今回は目にもよいフルーツに関してお話させて頂きます。
野菜や果物、魚、ナッツ、赤身の牛肉、豆を含む健康的な食事には多くのメリットがあります。これらは抗酸化作用のあるルテインなどのカロテノイドやビタミンとミネラルの優れた供給源です。 このような成分を多く含んだ栄養密度の高い食事が目によいという事は多くの研究で立証されています。
その中で今回は目にとってよい果物にはどのようなものがあるのかということに関してお話させて頂きます。
目に良いフルーツは?と聞くとおそらくブルーベリーと言われる方が多いかと思います。テレビなどでブルーベリーが目によいという宣伝が多くされているので実際患者さんでも食べられている方多いです。
私がよく勧めさせて頂くフルーツは柑橘系のフルーツであるみかんやグレープフルーツであったり、キウイフルーツです。これらはビタミンCがとても多くて目にいいだけでなく、食物繊維が多くて低GI食品で腹持ちもよいです。
間食で砂糖たっぷり含んだ甘いお菓子を食べるならこのような果物に変えてくださいとよくお話しています。
この中で眼科的に見逃せない果物があります。それはキウイフルーツです。キウイはあまりスーパーフードとして見なされていませんが、実際は重要なビタミンやミネラルが豊富で、健康に非常に良い影響を与える果物です。
食物繊維やビタミンC,E,K、葉酸、カリウム、鉄、銅といったミネラルもふくまれていて全てのフルーツの中で非常に栄養価が高いフルーツであることが知られています。
何故目にもいい果物としてオススメしているのかというと理由が3つあります。
①ルテインが他の果物より多く含まれていること
②ビタミンCはどのフルーツよりも多く含まれていること
③ビタミンEの含有量も多い
という3点です。
キウイの緑色の果肉の部分には濃い緑色の野菜と同様にルテインが含まれています。ルテインは強い抗酸化作用があって目の水晶体や網膜を保護する大切な成分です。1日あたり6mg程度摂ることが推奨されていますが、多くの方は摂取量が不足していて推奨量の20-30%程度しか摂れていないとされています。
ルテインは加齢とともに減少し、又体内で合成できないので食事から積極的に摂取する必要があります。
キウイは野菜ほど多くのルテインが含まれていませんが、フルーツ
の中では豊富に含まれている果物に入ります。100gあたりのルテインの量はキウイは402μg、次に多いフルーツであるグレープフルーツやぶどうは53μgで8倍以上キウイにはルテインが含まれています。
そして生体利用率が非常に高いというのも特徴です。
ルテインなどのカロテノイドは含有量が多ければ体内移行率が高いわけではありません。体内に吸収されやすい形で存在しているかで吸収率が変わってきます。
ある報告
ではルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、これはみかんなどに含まれるカロテノイドですが、これらの体内移行率は、オレンジ、キウイ、グレープフルーツはほぼ 100% であるのに対し、ほうれん草とブロッコリーからはそれぞれ 19% 、38% であるという報告がされました。
このようにキウイはフルーツの中でもルテインを補う事ができて、そして体内に取り込まれやすい形で存在しているのがポイントです。
また、キウイはビタミンCが豊富です。全てのフルーツの中でトップレベルでビタミンCの含有量が多いです。
成人の一日あたりのビタミンC推奨量は100mgとされていますが、キウイ1個で70mg含まれています。
目の中には房水というお水が絶えず循環していますが、そのお水の中にはビタミンCが血液中の20倍以上高い値で含まれています。
何故これほど多いのかというと角膜や水晶体といった目の組織を守るために多くのビタミンCが含まれていて、目を守るために絶えず消費されているからです。。眼はすべての臓器の中でビタミンCの消費量が高い事が知られています。
また、ビタミンCは水晶体の中にも多く含まれていて水晶体の透明性を維持するために必要な成分です。事実、ビタミンCをきちんと摂ることで白内障の抑制効果がある事が報告されています。
ビタミンCはキウイにも多いんですが、同じく多いフルーツは柑橘系のフルーツです。オレンジやグレープフルーツ、みかんにも含まれています。キウイにこれらのフルーツを組み合わせるだけで1日の必要なビタミンCを取ることができます。
また、キウイはビタミンEも豊富です。ビタミンEは抗酸化ビタミンです。ビタミンEの主成分であるトコフェロールの主な機能はビタミンCと同じで抗酸化作用です。脂溶性のビタミンで、脂質になじみやすいです。細胞膜の脂質に入り込むので、網膜の細胞膜を守る作用があります。
成人のビタミンEの推奨量は7mg程度です。キウイには100gあたり1.3mg含まれています。みかんやグレープフルーツは0.3mg程度、キウイは4倍程度多くビタミンEを含んでいます。キウイを1個食べるだけで必要なビタミンEを30%前後摂ることができます。
ビタミンEが欠乏すると網膜はダメージを受けやすくなることが報告されています。ビタミンEはビタミンCの働きを高めて抗酸化作用を高めます。
この2つのビタミンが豊富なキウイはすぐれた抗酸化作用を発揮するフルーツです。
網膜を守るビタミンであるビタミンEやビタミンC、ルテインなどのカロテノイドは米国における白内障や加齢黄斑変性症の研究で明らかになった進行抑制に必要な成分です。
キウイはこのように目にいい成分をたくさん含んでいるんですが、身体にもよい効果がたくさんあります。
キウイは GI 値が低いため、果実に含まれる糖分がゆっくりと放出されます。このため血糖値の調節にも役立ちます。血糖値が急激に上がって下がるという血糖スパイクを減らします。
また腸内環境を整える食物繊維が多く含まれているのも特徴です。食物繊維は便秘の予防、改善だけでなく、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病予防にも効果があります。.
その他に、カリウムも多く含まれているので、高血圧の予防やむくみ解消にもよいとされています。
キウイは1日何個までという制限は特にないようですが、日々の食事にキウイのようなフルーツを1日1個摂られてはどうでしょうか。
今回の話をまとめますと
①キウイの緑色の果肉の部分にはルテインが多く含まれています。
➁どのフルーツよりもビタミンCが多く含まれています。
➂抗酸化ビタミンのビタミンEも豊富に含まれています。
④柑橘系フルーツのオレンジやグレープフルーツ、みかんにもビタミンCが多く含まれています。
⑤これらは低GI食品で血糖値の上がり方が緩やかです。食物繊維も多く含まれているので消化がよくなります。
という5点です。
キウイフルーツは緑色の果肉のグリーンキウイと黄色の果肉のゴールドキウイがあります。どちらもビタミンC,E,食物繊維が多く含まれていますが、含まれている栄養素に少し違いがあります。ルテイン
などのカロテノイドは緑色の果肉の部分に含まれています。グリーンキウイの方が2.5倍ほど多く含まれています。
また、食物繊維もグリーンキウイの方が2倍程度多いです。
一方でビタミンCやEの含有量はゴールドキウイの方が2倍程度多いです。
どちらもそれぞれ良い特徴があります。足りない栄養素を考えて頂いて選んで頂けたらと思います。またどのフルーツでもそうですが、できるだけ生で食べるのがよいです。市販のフルーツジュースは製造過程でビタミンなどの栄養素の多くが失われて、中には砂糖がたっぷり入っているものがあるので注意してください。
今回は目によい果物に関してお話させて頂きました。
(2023.1.23)