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71. 網膜剥離で失明しないために

網膜剥離は放置しておくと失明してしまう病気です。そのような怖い目の病気ではあるのですが、網膜剥離にならないために普段の生活から気をつけておきたいことがありますし、運悪く網膜剥離になったとしても失明しないために知っておくべきポイントがあります。今回は網膜剥離にならないために生活上で注意することや、後遺症を残さないようにするために是非知って頂きたことに関してお話させて頂きます。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/NsObsFPb074

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網膜剥離は名前のままですが、目の奥にある網膜という部位が剥がれていく事をいいます。網膜
は0.2mmほどの非常に薄い膜であり、カメラでいうフィルムに例えられます。ものをみために非常に重要な部分です。網膜が剥がれていくとそのフィルムが機能しなくなるのでみえなくなってしまいます。なぜ網膜は剥がれていくことがあるのでしょうか。

一番の原因は年齢による影響です。

50歳をすぎると後部硝子体剥離という加齢現象が起きるようになります。

目の中には硝子体というゼリー状の物質があるんですが、それが本来網膜とくっついています。

ですが50歳をすぎると少しずつその硝子体が網膜から剥がれていくんです。

この硝子体が網膜から剥がれていく現象を後部硝子体剥離といいます。

後部硝子体剥離は病的なものではなく生きていれば誰しも生じる現象なのですが、

不運なことに網膜から剥がれていくときに網膜を引っ張ってしまって穴を空けてしまうことがあるんです。近視の方は特に注意が必要なんです。近視の目は眼球が大きくなっているので、網膜が正常の方より薄くなっていて刺激に弱いんです。この網膜に穴ができた状態を網膜剥離の一番最初の段階の網膜裂孔といいます。この穴をきっかけにどんどん網膜が剥がれていくんです。網膜が剥がれていくと何らか自覚症状がでる事が多いです。網膜剥離に特徴的な症状は飛蚊症です。今まで自覚していなかった透明ではなくて黒のように色がついた飛蚊症が急に増えてくることがあります。そのため急に増えてきた飛蚊症は注意が必要です。


まず1つ目のポイントは近視の方は50歳以降網膜剥離になりやすいので、色がついた飛蚊症が急に増える事がないか注意していてください。というのが1つ目のポイントです。

次に2つ目できるだけ目を擦ったり、目に刺激になるような行為は避けてください。というのが2つ目のポイントになります。先程の話のように網膜は何らか刺激によって穴ができやすいんですね。最も多いのが今お話した後部硝子体剥離という加齢現象によって網膜に穴ができやすいのですが、次に多いのは目を殴られたとか目にボールが当たった、または目を擦ったというような外的な刺激によって網膜に穴があくことが多いんです。網膜剥離になりやすいスポーツで代表的なものにボクシングがあります。打撃などで目に強い衝撃が加わると、その振動が目の奥にまで伝わりますのでそれが網膜に穴を開ける原因になります。その他のスポーツだと剣道とかサッカーとかバトミントンのようなスポーツも注意が必要です。剣道は以外と思われるかもしれませんが、面打ちの動作で頭への刺激が目への刺激になって網膜剥離を起こすことがあります。野球やサッカーやバレーボールで誤って目にボールが当たってしまった、バトミントンもシャトルが目にぶつかり網膜剥離になる事があるからです。このような予期せぬ目への外傷による網膜剥離はスポーツ用ゴーグルをすることで防げる事が知られています。ボールを使うスポーツをされている方は検討されてもいいかもしれません。スポーツ以外だとアトピーの方は網膜剥離になりやすい事で知られています。何故アトピーの方が網膜剥離になりやすいのかというと掻痒感のために目を擦るからですね。擦る行為は同じく網膜への刺激になりやすいので注意が必要です。アトピーでないとしても例えば花粉症の時期は結膜炎で目をかなり強く擦ることがあります。これも同じ様に注意が必要です。毎年花粉症の時期に強くかゆみを自覚される方は早めに治療をしたほうがよいです。花粉飛散時期をチェックしておいて飛散2週間前から治療すればだいぶかゆみを抑える事ができます。スギ花粉が原因であれば舌下免疫療法というスギ花粉に対して免疫力を作る治療もあるのでそのような事も検討されるのがよいかと思います。

