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43. スポーツによる眼外傷

スポーツによる外傷って皆さん何を思い浮かべますか?私は野球とかゴルフが好きなんですが、野球だとデッドボールによる骨折だとか、走塁による肉離れとか、ゴルフだと腰痛や膝関節の痛みなどが思い浮かびます。いわゆる骨とか筋肉、靭帯の疾患が多く思い浮かばれるのではないでしょうか?眼科医の立場からいいますと、あまりご存知ない方もおられるかもしれませんが、スポーツによる眼外傷、これ結構怖いんです。不運にも当たり所が悪いと急激に視力が落ち、後遺症として残ってしまう事が多いです。

スポーツ外傷のうち眼の外傷は実際数%で、他の外傷に比べてあまり目立ちません。ただ、その内、眼球運動障害や視力低下など何らか後遺症を残してしまう確率は30%近くあるんです。酷い場合視覚的に失明に近い状態で後遺症残される方もいらっしゃいます。このように眼外傷は外傷全般と比べると発生率は高いとはいえないんですが、他の部位の外傷と異なり後遺症を残しやすいということを知っておく必要があります。では、眼の外傷はいつ起こりやすいのでしょうか?

日本スポーツ振興センターの調べによりますと、小学校では担任の目が届かない休憩時間での発生が1番多く、中学生以降は部活動によるものが多いです。その中でも球技によるものが80%以上と大半をしめておりました。野球、サッカー、バスケットボール、テニスがトップ4なのですが、その他バドミントン、卓球、ラグビー、バレー、ハンドボールなどで報告があります。野球は最も障害が多くかつ、後遺症が残りやすいスポーツです。自打球やイレギュラーバウンドの捕球ミスの際などで多いようです。特に自打球は多いのですが、打ってから目に当たるまでの速さは0.05秒くらいで、そのスピードの自打球を避けることはまず不可能といわれております。網膜剥離とかで緊急手術になることは何度か経験しました。サッカーでも至近距離から蹴ったボールがあたる事で同様に重症化する可能性があります。意外と思われるかもしれませんが、バトミントンでも起こりえます。バトミントンのスマッシュの初速ってどのくらいだと思いますか?実は200〜300キロメートルと物凄い速さなんです。新幹線のスピードで来るものを至近距離でかわすのは非常に困難なのではないでしょうか?羽の部分は柔らかいですが、シャトルのコルクの部分は硬く、充分目の奥に入る可能性があると言われてます。そういう事で、スポーツする上で身体のケアももちろん大切なのですが、眼を大事にすることも忘れないでほしいなと思います。
アメリカの米国眼科学会からの報告によるとアメリカではスポーツなどによる眼外傷は年間42000件以上発生していますが、その9割は適切なスポーツ用保護眼鏡で防ぐ事ができたと表明しております。そのため、スポーツをするときは参加者全員に眼の保護装具をするように強くすすめられています。日本では眼外傷は年間30000件以上発生しているとの報告がされております。その中でもやはり多いのは野球です。現在スポーツ眼鏡として作られているのはスキーとスイミングのゴーグルだけです。野球用の眼鏡などの球技用の眼鏡は作られておりません。ですので眼鏡を選ぶ際はフレームは広くて視野が広いもので軽いもの、レンズは衝撃に強く割れないものなど出来るだけスポーツすることに向いたメガネを眼鏡屋さんと相談して購入してもらうしか現状はないです。事故防止の点から野球する際に眼鏡することは実際全然ひろまっておりませんし、なんかかっこ悪いししたくないと考えられるのはよく分かります。特にお子さんの場合は中々説得してもしてくれないと思います。私は仕事柄たくさんの眼の外傷で痛い目にあっている方見てきました。外傷が起きた場合は故意であることはまずありませんので、責めようがないのですが、もしこの方がゴーグルをしていたらこうはならなかったのになと思わずにはいられませんでした。

球技の事に関して主にお話ししましたが、その他のスポーツでボクシングはとても注意が必要です。パンチによる目への衝撃により、眼窩底骨折といって目を守っている骨が骨折すると眼球運動障害が起きることあります。その場合物が2重に見える複視という症状が出たりします。ある程度回復する事が多いといっても後遺症が残ることも多いです。実際ボクシングのような格闘技系の競技はよく試合後に眼窩底骨折の記事を見ますし、眼の後遺症のために引退したという方も多くおられるようです。何故眼鏡をしないのか不思議です。

目の外傷は軽傷なものから前房出血、硝子体出血、網膜剥離、眼球破裂、外傷性視神経症、blowoutといわれる眼窩底骨折と深刻でかつ致命傷になりかねないものがあります。
スポーツで顔外傷の予防のために保護シールドしているスポーツはアイスホッケーが代表です。アメリカでは実はアイスホッケーによる眼外傷が多く、フェイスシールドが義務付けられましたがその後眼外傷が激減しました。もっと他のスポーツでも推進すべきだと思うのですが、まだまだ普及するには時間がかかりそうです。

ちなみに私はゴルフする際にはサングラスをしています。ゴルフする上でボールが目に直撃することは余程ないのですが、同伴プレーヤーのミスショットや、他ホールのボールが飛んでくるなど可能性がゼロではないからです。自分が打った際に細かな土が跳ねるなんてこともありえますしね。運転事故じゃないですが、事故一瞬後悔一生はこんかいのお話にも当てはまるんじゃないでしょうか?スポーツ眼外傷の予防への関心が広まり、適切なメガネなどが広がる事を今は期待しております。

今回の話をまとめますと、スポーツによる眼外傷は希ではありますが、起きた場合は深刻な目の後遺症を残すことがあります。そのほとんどはスポーツ用ゴーグルをすることで予防することができます。国内では特に野球の場合は注意する必要があります。

ご自身やお子さまの目のために気にして頂けたらと思います。

(2021.8.14)

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