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55. vivityってどんなレンズだろう?

今回は日本ではまだ未承認になっておりますが、米国を中心に使用されている新しい眼内レンズでvivityという眼内レンズがありましてそちらに関してお話させていただきます。
vivityという眼内レンズは2020年の春頃米国で販売され米国を含んだ海外で使用されている眼内レンズなんですが、国内ではまだ採用されておりません。いずれ日本国内でも近いうちに採用されるのではないかという噂がありまして多くの方が注目している眼内レンズです。眼内レンズであれ、新しい治療薬であれ日本は海外で作られたものが通常すぐには採用されません。海外での臨床成績が明らかになり、国内での厳しい審査を通ったのちに採用されるようになります。ですので国内で採用されるものは通常時間がかかるのですが、その分安心して使えるものがほとんどです。例えば最近保険診療で行える眼内レンズ、テクニスアイハンスという眼内レンズをお話させて頂きましたが、テクニスアイハンスは海外では2019年春頃から発売され国内で採用になったのが2021年秋頃、2年半ほどかかっているわけです。vivityは2020年の春に米国で発売された眼内レンズでありもしかしたら2022年の年末頃に早ければ国内承認がおりるかもしれません。海外での論文報告は多数ありますので分かっていることに関してお話させていただきます。

vivityはアルコンという会社のもののレンズです。アルコンの代表的な眼内レンズは選定療養で唯一認められている3焦点眼内レンズpanoptixや2焦点眼内レンズのactive focusという眼内レンズがあります。または単焦点眼内レンズでも最近だとclareonというものがありましてどれもいいレンズだと思っています。これら単焦点~多焦点で扱っているアルコンの眼内レンズで共通していいところ、術後のコントラストが非常によく、昔の眼内レンズはグリスニングといいまして術後数年で濁る事があったのですがレンズの素材が新しいものに変わった事により、レンズ自体が将来的に濁る心配をほとんどしなくていいこと、また着色眼内レンズでブルーライトカットの機能もついているものの、全てをカットするわけではなく眼内に必要なブルーライトの成分は通すフィルター構造になっていること後発白内障といいまして白内障術後に白く混濁することがあるのですが独自のレンズ形状により抑制する効果があることなど、レンズ自体の質がとてもいいです。
vivityで分かっていることを3つお話します。
1つ目は非回折型の焦点深度拡張タイプの眼内レンズだということです。現在日本で選定療養で販売されている多焦点眼内レンズは回折型の眼内レンズです。レンズの中央にぐるぐるした構造がありこの構造により光を折り曲げて3焦点なら遠方、中間、手元と振り分けてみえるようにします。回折型のレンズは焦点を振り分けるために作られた構造ではあるのですが、一部の光が反射したりすることにより全ての光が眼に入ってくることはできません。これを光学的ロスといいますがだいたい15%前後の光がまず目の中に入ってきません、残りの85%の光を遠方、中間、手元とふりますの遠方40%、中間25%、近方25%のように光の成分を振り分けます。単純に割合通りにしかみえないわけではないのですが、このように分光することで見え方の質が単焦点より劣ってしまいます。単焦点眼内レンズは見える距離に対して制限はあるもののこのような回折構造がないので基本光学的ロスは考えませんので遠方なら遠方、手元なら手元を100%に近い力で見ることが可能です。このように回折構造は光を振り分ける結果コントラストが低下したり、夜間にライトを見ると輪が見えるハローであったりにじみが見えるグレアまたは光が四方八方に広がる感じのスターバーストといった光が滲んだりする異常光視症といいますが不快な現象がおきます。特に夜間の見にくさや運転時の不満が問題になることがあるんですね。光を分光することで遠方から手元まで良好な視力が得られるもののこのような回折構造による見え方の質の低下が問題視されておりました。すなわち遠方から手元まで1.0でみえたとしてもその見え方の質に満足されない方がおられまして、せっかく入れた多焦点眼内レンズを摘出して単焦点眼内レンズに入れ替えるような場合もあるんです。なのでこちらとしても視力1.0見えているから満足してくださいとは言えないわけなんですね。
vivityという眼内レンズはその副症状に注目して作られた眼内レンズです。vivityはこのような回折構造がありません。
これは先程お話した回折構造によるハロー・グレア、コントラスト感度の低下を起こさずに単焦点眼内レンズと同レベルの良質な視力を追求した構造となっております。Xwaveテクノロジーという特殊な構造により光学的ロスがほとんどなく、そして回折構造のように光を遠方何%、中間何%、手元何%と分光するのでなく入ってくる光を全て有効活用しますので遠方から中間距離までは良好な視力を獲得することが可能であると言われております。そのため単焦点眼内レンズと同レベルの視力の質を維持できます。いわゆる非回折構造のEDOFタイプの眼内レンズです。ハロー・グレアやコントラスト感度の低下の心配がほとんどないという海外データが出ております。これがまず1点目です。
そして2つ目は通常の単焦点眼内レンズと同様に扱うことが可能であると考えられております。回折構造はコントラスト感度がやや低下しますので、緑内障や黄斑疾患のようなコントラストを低下させる疾患がない状態であることが前提でしたが、こちらのレンズは現状単焦点眼内レンズと同様に使用することが可能です。
最後3つ目は遠方合わせの場合中間距離、おおよそ66㎝までが良好な視力が期待できるという点です。近方視力に関してはまだ不十分であるようです。ですので現状はハロー・グレアやコントラスト感度の低下の心配はほとんどないようですが、完全に眼鏡なしにすることまではできなさそうです。近方視力が不十分の場合は眼鏡が必要ですし、完全に眼鏡なしを希望されるならpanoptixの方がよいと考えます。vivity はプレミアムな眼内レンズであることは間違いありませんが、現状の多焦点眼内レンズに完全に代用となるかというとそこまでのレンズではないと考えますが副作用の可能性をできるだけ排除したい方にはいい選択だと考えます。
今回のお話をまとめますと

①vivityという焦点深度拡張型の新しい眼内レンズが2020年春から海外で販売されております。

②非回折構造であり回折構造のデメリットをあまり気にしなくてよさそうです。

③単焦点眼内レンズと同様に眼疾患がある方でも適応になります。

④遠方合わせの場合手元視力は不十分であることが唯一の欠点です。

という4点です。このレンズ国内で発売されるなら是非保険診療で行えるレンズとしてレンティスコンフォート、テクニスアイハンスのようなプレミアムレンズの一つとして組み込んで頂きたいと思っていますが現状はどうなるかメーカーサイドも不明のようです。多焦点眼内レンズは従来遠方から手元までなんとか眼鏡なしでというのがコンセンプトでありましたが、現状は焦点距離を少し落としてでも不快な現象を軽減することが今の流れのように思います。今回お話したvivityは焦点距離でいうと従来の3焦点タイプより劣りますが光学的合併症を気にしなくてもいいことに大きなメリットがあると考えます。今回はvivityという眼内レンズに関してお話させて頂きました。


(2022.1.17)