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115. 気を付けて!飛蚊症と光視症

今回は危険な飛蚊症と光視症に関してお話させて頂きます。飛蚊症というのは明るい所や白いもの、青空を見た時に、目の前に糸くずやアメーバのような自分にしか見えない浮遊物が見える症状を飛蚊症と言います。視線を動かすと一緒についてきて、明るいところにいると気づきやすいです。飛蚊症はほとんどの場合は加齢に伴う生理的なもので問題無いものがほとんどです。ですが中には早期に治療しないと実は網膜に穴が合って網膜剥離があったということがあります。今回は危ない飛蚊症に気づくポイントに関してお話させて頂きます。

重要なポイントは4つあって①光視症、②好発する年齢、③アトピーや外傷など④近視があるかというのがポイントです。全て当てはまる方は要注意です。

1つ目は光視症です。光視症とは、光が当たっていないのに、視野の中心や端に光が飛んで見えたり、チカチカ・キラキラ光を感じる現象をいいます。まったく光がない部屋で、夜中にピカっと光ってびっくりして眼科受診される方もおられます。このように本来実在しない光を感じることを光視症といいます。光視症

は硝子体の収縮によって起きる「後部硝子体剥離」と関係があります。目の中には硝子体というゼリー状の物質が充満しています。若いうちは網膜と硝子体が接着しているんですが、硝子体は年齢と共に縮んで網膜から剥がれていきます。通常網膜と硝子体の接着は弱いんですが、接着が強い部分があります。網膜の周辺部

といって目の前側です。この部分は網膜

との接着が強くて、硝子体が網膜から離れる時に強い力が働きます。この時の振動が網膜に刺激を与えて光を感じます。

光視症そのものは病気ではないんですが、何度もピカピカするような現象に加えて新たな飛蚊症が伴う場合は眼科での検査が必要です。何度もピカピカするというのは網膜を強くひっぱっていることを意味して、新たに飛蚊症が出るということは網膜に穴が開いた可能性があるからです。

そして2つ目は年齢です。光視症の原因は後部硝子体剥離です。後部硝子体剥離が起きるのが50ー60歳の間が最も多いです。そのため年齢にも気を付けなければなりません。網膜剥離が起きやすい年齢も同じく50ー60歳の間なんですが、これは網膜剥離で多い裂孔原生網膜剥離は後部硝子体剥離と非常に関係があるからです。①後部硝子体剥離が起きて網膜を引っ張る、そして②光視症が頻発するようになります。不運に孔があくと③一気に飛蚊症が増えます。光視症を伴わない場合もありますが、一番多い網膜剥離はこのような経過をたどることが多いです。好発年齢が50ー60代で働き盛りの方が多いです。「仕事で忙しくて受診できなかった」「いつか治ると思っていた」「片目がなんともないから我慢できた」このようにすぐに受診できなかった結果治療が遅れて手術が必要になることがあります。網膜剥離の前段階の網膜裂孔の状態で分かればレーザー治療で後遺症も残らず治療できることがほとんどですが、このような自覚症状があるにも関わらず受診が遅れる結果手術が必要になったり視覚的な後遺症を残す事があります。

そして3つ目 年齢も注意が必要ですが、アトピーがある方や過去にボクシングやボールを使うスポーツで目をぶつけた事がある方は注意が必要です。頻回に目を擦ることや、以前に目に強い衝撃を受けた過去がある方は網膜が弱くなっていることがあります。飛蚊症や、光視症のような症状がないとしても定期的に眼科受診する必要があります。無症状だけど網膜に孔が空いていることがあるからです。

最後4つ目 近視が強い方も注意が必要です。近視の方は正常の方より網膜剥離になる確率が20倍程度高いと報告されているからです。近視の方

がなぜ網膜剥離を起こしやすいのかというと正常の方より網膜が薄いからです。網膜は全て同じ厚みではありません。先程もお話しましたが、網膜の周辺部は非常に薄くなっています。近視の方の網膜の周辺部は更に薄くて硝子体との接着が強いのでこの部分で孔が開くことが多いです。

強度近視の方は30代と若くても早めに眼科受診して異常がないかまずはチェックされるのがよいと思います。

このように光視症に伴う飛蚊症は注意が必要で、それに加えて50-60代の好発する時期である方やアトピー、外傷がある方、近視がある方は注意が必要です。

また知って頂きたい事として光視症と似た症状に閃輝暗点というのがあります。どちらも実在しない光に気づく現象ですが、両者は全く別物です。光視症は後部硝子体剥離による影響で、目に原因がありますが、閃輝暗点は頭の中に原因があります。脳の視覚に関する部分の血流が悪くなって起きる現象です。ストレスや寝不足、疲労などによって起きやすくなると考えられています。光視症と違って、単に光ってみえるだけでなく①頭痛や吐き気が伴う②光視症は片目のみの症状ですが両眼同時に光ってみるというような場合は目が原因でない可能性が高いです。光視症と閃輝暗点、どちらも眼科で受診される方が多いんですが、光視症は硝子体が収縮して網膜を刺激することによって起きる現象に対して閃輝暗点は頭の血流の問題です。自分にしか見えない光を感じた場合、まずはその症状が片目なのかそれとも両目なのかを確認してみてください。片目だけでみえていたら眼科で目のチェックをする必要があります。一方で両眼同時に光がみえるだけでなくて頭痛や吐き気もあるなら閃輝暗点の可能性があります。眼科だけでなく神経内科や脳神経内科も受診が必要になることがあります。その場合頭痛薬が効果的かもしれません。

今回の話をまとめますと

①光視症が1日に何度も頻発している時は注意が必要です。

②光視症は後部硝子体剥離が主な原因です。そのため後部硝子体剥離がおきやすい50ー60代の年齢は注意が必要です。

③光視症と新たな飛蚊症が同時に発症した場合すぐに眼科受診してください。網膜に孔が空いた可能性があります。

④過去に目をぶつけた、強度近視の方は症状がなくても定期通院が必要です。

⑤光視症に似た症状の閃輝暗点は頭の血流の問題です。片眼でみえるか両眼でみえるかチェックしてみてください。

という5点です。眼の異常を感じたときにして頂きたい事があります。それはその症状両目で見て感じるのか、それとも片眼のみの症状なのかという事に注意するようにしてください。光視症と閃輝暗点の見分け方も片眼なのか両眼なのかが大きな違いです。また月が2重、3重に見える複視という症状も片眼でみえるのか両眼で見えるのかというのがポイントになります。片眼でみえていたら目単独の問題であることが多いです。白内障や乱視といった事が影響している可能性があります。一方で片眼ずつ目を閉じてみて、両眼で見ているときと違いがないのなら頭の問題の可能性があります。

脳動脈瘤といって頭の血管に瘤ができていたということもあります。病気を早く見つけるコツは片眼ずつつぶって見え方に差がないか確認されるのがよいです。簡易的な方法として片眼ずつカレンダーをみて数字がきちんと読めるか、線が曲がってみえないか1ヶ月に1回程度確認されるようにしてください。

今回は光視症と飛蚊症に関してお話させて頂きました。


(2023.1.17)