2つ目のポイントは網膜は外傷を含めて目を擦るといった行為でも穴ができる事があります。ボールを使ったスポーツをされる方はスポーツ用ゴーグル、花粉症による結膜炎の症状がひどい方は早めの治療をしておいた方がよいです。

次に網膜裂孔がみつかり治療が早めに治療ができた場合です。網膜裂孔が見つかるとレーザー治療をします。レーザーで網膜に穴が空いた部分の周辺を固めて網膜剥離にならないようにするのが目的です。レーザー治療で多くの方が網膜剥離になる事を予防できるのですが、ただレーザーをした直後から何をしても良い訳ではないんです。レーザー治療をするとすぐに網膜が接着するわけではありません。レーザーでしっかり網膜が接着するのに1カ月はかかります。1カ月までの間はまだ網膜がしっかりくっついていない状態なので、その間に激しい運動をするとせっかくレーザーをしたのに網膜が剥がれる事がありますので注意が必要です。レーザー治療をした後もしっかり通院が必要です。眼底検査を受けて網膜がしっかりくっついているのを確認されるまでは激しい運動は控えるようにしてください。

三つ目のポイントは治療に関する事です。レーザー治療で網膜が接着するのに一カ月はかかるので直後は激しい運動は控えて下さい。

そして最後四つ目、運悪く発見が遅れて網膜裂孔から網膜剥離になってしまった場合です。これはすでに網膜が剥がれているので視野欠損などの自覚症状が出ているはずです。早急な手術が必要で急いで眼科に行かなくてはなりません。網膜が少し剥がれた程度だとほとんど後遺症もなく完治することができます。ただ時間がたって黄斑という部位まで剥がれてしまうと極端に視力が低下していきます。網膜剥離の最も注意すべき点はここだと思っています。網膜剥離も黄斑部まで剥がれているか、剥がれていないかで予後が全くことなります。黄斑が剥がれるまでに手術が行えればいいのですが、黄斑が剥がれた後に手術をすると後遺症が残る事があります。黄斑部は視力にとても大切な部位なんです。この部位が一時的にでも障害が起きると、視力が以前と同じ程度にまで回復しなかったり、ものが歪んで見えたり、ものが大きく見えたり何らか後遺症を残してしまう可能性があります。そのため網膜剥離で後遺症を残さないために早めに受診しなければなりません。これが最後4つ目のポイント網膜剥離は黄斑部まではがれる前に手術できるかが鍵です。というのが最後のポイントになります。今回は網膜剥離で失明にまで至らないように様々なポイントをお話させて頂きました。今回のお話をまとめますと

①最も多い網膜剥離の原因は加齢性によるものです。50歳以降の近視の方は注意してください。

②次に多いのは外傷性のものであったり、目を擦ったりする事によります。

③網膜裂孔でレーザー治療をしてしっかり網膜が接着するまでに一ヶ月程時間がかかります。

④網膜剥離は黄斑部まで剥がれているかどうかで術後結果が異なります。

という4点です。

残念ながら今お話した中で黄斑部まで剥がれてから受診する方が多いんです。これは何故かというと片目が見えているともう片目が多少障害あっても生活には困らないので我慢できてしまうんですよね。好発年齢が50歳ということからもわかるように普段お仕事されている方が多いです。仕事で休めなかったので少し我慢していた、いつか直ると思っていたというような理由で残念ながら治療が手遅れになる方を多くみてきました。網膜剥離は放置していたら失明する病気ではありますが、早めに受診して治療を受けることができればほとんど問題がないです。今回は網膜剥離で失明しないために知って頂きたいことをお話させて頂きました。

(2022.6.7)