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190.みかんを食べると目がこうなります

みかんを食べることによる目への健康効果

冬に取れる果物は、いちご・りんご・みかん・レモン・キウイフルーツなど旬を迎える果物が多くあります。旬の果物は甘くておいしいだけでなく栄養価が高く、自然の恵みが豊富に含まれています。中でも“みかん”は、冬の代表的な果物ですが目の健康のための素晴らしい栄養素を豊富に含んでいます。今回はそのなかでも注目すべき目への栄養素とその働きに関してお話しいたします。

みかんは皮を剥いて手軽に食べられる果物ですが、みかんの果実の外側にある白いスジ、どうしていますか?



気にせずそのまま食べる人もいれば、丁寧に一つ一つとって食べる人もいると思います。実はあの「白いスジ」栄養素が豊富に含まれているので、捨てるとすごくもったいないのです。

みかんの白い筋には、豊富な食物繊維とヘスペリジンというポリフェノールが含まれています。



東北大学の研究

日本
の東北大学ではマウスによる動物実験ではありますが、ヘスペリジンが緑内障のモデルマウスにおいて、網膜神経細胞の死を抑制し、視機能の低下を改善することが明らかになりました。緑内障は、網膜神経節細胞が障害されて視野が狭くなる疾患です。その原因は主に眼圧が影響していると考えられているため治療は、点眼薬や手術によって眼圧を下げる治療が第一選択となりますが、眼圧コントロールが良好であっても、すなわち眼圧がすごく下がっていても病状が進行する緑内障患者さんは少なくありません。

緑内障の発症や進行は眼圧が中心ではありますが、それ以外にも、酸化ストレスや血流障害など様々な要因が深く絡み合って影響しています。抗酸化力が低い緑内障患者さんは緑内障が重症化する傾向があるとも言われています。ヘスペリジンはポリフェノールの中でも強力な抗酸化作用を持つため、酸化ストレスを抑制し、網膜神経細胞のダメージを軽減する可能性が考えられています。まだ研究段階であり、全ての患者さんに効果があるとは限りませんが、ヘスペリジンは心血管疾患の予防や免疫機能の向上だけでなく目の健康効果も期待されています。




目にも大切なビタミンC

みかんのような柑橘系の果物の代表的な栄養成分と言えば、ビタミンCですが、ヘスペリジンとビタミンCは相性がいいです。ヘスペリジンはビタミンCの吸収力を高める効果があります。ビタミンCは非常にデリケートな成分で酸化されやすい、すなわち劣化しやすい性質を持っていますが、ヘスペリジンがその酸化を抑制する作用があります。ビタミンCというとコラーゲンの合成に必要な成分なので女性の方には美容にいいというイメージがあると思いますが、目の健康維持のためにも大切な抗酸化ビタミンです。ビタミンCは目の酸化防止のために常に大量に目の中で消費されています。
目の中
には房水という循環しているお水があります。人の身体は多くの部分は血液が流れていて、そこから栄養や酸素をもらっているわけですが、目には血液が流れていない部分があります。それが角膜や水晶体といった部分です。血液がない代わりに血液をろ過して作った房水というお水から栄養をもらっています。その房水に含まれるビタミンCはなんと血液中の20倍も多く含まれています。紫外線などからの酸化ストレスから水晶体の透明性を維持するために大量のビタミンCが絶えず消費されています。白内障の予防に繋がる大切なビタミンとして考えられています。

ビタミンCは水晶体だけでなく、目の奥にある網膜の酸化防止にも大切なビタミンです。

抗酸化力が低下すると網膜の中でも特に大切な黄斑部の機能が低下する可能性があります。

事実加齢黄斑変性症という病気に関してはルテインやゼアキサンチンなどの抗酸化物質に加えてビタミンCも同時に摂取することが重要であることが明らかにされています。

ビタミンCは体内で合成することができませんし、加齢に伴って体内のビタミンCの濃度は減少していくため、積極的に摂取したいビタミンです。みかん1個当たりに含まれるビタミンCは35mg程度、推奨量は100mg程度なので1日2~3個食べるだけで1日に必要な摂取量を摂ることができます。ビタミンCは目にいいだけでなく体の免疫機能を高める働きがあります。風邪やインフルエンザの予防になりますのでこれからの時期にはうってつけになります。



天然由来の色素 カロテノイド

みかんはあの鮮やかなオレンジ色がいいですよね。何故みかんの果肉は黄色なのかというと、カロテノイドが多く含まれているからです。単に色づいているだけではありません。カロテノイドとは天然由来の色素のことで、栄養価が非常に高いです。トマトは赤色ですがリコピンというカロテノイドの色素によって赤色になっていますし、鮭はアスタキサンチンというカロテノイドの色素によってピンク色になっています。

