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68. 白内障ではなく緑内障!?

白内障と緑内障、名前は白と緑の違いだけですが、これらは全く違う病気です。白内障は水晶体が混濁することで視力低下が起きるものです。視力低下の原因が白内障だけなら手術をすれば視力が回復することは可能です。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/WiYQ-XqnmBE

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一方緑内障は視神経の病気です。神経が障害を受けて視野欠損が進む病気です。神経の障害は治すことができません。治すことはできない病気なので早期発見が大切であると考えられています。このように白内障と緑内障は全く病態は別なんですが、困ったことに症状が似ています。そのためなんか見にくくなってきたけど、白内障かなぁ、白内障なら手術をすれば治るしもう少し様子をみてみようと思って自己判断されることもあります。今回はなぜ緑内障の症状が白内障と思いやすいのかということに関してお話させて頂きます。

白内障は色々種類があって濁り方も人それぞれなのですが生きていれば誰しもなる病気です。だいたい80歳になると白内障にならない人はいません。一方緑内障は40歳以降で発症している方が5%ほどです。5%というと20人に1人いる割合になります。捉え方は人それぞれですが白内障は生きていれば100%発症する病気に対して緑内障は5%なわけですからやはり少ないわけで生涯ならない人の方が圧倒的に多いわけです。そういうこともありまして白内障は多くの人に知られているんですが、緑内障ってまれな病気だよね、そもそもどういう病気なんだろう、自分には関係ないんじゃないかと思われている方が多いです。そのため白内障と緑内障ってまったく違う病気だと思われている方が多いんですね。ですがこの2つの病気の症状はとても似ているんです。

白内障の症状はどういうものがあるかというと視力低下、視界がかすんでみえる、夜間視力の低下、眼鏡をかけてもみにくいなどの症状があります。その他に白内障に特徴的な症状として近視の進行、二重三重にみえる複視、羞明感といった症状はあるのですが、この中の視力低下、かすんでみえる、夜間の視力低下、眼鏡をかけてもみにくいというのは緑内障にも共通の症状なんです。緑内障というと視野欠損そして失明というイメージをもたれる方が多いかもしれませんが、緑内障だからといっていきなり視野が欠損するということはありません。少しずつ見にくいところがでてきて、凄く進行すると視野が欠損していくんですが、最初はなんか見にくい、少し霞んでみえるというのが緑内障の症状のはじまりであって白内障のような症状なんですね。そのため見にくさを自覚しても友人などに相談して白内障なんじゃないと言われてネットとかで調べると確かに似た症状だなと思ってそのために白内障と思って様子みていたということがあるようです。

緑内障の初期から中期はまず自覚症状がありません。見にくくなっている状態で眼科を受診して緑内障だった場合、すでに中期を越していることが圧倒的多いです。

では幸いにも初期から中期までに緑内障が発覚している方はどのような方が多いんでしょうか。

多いのは全く別件で眼科を受診したときに偶然緑内障が発覚されたというパターンです。例えばコンタクトレンズを作るときに眼底検査を受けて緑内障を指摘されたとか、アレルギーの結膜炎になって眼科受診したときに緑内障を指摘された、または今回お話しているように見にくさを自覚していて白内障だと思っていたら緑内障だったというようにして発覚することが多いです。その他にも会社の健康診断で視神経乳頭陥凹の指摘、これは緑内障の疑いということなのですが、このような結果を受けて眼科受診して偶然発覚するというようなことがほとんどです。中には自ら40歳を超えて健康診断で眼科検診受けられた際に発覚することもありますが、40歳というとまだ眼が良い方がほとんどですので全く目に異常がないのに若くして自ら健康診断で眼科を受診される方は非常に稀です。

このように末期になるまで基本的には自覚症状がないんです。初期中期で発覚される方は全く別件で眼科受診して偶然発覚したというのが圧倒的に多いんです。

緑内障の初期から中期にかけて自覚することがないんですが、この原因の一つとして、両方の目でものをみているから片目がある程度緑内障が進行しても症状を自覚しにくいということにあります。それはどういうことかといいますと、例えば両眼とも中期の緑内障の状態であっても、見えないところを見えている方の目で補ってしまうから両眼でみると見えてしまうんですね。これは私達の脳優れているところでもあります。片眼みえていなくても反対の眼が見えているなら、見えている方の眼が見えていない眼補おうとするんです。

脳機能の素晴らしいところではあるのですが、そのため初期から中期までの緑内障が自覚されにくいんです。

初期中期の段階でわかれば緑内障は失明することはほとんどありません。最近だと初期の更に前の段階の前視野緑内障という状態があります。通常緑内障は視神経に障害をうけてその後しばらくたってから視野が少しずつ欠損していきます。神経に障害があれば視野欠損がすぐに出るわけではなくて通常5,6年ほどなんともない期間があるんですね。緑内障としての神経の障害があるんだけど、視野欠損がまだ出ていない、もちろん自覚症状も全くない状態をこのように前視野緑内障といいます。本当に初期の緑内障です。このような状態でみつかりしっかり通院できている方は緑内障診療においてとても有利です。将来失明する心配はほとんどないです。

一方末期の緑内障の状態ですでに視力低下やみにくさがある状態はしっかりした緑内障の管理をすることが必要になります。また白内障が伴っている場合は白内障の手術の判断が難しくなることもあります。白内障手術の手術中の影響が緑内障視野障害に影響を与えることがあるからなんです。そのため末期の緑内障の方は白内障手術をすすめにくくなることがあるんですね。このように白内障と思っていたら実は末期の緑内障の状態であったという状態だと治療としてもしっかり行わないといけませんし、白内障も実際伴っていたとしても簡単に白内障手術を行いましょうといえないこともあるんです。外来の患者さんをみていてもっと早く発覚していればこんなことにならなかったのになと思うことはよくありまして今回のお話をさせていただきました。今回の話をまとめますと

①白内障と緑内障は症状が似ています。

②両眼でものをみているので多少視野がかけている程度では全く自覚症状がありません。

③そのため末期になって発覚することが多いです。

④末期緑内障に白内障があった場合簡単に白内障手術を進めれません。

という4点になります。繰り返しになりますが、緑内障は早めにわかれば問題にならないことがほとんどです。眼科医になってからこの重要性を痛感していたので私は片目ずつ閉じて見え方に変化がないのか定期的にチェックしていますし、定期的に眼底チェックもしています。最近は近視による緑内障が増加しています。2000年に行われた多治見スタディという疫学調査と比べると今は近視の人口が多くなっていますし、近視型の緑内障がその時よりも増えていくのではないかと考えられています。近視型の緑内障は視力に大切な中心からの障害が多いと言われていますので尚更早期発見が大切です。近視が強い方であったり、家族歴がある方は必ず40歳以降毎年眼科受診して検査してあの時もっと早く受診していればよかったのになということがないようにしていただきたいと思います。白内障だと思っていたら緑内障だったという方が一人でも少なくなればなと思っております。今回は白内障と緑内障の似たような症状に関してお話させて頂きました。


(2022.5.7)