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75. 白内障手術中にしてはいけないこと

今回は白内障手術中に気をつける事に関してお話させて頂きます。現在白内障手術は小切開で安全に行える手術でだいたい10分前後の短い時間で終わる手術です。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/ajWy_XM2tUM

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認知症など全身的な問題がなければ基本的には局所麻酔で行う手術です。全身麻酔ではないので意識があるので手術中痛いのかな、手術中に咳しそうになったりしたらどうしたらいいんだろうというような事を考えられる方が多いです。

その他にも手術前に色々な不安がよぎると思うのですがほとんどの方は拍子抜けするほどあっという間に手術が終わったというような感想を持たれることが多いです。こんなすぐ終わるのならもっと早めに手術をうけておくんだったというように言われことが多いんですが、白内障手術を安全に受けて頂くために予め知っておいた方がよいことがあります。今回はこれから手術を受ける方にぜひ知って頂きたい白内障手術中に注意することをお話させて頂きます。

まず手術の当日に関してです。普段の内服薬はそのまま内服していただいて問題ないことが多いです。緑内障の目薬などその他の目薬も通常通り継続していただいて良いところが多いかと思います。食事に関しては朝からの手術であれば朝は軽めにして頂いて、お昼からの手術であれば朝は通常通り食べて頂いて、お昼は少し軽めにしておくのが良いです。

多くの施設では手術1−2時間前に来院していただくことが多いと思います。一番の理由は手術前に散瞳といいますが、手術前に瞳を広げる目薬をする必要があるんですが瞳が開くのに時間がかかるからです。その間に簡単に着替えて頂いたり血圧を測ったり場合によっては点滴をしたりして手術までの間待機していただきます。

手術前に必ずトイレは済ませておいてください。白内障手術は短い時間ではありますが、状況によって長引く場合がありますので必ずトイレは済ませておいた方が良いです。手術中に尿意を我慢するとどんどん血圧が高くなってそれが手術に影響を及ぼす場合がありますし、なんと言っても手術を受けている本人が苦痛になってきます。どうしてもトイレにいきたい場合、溲瓶などでの対応になるんですが、横になりながらトイレは中々難しいみたいです。そのような事があるので事前にトイレに行くようにしてください。準備ができたら手術室に入って頂きます。手術の椅子に座った後に背もたれが倒れて仰向けになって頂きます。血圧や心電図などの準備をしてまず最初にすることは目洗いです。手術前の目洗いは感染予防のためにとても大切です。アレルギーなどがなければ消毒液で目を洗うことになります。目を洗っている時は少ししみることが多いのですが、感染予防にとても有効と考えられています。まず最初のポイントは目洗いが終わったら特に用がなければ喋ってはいけませんということと手で顔を触ってはいけません。ということになります。喋るとツバが飛びます。口の中の菌がせっかく洗った目に入ってしまって術後の感染症を起こす可能性があります。硝子体注射という目に注射をする治療があるのですが、この注射したのちに感染症を起こす方で多いのは自分の口の中の口腔内の細菌が感染源になることが知られています。硝子体注射という手術も白内障手術前と同じように目洗いをして、その後に注射を行うんですが、術後の感染症の原因は口腔内の細菌が注射した部位を通って感染を起こす事で知られています。このことから分かるように目洗いが始まったらよほどの事がない限り喋ってはいけません。目洗いが終わったら当たり前ですが目の周辺は清潔になっています。目を含めて顔はなどを触らないようにしてください。万が一触った場合はもう一度目洗いをしなくてはならない場合があります。

目洗いが終わってその後ドレープといって清潔なカバーを顔にかけます。このカバーがかかるまでは喋らないようにしてください。カバーがかかれば目と口の間は遮蔽されますので何かあればお話して頂いてよいです。ここから手術における注意点です。手術中の痛みを心配される方もおられますが、手術で痛くなる事はほとんどありません。麻酔は点眼麻酔で、目薬による麻酔です。注射するようなことは今はほとんどありません。触っている感じはどうしても残るのですが、痛みを訴えられようなことはあまりないです。中には痛みに敏感で自覚されることがあるのでその時は麻酔を追加することができるので遠慮なくお話しててください。このように手術中に痛くなったり咳をしたくなったり、または息苦しくなったりに何か伝えたいことがあればブザーみたいなものを手にもらっていると思うのでそちらを押してからお話するようにしてください。ブザーを押したら手術の先生は手を止めてくれて何でしょうか?と聞いてもらえます。ブザーを押さずにいきなり話すのはあまりよくないです。話すのは口が動かすだけなら手術への関係はないだろと思わるかもしれませんが、口が動くと目も多少動くんですね。手術中の問いかけに対して、頷いたり、首を振ったりという行為は更に危険です。何かあればお話して頂いて良いのですが、ブザーを押してからお話して頂くようにしてください。白内障手術は10分ぐらいの短い手術ではあるんですが、細かい作業の連続です。少し手元の動きがズレるだけで問題になることがあるんです。手術中は顕微鏡の明るい光がみえると思いますので、その部分だけをみていて目を動かさないようにしているようにしてください。

ポイントの2つ目は何か訴えがあれば遠慮なくお話していただいていいのですが、予めお渡ししたブザーで合図してから喋るようにしてください。というのが2つ目のポイントです。

そして手術中はできるだけ目に力を入れないようにしてリラックスするようにしていてください。力が入ると目の中の圧力が高まります。そうなると目の中の組織が目の外に出ていくことがあります。一番多いのは目の組織で虹彩という茶目の部分がありますが、この部位が傷口を通って出ていきそうになることがあります。通常は出たとしてもすぐに元通りになりますので問題ないことがほとんどではありますが、手術に時間がかかる原因になるますので注意するようにしてください。最後のポイントは手術中はできるだけリラックスするようにしてくださいということになります。そして手術が終わり、ドレープといって清潔なカバーを外します。手術が終わったらすぐに目を触ろうとする人が時々いますが、絶対に目を触ってはいけません。術後は目に違和感があるのでどうしても気になって目を触りたくなってしまうんですが、術直後に目を触ることは危険です。こちらで目薬、軟膏してガーゼをして目を覆うまでじっとしているようにしてください。手術が終わると別室に移動して安静にして頂き問題なければ帰宅となります。当日術後に注意することは手術した目を圧迫しないことです。横向きやうつ伏せになって寝て目を圧迫したりするようなことは避けるようにしてください。夜は通常通り食事は可能です。当日の入浴はしないほうがいいですので、その日は早めに休まれるのがよいかと思います。ここまでのお話をまとめますと

①手術前にトイレを済ませておいた方が良いです。

②目を洗った後は目を触ったりしないでください。必要なこと以外は喋らないようにしてください。

③リラックスして顕微鏡の光のみ見るようにしてください。

④術後は目を強く圧迫するようなことは避けてください。

という4点です。これらの内容は言われなくても当たり前だと思われたかもしれません。ただ僕らとしては目洗った後に痒くて目を触ってしまった、手術が終わったらもういいのかなと思われて目を触ってしまったということを経験します。予め不安なことは聞いて頂いて結構ですので、安心して手術を受けるために何でも聞かれるようにしてください。今回は手術当日に気をつけることに関してお話させて頂きました。