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44. 白内障の種類とその影響

白内障の種類とどのような特徴があるのかという事にに関してお話させていただきます。白内障は目の中のレンズと言われる水晶体が濁っていく病気です。一般的には加齢により進行していきまして、健康に生きている人でも40歳以降誰しもが少しずつ発症していきます。白内障が進行すると視力が落ちきますし、その他に羞明感と言ってまぶしさや、コントラスト感度の低下、ものが2重、3重に見える複視といった症状であったり、または白内障=老眼ですのでピント調節機能が落ちたり様々な目の不調を引き起こします。
ただし、白内障といっても実はひとくくりに白内障という訳ではなくて濁り方や濁る部位によって様々なタイプがありそれぞれ特徴があります。白内障のタイプを細かく分類すると実は80種類ぐらいあるのですが、今回はもっとも多いメジャーの3種類に関してその特徴など踏まえてお話させて頂きます。
白内障は大きく分けて3つの種類があります。皮質白内障、核白内障、後嚢下白内障というものです。白内障は嚢という袋の中に皮質というものでおおわれておりましてその中心に核があります。この中でもっとも多い加齢性白内障のタイプが皮質白内障

というものです。水晶体の外側を形成していまして、外側が少し濁った程度では視力がいきなり落ちることがないのが特徴です。白内障で視力が落ちるのは視軸といってみえている中心のラインが障害されない限りいきなり視力低下は起きません。このタイプの白内障は周辺から中心に向かって濁っていくのが特徴で視軸のラインがいきなり障害を起こしていくことはあまりないので急激に視力が悪くなることはないのですが、濁った部分に関しては光の乱反射が起こりますので、皮質白内障は眩しさのような羞明感を自覚しやすいタイプの白内障になります。糖尿病など基礎疾患がなければ急激に進行することもありませんし、このタイプの白内障は程度が軽ければピレノキシンといった点眼で予防していくことも可能なタイプの白内障です。
次に多いのは核白内障

というものです。これはレンズのど真ん中が濁っていく病気でありますので、視力低下やコントラストの感度低下を引き起こします。さらにこの白内障は近視の目で多いというのも特徴です。正常眼の方と比べて3ー5倍程度多い白内障のパターンです。核白内障の特徴は中心が濁るということで先程お話した視軸にダイレクトにかかるので視力低下を自覚しやすいのですが、それに加えてどんどん近視が進んでいくのも特徴です。子供の頃の軸性近視と違い屈折性近視というもので要は加齢による近視です。

この核の部分は屈折に非常に影響を与える部位なので、この部分が濁っていくとどんどん近視になっていきます。
逆にいうと裸眼で遠方がどんどん見にくくなっていき、その代わり近くのピントが合いやすくなってくるのも特徴です。ご存知の方もいるかもしれませんが、レーシック後の近視の戻りの原因の1つがこの核白内障によるものです。20代~30代にレーシックをして遠方ははっきり見えるようになったけど徐々に遠方が見にくくなっていき逆に近方のピントが合ってきます。近視眼は年を取るにつれこの核性近視になりやすい特徴があるのでレーシック後に  近視が戻る理由の1つがこのためです。

この核白内障は近視がどんどん進んでいくので、その度に眼鏡を変えなければならなくなりますし、ひどいと一年に一度のペースで頻回に眼鏡のレンズ交換が必要になる場合もあります。ですのでこの場合は早めに手術を考えてもよい白内障のタイプになります。
最後にお話するのが後嚢下白内障

というものです。これは皮質白内障や核白内障と比べると少ないのですが、レンズの後ろの中心に曇りができる白内障です、後嚢下白内障も近視であることでなりやすいタイプの白内障と考えられています。後嚢下白内障はレンズの袋の嚢という部分の中心から濁っていきますので、これも視軸にかかりますのでわずかな濁りであっても最も視力低下が自覚しやすいタイプの白内障です。先程話した核白内障も視軸にかかるので視力低下が起きやすいのですが、この後嚢下白内障は更に視力低下が自覚しやすいタイプの白内障です。このように皮質白内障から核白内障、後嚢下白内障と白内障のタイプにより様々な特徴があるのですが、その中でわりと手術を早めに検討されるタイプの核白内障と後嚢下白内障は近視の人にに多いといわれております。そして近視の期間が長かったほどなりやすいといわれております。
若い時の近視は軸性近視といいまして簡単にいうと眼球が楕円状に引き伸ばされて正常の眼より大きくなっています。この引き伸ばされた状態になると水晶体にストレスを与えると考えられており、白内障の中でもこの2タイプ核白内障と後嚢下白内障になりやすいと様々な論文で指摘されているんですね。
このように白内障といっても一概にすべて同じはなくタイプによって違います。早めに白内障手術を検討した場合もありますので、よければ参考にしてください。今回のお話をまとめますと
①白内障には大きく分けて皮質と核と後嚢下と3つのタイプの白内障があります。
②皮質によるものは加齢性のもので通常は急激に視力低下を起こすものではないので点眼で経過をみる場合もあります。
③核白内障は年々近視になっていきますし、後嚢下白内障は最も視力低下を起こしやすいというのが特徴です。
という三点です。ちなみにこれらは単独で起こるわけではなく皮質+核白内障のように混合パターンもあります。現在は白内障手術は国内では年間150万件ほど受けられており、短時間で安全に白内障手術が行えるようになりました。早めに白内障手術を検討した方がいいと考えられるタイプの白内障もこのようにありますので、よければ参考にしてください。

(2021.8.20)