皮細胞が減ることがあります。

➂目薬を必要以上にさしすぎるとかえって逆効果になることがあります。

④化粧はきちんと洗い流すようにしてください。

⑤ルテインなどのカロテノイドやビタミンA,C,E,不飽和脂肪酸のDHA、EPA、亜鉛は目にも大切な栄養素です。

⑥目を擦ることは避けましょう。

⑦何ともなくても40歳を過ぎたらまず眼科受診しましょう。

という7点です。知らずしてやっている習慣はなかったでしょうか。目薬よりも習慣を治すだけで目の症状が改善することがあります。最近だと超近業時代と言われていますがスマホやパソコンをしている時間が長いために眼精疲労で悩んでいる方が多くなっています。疲れ目の目薬をさすのもいいんですが、それ以上に距離に合った適切な眼鏡を作ったり、30分に1回は、画面から目を離して遠くをみるようにして目を休めることが大切です。また目を温めたりするのもよい習慣です。習慣を変えることで目薬がいらなくなる方もおられます。よければ参考にしてください。今回は目に良くない習慣に関してお話させて頂きました。


(2023.2.8)