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53. 近視抑制の新たな選択肢

今回は近視の進行抑制に効果的なソフトコンタクトレンズに関してお話させて頂きます。
近視抑制に効果的な方法として夜間に使用するナイトレンズ、オルソケラトロジーというのがあります。現在でも眼鏡やコンタクトレンズを含めた光学的な治療として最も効果が言われているのはオルソケラトロジーです。ですがこのオルソケラトロジーに興味を持たれた方がいても、例えばオルソケラトロジーは屈折の値が−4.0までの中等度の近視にまでしか適応がない点であったり自費診療であってやや高額である点から興味があってもためらってしまう場合がどうしてもあります。今回は通常の1dayタイプのソフトコンタクトレンズでオルソケラトロジーと同じぐらい近視の進行抑制に効果的なレンズが2019年から国内で発売されておりますのでそれに関するお話をさせて頂きます。

以前に近視の話題はいくつかさせて頂きましたが、最初にその話をまとめます。現在近視人口の爆発的な増加が大問題になっております。東京都の検査では小学生で3割近視になり中学生になると5割程度、高校生になると9割近く近視になっているというデータがでております。近視は小学生の間に最も進み以後近視の進行は緩やかになっていくのですが、それでもだいたい25歳前後までの年齢までは進んでいくと言われております。近視というのは現代病ですよね、私だけが近視というわけなくあの子も近視、違う友達も近視なのに何故いけないのかというと将来的に緑内障や網膜剥離や黄斑症のような目の病となる可能性を高めてしまうのが近視だからです。

学童の間は近視になっても目の病気になることはまずないのですが、将来的にこのような眼科疾患のリスクが高くなってしまうので近視はできるだけ抑制しなくてはなりません。近視だから全員が病的な状態になるわけではもちろんありませんが、近視の度数が強くなるほどこの可能性が高くなります。一旦なってしまった近視は治すことができないのですが、すでに近視であるといっても弱めの近視を強めの近視にすすめないようにするだけでも大きな意味があるわけです。

その近視抑制に非常に効果があるものとして大きなものとして3つあり、オルソケラトロジーというナイトレンズを用いる方法、低濃度アトロピンの点眼、屋外活動で光を2時間以上浴びるという3点がメインです、更に細かい事になると30cm以内の長時間の近業作業を避けること、完全矯正眼鏡、2焦点コンタクトレンズ、クロセチンというサプリメントという方法があります。

このようなコンタクトレンズや眼鏡などの光学的な治療で最もエビデンスレベルが高く近視抑制効果が高いのがオルソケラトロジーなのですが、先程もお話した費用の点と適応範囲外の方もおられれるのでその場合は今回お話するソフトコンタクトレンズが効果的です。それは老眼用のコンタクトレンズなのですが最近発売された焦点深度拡張型のタイプのコンタクトレンズというものです。こちらのタイプはEDOF型という特殊な加工がしてある老眼用のコンタクトレンズです。どのタイプの老眼用コンタクトレンズでも効果があるわけではありません。EDOF型のコンタクトレンズは特に効果であると言われています。老眼用のコンタクトレンズを未成年に使って効果があるのかと思われうかもしれませんが、偶然近視の予防効果があると言われるようになり使用することに関して問題ありません。EDOFというものは白内障の眼内レンズでも言われておりますのでご存知の方も多いかもしれませんが、このEDOF型の特徴は中心を遠方に合わせて周辺にいくにつれてなだらかに+の度数を付加していきピントの調節を助けるものです。現在近視の主な原因としして周辺部の網膜にピントが合わず奥にずれることで起きると考えられておりますが、それを補正して眼軸長の進展抑制を狙うことで効果が得られていると考えられております。近視の原因はピントが網膜より後方にずれ、その刺激によりもっと目を大きく伸ばさないといけないという反応が起きた結果眼軸長といって目が大きくなる、結果として近視が進行します。ピントが合っていないとピントが合わせようと目が錯覚し楕円状に大きくなっていくんですね。これ軸性近視といいますが、小児の近視の原因はほとんどこの眼軸長の進展が原因です。この焦点深度拡張型のタイプのコンタクトレンズはできるだけ広い範囲で網膜にピントをあわせることで眼軸長を伸ばさないような効果が言われているのですがこれはいわゆるオルソケラトロジーで言われている近視抑制効果の機序と同じです。近視進行抑制効果はだいたい30%前後あるとの報告がありますので、近視でお困りな方でオルソケラトロジーが使用できないような方には代用となりうる手段ですので検討されてもいいとおもいます。

ただし通常のソフトコンタクトレンズと同様の取り扱いが前提ですので、きちんと一人でコンタクトレンズを装着できる年齢であることが必要です。小学生のお子さんには基本的には処方の対象とならないことが多いです。だいたいは中学生になってきちんとコンタクトレンズの装着が自分でできること、そして誤った使用をしないことが理解できることが必要です。中学生以上で通常のソフトコンタクトレンズを使用するなら近視の進行抑制で現状はこのレンズを使用するのがいいのではないかとかんがえております。実は近視抑制の効果があるコンタクトレンズもしくは眼鏡で海外ではすでに使用されるものが他にあります。代表的なものとしてmisightというコンタクトレンズであったりmyosmartという名前で発売されているDIMSレンズというものです。これは網膜の焦点距離が後方にずれることが近視の原因なのでできるだけ焦点距離を前方に移動すれば眼軸長を伸ばさないようにするのではないかと考えられたレンズです。海外では続々と近視抑制の効果が言われており、かなりの効果があるようです。ただしまだエビデンスレベルが低く現状国内では未承認となっております。今後このようなコンタクトレンズ、眼鏡が国内使用できるようになればいいなと思っております。今回のお話をまとめますと

①1dayタイプのソフトコンタクトレンズで近視の抑制効果が期待できるものがあります。

②近視抑制効果は通常のソフトコンタクトレンズより30%ほど期待できます。

③通常のソフトコンタクトレンズと同様にきちんと自己管理ができる年齢に達していることが処方の条件になります。

という3点です。近視の進行は遺伝的な要因と環境的な要因と2つ言われておりますが、昨今の近視人口の増加は環境的な要因がほとんどです。近視の進行があればこのようなコンタクトレンズを使用するのは効果的ですが、結局このようなコンタクトレンズをしたらゲームを何時間してもいいとかそういうわけではありません。基本は生活習慣の見直しが大切です。屋外活動を2時間を目安に増やして、近業作業もできるだけ長時間しないことも大切です。3つの3といわれておりますが、30cm以上離して連続した近業時間は30分、そして30秒遠くをみて調節の負荷をとることは大事です。この上で使用することが大前提であることをご了承くださいね。


(2021.12.30)