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20. 赤ちゃんの目やに

小さな赤ちゃんが産まれながら「目やに」、「涙目」の症状が続くことがあります。この小さい子の目やに、涙目の症状で先天性鼻涙管閉塞症という病気があり、これに関してお話させて頂きます。この先天性鼻涙管閉塞症という病気は名前からすると難しそうな病気なんですが、全体の10%のお子さんがなる病気と言われてますので、決して珍しくはありません。先天性鼻涙管閉塞症とは名前の通り、先天性は産まれつきという意味ですので、産まれながら鼻涙管という涙の通り道が閉塞している病気です。涙は上瞼の外側にある涙腺という部位から作られます。作られた涙は目の表面の角膜、結膜を潤わした後に涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管、そして鼻という順番で流れていきます。この通路の中の鼻涙管という部位が閉じているというのがこの病気です。少し専門的な話になりますが鼻涙管の中に生後のお子さんの鼻涙管の出口のHasner弁というのがあるんですが、通常開いているこの部位が開いていないのが原因とされてます。この部位が空いていれば涙が流れていくのですが、この部位が閉じていると涙が流れていかず溢れていくんですね。洗面器を想像してもらえばよく分かるのですが、蛇口(涙腺)から出た水が、排水口(鼻涙管)が詰まれば洗面器に水が溜まってきますよね。逆に詰りが取れたらすぐに解消されます。目も同じでこの部分が開通しない限り涙がずっと溢れますし、目脂も流れて排出されないので目脂もたまっていくんです。両眼の場合もごくまれにあるんですが、基本は片目です。だいたい生後3ヶ月くらいたってこの子片目から涙と時々目脂がずっと出てくるんですが何故でしょう?と言われて受診頂くことがあります。目やにや流涙の原因としてアレルギーであったりバイ菌感染による結膜炎や逆まつ毛が原因で刺激になって流涙症状になっていることがあるんですが、この先天性鼻涙管閉塞症というを病気を見つける一番の根拠となるのは産まれてからずっとというのがポイントです。
眼科としての対応は2つです。1つ目は自然に閉じている部位が解消されて水が流れて行くのを待ちましょうというパターンです。もう1つはブジーという方法で細い金属の棒で閉じているところ物理的に空けてしまいましょうという方法です。最近だと涙道チューブを入れる場合などありますが、基本的にはこの2つのどちらかです。もともとは2つ目のブジー法というのがこういった先天性鼻涙管閉塞症に行なわれておりました。1歳までの子供の場合は押さえつけて、金属の棒を涙点というところからいれて開通させます。これ実は眼科医として結構大変ですし、お子さんにもストレスがかかります。子供は泣いて動く上に涙点という小さな穴を見つけて棒を通すのは困難ですし、涙点以降はブラインドの操作になります。自分の感覚で涙道に金属の棒を通すのは実は結構難しいんです。詰まった部位が空いたところでまた穴が塞いでしまう事もあります。その場合はもう一度行う場合もあります。合併症としても涙の通り道に穴を空けてしまい仮道といいますが涙道を突き破ってしまうことがあります。そうなると空いた穴から涙が流れてしまい感染症の原因になってしまうこともあるんですね。その他にも稀ではありますが誤嚥性肺炎とか敗血症といってバイ菌に感染したりするなどの報告もあります。それを聞くとブジー法というのはちょっと怖いなと思われるかもしれません。実はこの先天性鼻涙管閉塞症という病気はずっと閉じているわけではなく95%の確率で自然に開いていくといわれてます。基準は1歳です。それまでにだいたいのお子さんは自然に開いてくれます。昔は抗生剤の目薬をしたりとか、涙嚢あたりにマッサージをして流れをよくするなんてこともあったのですが、あまり効果的ではないと今は言われております。涙嚢マッサージをすることで涙道内の圧力を高めて閉じているところを開けるという方法なのですが、力加減が分かりづらく場合によっては涙道損傷の原因になるということも言われております。また抗菌薬は漫然と使うと耐性菌といって抗生剤の効かない菌が出現することがあり、細菌性の症状が出ているときのみに使用するようにしなければなりません。なので最近の方針だととりあえずあまり心配せず1歳まで特に何もせず待ちましょうというスタンスになっています。じゃあ1歳以降で治らなかったらどうするんだということになりますが、今は2歳まで待って治ることがあるので、もう1年辛抱強く待ちましょうというのも1つの方針ですし、1歳以降は体を押さえつけながらやるのは困難ですので全身麻酔で涙道内視鏡というものを使い開通させることもあります。単純に待てばいいというわけではありません、穴が開通するまで間に涙嚢炎という感染症を起こしたり、涙によって皮膚がただれてしまう事もあります。この涙道内視鏡を使って行う鼻涙管開放術を行う時期は早めにやるのか、もう少し待つのか医師によって意見がまだ分かれているところではあります。いずれにしろ、まずはセルフケアが大切で、お湯で湿らせたガーゼでこまめに拭き取るということが大切で涙液分泌が活性化していくと1年ほどで自然治癒することがほとんどなので経過をみていく場合が多いです。
ですが、目が真っ赤に腫れたり、皮膚がただれたりする場合は早め受診が必要です。通院しながら医師の話を聞いて治療法を探るのが重要であると考えます。

(2021.5.16)

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