そのような色素のことをカロテノイドといいます。このような天然由来の色素は、わたしたちの健康に様々な良い影響をもたらすことが知られています。その理由が、主にカロテノイドがもつ強力な抗酸化作用です。カロテノイドは、体内で発生する活性酸素を消去する働きがあります。活性酸素は、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃し、体を守る働きがある一方で過剰な活性酸素は細胞を傷つける原因になります。

目は活性酸素の影響を非常に受けやすい臓器です。

目は寝ている時を除いて常に光刺激をうけています。特に紫外線は強力な酸化作用を持つため、活性酸素を大量に発生させます。白内障は、水晶体のタンパク質が変性し、濁ることで起きますが、紫外線と明らかに関係があります。

また目の奥にある網膜は機能を維持するために酸素を大量に消費しています。大量に酸素を消費するということは、その過程で大量の活性酸素ができるので、他の臓器よりも酸化ストレスを受けやすい状態になります。

目の組織は非常に繊細で、一度ダメージを受けると回復が難しい場合があります。

酸化による影響は白内障や加齢黄斑変性症、緑内障、糖尿病網膜症など、様々な眼疾患の原因になります。カロテノイドは、このような活性酸素から目を守る働きがあります。

目に含まれているカロテノイドはルテインゼアキサンチンです。サプリメントなどからとられている方もいると思います。実際目の健康維持に欠かせない栄養素として知られています。

みかんに含まれるカロテノイドはβ-クリプトキサンチンというもので、こちらは網膜の天然成分ではありませんが、その高い抗酸化作用により目の健康にとっても重要な働きがあるのではないかと考えられています。

β-クリプトキサンチンはこのような抗酸化作用があり臓器を守る役割があるだけなく、必要に応じてビタミンAに変わります。

ビタミンAは粘液を作ってのどや鼻などの粘膜を保護する作用があります。粘膜を守り、乾燥や細菌の感染を防ぐ働きがあります。

目にも粘膜があります。白目の表面とまぶたの裏側を覆っている部分で、「結膜」と呼ばれている部分です。結膜はムチンという粘液をつくって目の表面を保護していますが、ムチンの合成にビタミンAが関わっています。不足すると、角膜や結膜が乾燥して眼球乾燥症という極度のドライアイ症状を引き起こすことがあります。

また、ビタミンAは、目の奥の網膜にあるロドプシンの主成分で、夜の見え方に重要な役割を果たしています。(暗順応)

不足すると暗いところで周りが見にくくなることがあります。(夜盲症)

日本ではビタミンAが不足することはあまりありませんが、発展途上国ではビタミンA不足によって失明されている方もいるぐらいです。

ビタミンAはこのように大切な成分ではありますが、脂溶性なので、摂り過ぎると体に蓄積して 過剰症の心配が出てきます。ですが、みかんに含まれるβクリプトキサンチンなどのカロテノイドは体内に必要な分だけがビタミンAに変化するので、ビタミンAの過剰症のリスクを避けることが出来ます。安心して食べれるメリットがあります。

みかんには目にとって大切なビタミンAに変換するカロテノイドが多く含まれています。

このようにみかんに含まれるヘスペリジン、β-クリプトキサンチン、ビタミンCは、それぞれ異なるメカニズムで目の健康をサポートします。

これらの栄養素をバランス良く摂取することで、目の健康維持に役立ちます。

ただし、当たり前ではありますが、みかんだけで全ての栄養素を補うことは難しいので、様々な種類の果物や野菜、魚などをバランス良く食べるように心がけるようにしてください。

みかんの缶詰やジュースはどうなのかというと缶詰やジュースにする過程で、ヘスペリジンなどの食物繊維がほとんど失われてしまいます。またジュースにすることで、みかんに含まれる糖質が濃縮されます。一度に大量の糖質を摂取すると、血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が過剰になる可能性があります。糖尿病の方にはよくありません。また保存料や着色料などの添加物が含まれている点で健康への影響が懸念されています。オレンジジュースに限ったことではありませんが、やはり丸ごとの果物や野菜にはより多くの繊維やその他の重要な栄養素が含まれていることを覚えておくことが大切です。


まとめ

  1. みかんの白い筋には食物繊維とヘスペリジンというポリフェノールが含まれています
  2. マウスによる研究からはヘスペリジンは網膜神経線維によいとされています。
  3. ビタミンCが多く含まれています。ヘスペリジンと相性がいいです。
  4. みかんの鮮やかなオレンジ色はβクリプトキサンチンというカロテノイドによるものです。
  5. ジュースや缶詰よりは生のみかんがおススメです。

という5点です。

みかんは、ビタミンCをはじめとする様々な栄養素が豊富で、特に目の健康に良い影響を与える可能性が高い果物です。白い皮が苦手でない方でしたら、あまり剥かずにそのまま食べる事をおすすめします。

今回はみかんを食べることによる目への健康効果に関してお話しいたしました。

(2025.3.4)