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52. 乱視は矯正した方がいいのか

今回は乱視は全て矯正することが必要なのかという事に関してお話させて頂きます。
乱視という言葉は皆さんよく聞きなれた言葉だと思います、乱視があるから見にくくてコンタクトレンズや眼鏡を使っているとか、乱視があるから二重にみえるとか、乱視はあまりよくないイメージの方が多いと思います。私自身も両目ともに乱視はありまして、もちろん乱視を補正できた方が視力がよくなりますので乱視自体なければもっとよく見えたのになと感じることがあるのですが私自身は乱視を矯正した眼鏡、コンタクトレンズを使っていません。乱視は矯正する必要があるのかというと当然矯正するべきだろうと多くの方が思われるかもしれませんが、乱視は必ずしも矯正しない場合がありましてそれに関してお話させていただきます。

乱視の原因になるものには水晶体という眼の中のレンズにより影響を受ける場合もあるのですが、多くの場合は目の表面の角膜が原因になります。正常な場合は角膜は縦方向も横方向も斜め方向も同じようなカーブをしております。よく乱視のある状態をラグビーボールに例えますがそのラグビーボールを寝かした形のように縦のカーブが強い直乱視といいますし、もしくはラグビーボールを縦においた横のカーブが強かったりする倒乱視というものがあります。この直乱視にも倒乱視にも当てはまらないものを斜乱視といいましてラグビーボールが斜めになっているものです。斜乱視はまれです。

若い方の多くはこの縦方向のカーブが強い直乱視というものが多いです。乱視の9割近くはこの直乱視です。直乱視というのは角膜の縦のカーブが強いもので縦方向が強いと縦方向が横方向と比べるとはっきりみえるものです。コンタクトレンズの度数などに書いてあるのですが0°であったり、180°付近のラインで書いてあるものが直乱視です。一方高齢者の方だと倒乱視というものが多いです。先ほどの直乱視とは逆に横カーブ強いので縦と比べると横向きがはっきりみえる傾向にあります。これは乱視の軸が90°付近のものです。

高齢者に倒乱視が多いのは昔の人はそうだったというわけではありません、これは単純に生まれながらほとんどの人は縦方向がはっきり見える乱視、直乱視が多いのですが、年齢と共にこの乱視の方向がさまざまな要因により横向きになっていきます。このように垂直方向に傾きが強いのか、横向きに強いのか、斜めに見えるが強いのかというのを乱視の軸と言いますが、この乱視軸によって視力への影響が多少変わってきます。またこのような乱視の方向に加えて乱視の度数というものがあります。マイナスで表記されておりましてマイナスの値が強くなればなるほど乱視の度数が強くなります。乱視の度数がー1よりー2の方が強いですし、-2よりー3の方が強いです。例えば乱視用のコンタクトレンズを使用されている方は情報が記載あるのですがC-1.0×AX180°という表記があればCはcylinderで円柱度数、端的にいうと乱視の度数ということなのですが乱視の度数はー1でAXはaxisという乱視の軸なので180°と書いてあるから直乱視で弱めの乱視なんだとなりますし、C-0.5×AX90°とあれば乱視度数が‐0.5で90°だからこれも乱視の度数は弱めで倒乱視なんだというようになります。このCの値が0になる人も中にはおられますが、その場合乱視がほとんどないということになります。ただ厳密には乱視がまったくない人というのはほとんどいません。乱視は少なからず誰しもが持っていると言われています。

乱視の強さはこのように度数で表すのですが、この乱視の方向、直乱視だとか倒乱視が何故大切かといいますと一般的に言われているのは直乱視の場合は視力への影響が少ないと言われています。逆に倒乱視はわりと直乱視に比べると視力への影響が出やすいという特徴があります。

なので例えばー1.0という乱視の度数であっても倒乱視よりも直乱視の方が視力が出やすい特徴があります。同じ乱視の度数であっても軸が違えば視力の出方が違うというのはこのようにおおいにあり得ます。

もちろん直乱視であっても乱視の度数が強ければ裸眼視力が落ちますしひどいと物が二重にみえたり乱視による影響が出てきますので矯正して治す必要があります。乱視は度数が強いとこのように視力に悪影響を及ぼすので補正する必要があるのですが、乱視も悪い事ばかりではありません。

乱視は見える奥行を広げる効果もあります。乱視はあればあるほど焦点深度といいまして見える奥行が広がる一方でピントとしてはぼけてきます。逆に乱視がなければ見えるポイントは鮮明に見えますが奥行に関しては減ります。なので実は乱視が全くない人が実は鮮明すぎる画像を見続けると逆に眼精疲労の原因になったりする場合があるんですね。乱視があれば見える範囲が広がるわけですが、もちろん乱視の度数が強ければ強いほど有利ではありません。これはほどよい量というのがだいたいいわれておりまして直乱視は‐1.25Dまで倒乱視は‐0.75Dまでは特に問題がない範囲と言われております。すなわちだいたい-1.0程度の乱視なら裸眼視力が大きく落ちることもなくて見える範囲をそれなりに維持できる状態を期待できます。

直乱視と倒乱視で許容される範囲が違うのは先ほどもお話しましたが直乱視の方が視力への影響は少なく倒乱視の方がわずかの度数であっても視力へ影響することがあるから少し基準となる値が違うんですね。このようにだいたい-1.0程度の弱めの乱視ならしっかり矯正した場合と比べると多少くっきり度は下がるのですが、日常生活においてはほとんど不便がない乱視として考えられております。実は7割以上の方がだいたい-1以内の乱視であり、あまり乱視をわざわざ矯正しなくてもいい方がほとんどです。

乱視は若い方は直乱視が多く50歳以降は瞼の圧力が下がるなど様々理由で倒乱視に変わっていくとも言われております。倒乱視は自覚的に影響があるので例えば白内障手術において倒乱視は積極的に乱視用の眼内レンズを入れることが多いです。逆に直乱視であったとしても先ほどのー1程度以内ならあえて矯正をせずに明範囲として残すこともあります。このようにひとつ乱視をとっても色々種類がありまして特徴が違います。今回のお話をまとめますと

  1. 乱視には直乱視、倒乱視、斜乱視があり多くの方は直乱視です。
  2. 乱視は度数が強ければ明範囲が広がりますが、その分裸眼視力は下がります。
  3. 乱視がなければ見え方は鮮明になりますが、眼精疲労の原因になったりする場合があります。
  4. ほど良い量が‐1.0程と言われています。

という4点です。冒頭でお話しましたが私も乱視があるのですが、矯正するとくっきりみえすぎて電子カルテのように近業作業が多い生活スタイルのため不向きでした。私のようにデスクワークが多い方はあえて乱視矯正用の眼鏡やコンタクトを使用する必要はあまりないのかなと思います。一方トラックの運転手のように遠方を見ることが多い方は乱視を矯正した方が良好な遠方視力が出るのは間違いないと思います。このように乱視があるから必ずしも矯正しないといけないわけではありません。乱視の軸の方向によってはあえて矯正しなくていい場合もあります。


(2021.11.27)