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78.気づきにくい緑内障

今回は既に緑内障なのに気づいていない人の特徴に関してお話させて頂きます。緑内障は視野が欠損していきそのまま無治療で放置しておくと失明してしまう病気です。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/_-c8sHXOZIM

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早めに気づいて治療を行えば生涯失明するようなことはまずないですが、発見が遅れてしまって経過が悪くなってしまう方が多いんですね。日本人に多い正常眼圧緑内障、この病気は全ての緑内障の中で進行が最も遅いです。早期に治療を行えば失明にまでいたることはほとんどないのですが、じわりじわりとしか悪化しないので眼科に受診しない限り貴重な初期、中期の時期を見過ごされている事があるんですね。今回はすでにもう緑内障なのに緑内障の発覚が遅れる人の特徴を2つお話させていただきます。

まず1つ目コンタクトレンズをネットで買っていて眼科を受診していない方です。緑内障が発覚されるタイミングは実はコンタクトレンズを購入する時がとても多いんですね。これは何故かといいますと、コンタクトレンズが必要な方は近視の方がほとんどですよね。緑内障になりやすい人は遺伝が言われていますのでご家族の方で緑内障の方がいるとか元から眼圧が高い人、加齢性によるものなどが報告されていますが、近視も同じく緑内障になりやすい要因であるということで知られています。コンタクトレンズをされている方は近視の方がほとんどですので、緑内障であることが偶然発見されやすいんです。またその時に眼圧検査もすることがほとんどですので、その時に正常値を超えている眼圧であることが偶然わかったりするんです。

このようにコンタクトレンズを作りに眼科受診できれば、緑内障や高眼圧の状態を発見できるタイミングがあるわけなんですが、ネットで買っていたら当然自分の眼の状態はわかりません。緑内障の初期や中期はまったく自覚症状がありませんから普段の生活で眼の異常に気づくことがないんです。

もしコンタクトレンズをきちんと毎回の眼科受診とセットにできている方は早期に眼の病気を発見できる可能性がとても高くなります。


そもそもコンタクトレンズは高度管理医療機器というもので分類されているもので、他の同じレベルの医療機器でいうとなんと透析の機械とか人工関節とかそのようなものと同じレベルの医療機器なんです。人工関節を自分でネットで買うのは不可能ですよね。ネットで買えるのは非常に便利なのは間違いありませんが、このような高度管理医療機器をネットで買えることはずっと問題提起されております。

コンタクトレンズがネットで買えないようにすれば必ず眼科受診するようになりますから、早期緑内障の発見につながるのになと前々から思っているのですが現状は中々難しいようです。

強い近視の方は特に緑内障に限らず網膜裂孔などあらゆる眼の病気の原因になるので定期受診していただきたいのですが、すごく強い近視の方でもコンタクトレンズをネットで買っている方はたくさんみえます。

時々あるんですが、コンタクトレンズをしている方ですごく末期の緑内障の方が視力低下を主訴に発覚することがあるんです。コンタクトレンズをしているんなら眼科受診しているはずなので緑内障の疑いとかコンタクトを作るときに言われたことなかったですか?と聞くと、今までネットでコンタクトを買っていて一度も眼科を受診した事がありませんでした。と言われることもあるんです。これは本当にもったいないと思っています。自覚症状が既にある緑内障、例えば視力が落ちかけている状態で発覚すると一気に悪くなることがあるのであまり経過が良くないことがあります。

緑内障に限らず重症な眼疾患が発覚するタイミングでもありますのでできるだけ眼科受診してコンタクトレンズを作っていただきたいと思います。

このように眼科の定期受診を避けている方が緑内障の発覚が遅れる人の特徴1つ目です。



2つ目、目がいいからといって眼科受診していない方です。目が良い方というのはメガネやコンタクトレンズをせずに今まで眼科を受診することと無縁だった方ですね。実は目が良い方、特に遠視と言われている方になりやすい緑内障があります。日本人に多い正常眼圧緑内障ではなく、閉塞隅角緑内障という緑内障です。緑内障の中でも見逃されやすいタイプの緑内障になります。この緑内障は白内障が原因でなる緑内障なんです。白内障で緑内障ってどういう事だと思われるかもしれません。白内障の原因は水晶体という目の中のレンズが濁る病気です。そして視力低下につながるのが白内障です。

年齢を重ねるごとにこの水晶体は少しずつ濁って見にくくなるんですが、単に濁るだけなく水晶体は年齢と共に大きくなっていくんですね。大きくなっていくと困ったことに目の中のお水の出口、隅角という部位を塞いでしまうことがあるんです。隅角を塞いでしまうとどうなるかといいますと、水の出口が狭くなります。眼の中の水がどんどん作られるのに、水が出ていかない状態になるんですね。そうなると眼圧がどんどん高くなります。このようにして眼圧が高くなるとやがて視神経に負担になりそして緑内障が発症してしまいます。

このように白内障が原因でなる緑内障を閉塞隅角緑内障といいます。

この閉塞隅角緑内障は眼が良い方、更にいうと60歳以降の女性がなりやすいのが特徴です。閉塞隅角緑内障が更に進行してしまうと急性緑内障発作という眼科の数少ない緊急疾患の内の1つの病気があるんですが、こうなると一夜にして失明してしまう可能性もあります。緑内障は正常眼圧緑内障のようにじわりじわり悪くなっていく病気ばかりではなくてこのようにたちの悪い緑内障があるんですね。この閉塞隅角緑内障は繰り返しますが、もともと眼が良い方に多いんです。眼がいいからといって眼科を受診しないと実は既に緑内障なのに放置していた、放置していた結果急性緑内障発作になって見えなくなってしまう可能性もあります。そのため目のいい方もきちんと眼科通院するようにしてください。

以上2点お話させて頂きました。今回の話をまとめますと

①コンタクトレンズ購入時の眼科受診は緑内障早期発見の貴重な機会です。

②元々眼の良い方になりやすい緑内障に閉塞隅角緑内障があります。

③閉塞隅角緑内障は白内障が原因の緑内障です。

④60歳以降の女性の方に多いです。

⑤閉塞隅角緑内障は進行すると急性緑内障発作になり失明する可能性があります。

という5点です。このように既に緑内障になっているのに見逃している人にはこのような特徴があります。コンタクトレンズをネットで買っていて眼疾患を見逃している人はなんとなく悪い結果になることが想像できると思いますが、眼の良い人も眼科を受診しなければならないというのは意外と思われたのではないでしょうか。眼の良いかたは老眼を自覚されるやすい傾向にあります。あれこれ老眼の進行なのかなと放置していたのが実は閉塞隅角緑内障で高い眼圧を放置していて緑内障になっていたということはよくあるんです。その時に言われるのは私は目だけいいのが自慢だったのにまさか目が悪くなるなんて思ってもいなかったですというように言われます。緑内障という病気はまだまだまれな病気としてしか知られていませんから、もう少し認知されるようになれば眼科受診につながるのになとよく思っています。少しでも眼科受診をしていただく方が増えたらいいなと思い今回のお話をさせていただきました。今回は既に緑内障なのに気づいていないに人はどのような人がいるのかということに関してお話させて頂きました。


(2022.8.23)