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50. 視野検査の見方

今回は緑内障検査における視野検査の見方に関してお話させて頂きます。
緑内障と診断された場合視野検査
をして経過をみさせて頂くことがほとんどです。逆に緑内障患者さんにおいて視野検査をしないというはまずありません。それだけ視野検査は緑内障診療においてとても大切だからです。ただこの視野検査は患者さんにとってはとても嫌な検査なんですね。自覚検査であり7分前後くらいかかります。見える光に対して反応してボタンを押さなければなりませんので5分〜7分程ずっと集中していなければなりません。緑内障が悪い方だと光っているところが全く分からないので、あれこれ検査始まってるのかな?とあれこれ光を目で追ってしまい結果として検査が不正確に出てしまったりもしくは悪くなったデータになるのが怖くて一生懸命光を探されて結果として不正確なデータになったりしてしまいます。

また改めてお話しますが、光と同時にピッと音が鳴るシステムになっているのですが、ピッと音が鳴っても実は光っていない場合があります。これは機械が壊れているとかそういう訳ではなくわざとトラップを仕掛けているのですが、こういう設定もされておりますので余計に混乱してしまう方もおられるようです。

患者さんからしたら一生懸命検査しているのに医者側からはちゃんと真っ直ぐ前見て目をきょろきょろせずにちゃんと検査してねと言われるような経験をされた方もおられるかもしれません。

検査オーダーを出しているこちら側としてもなんとか視野検査の代わりとなるような検査ができないものかと思っておりますが、現状は緑内障の状態を正確に判断するには欠かすことのできない検査となっております。

さて、緑内障の検査で行う視野検査は静的視野検査というものが行われます。これは30-2の視野検査もしくは施設によっては24-2の視野検査というものがされます。どちらもだいたい同じものと考えていただいていいのですが、30-2の視野検査をされている施設が多いのでこちらに関してお話させていただきます。

この30-2の視野検査は緑内障の視野検査に特化したプログラムなのですが、どの範囲をとっているのでしょうか?また30-2って一体どういう意味なのでしょうか。実は緑内障の視野検査は見える範囲の全てを検査しているわけではないんですね。人間の視野は正常範囲がおおまかにきまってまして上方60°、鼻側60°、下方70°、耳側100°といった広域でみえる範囲が存在しています。


すなわち片目でみた場合上側と鼻側の視界がやや狭めで、下方は少し広め、耳側が最も広いんです。見える範囲は円状ではなくてこのように方向によって見える範囲がばらついています。光の感じ方も全て同じではありません。視野の島
という言い方をされておりますが、中心の0°の部位は黄班という部位で光の関知に最もすぐれている部位で視力で最も大事な部分です。この中心部分から光を関知する能力が周辺にいくにつれてなだらかに低下していくのが正常の視野の形です。緑内障の視野検査はこの全ての範囲の検査をしているわけではありません。ではこの30-2という緑内障の視野検査で行われているのはどの範囲かといいますとこの中心30°以内の範囲を測定されております。

瞳孔の中心と黄斑の中でも視力に最も大事な部分を黄斑の中の中心窩といいます。これを結んだラインを視軸といいます。すなわち丁度0°のところが黄斑という視力にとってとても大事なところです。

それが10°、20°と少しずつはなれていき、30°までいきます。途中15°の部位で黒い点があります。これはマリオット盲点といいましていわゆる視神経に相当する部分です。右眼なら視野の右側
にありますし、左眼なら視野の左側にあります。この部位は視覚を感じる部位ではありませんので、必ず暗点がつきます。時々この部位は視野欠損ですかと言われる患者さんがおられますが、そうではなくこの部位に関しては正常に検査が行われた場合暗点がつきます。

この30°までの範囲で検査が行われます。何故30-2なのか。それは視軸を中心としたラインにおいて30°の範囲が2つあるからんですね。24-2という検査なら24°までの範囲を2つとってるから24の2なんです。この範囲を緑内障検査として計測しています。全体の視野に対して緑内障で調べている視野の範囲って結構狭いんですよね。

そうなると何故全ての視野範囲をとるのではなくてこの30°や24°の範囲で終わりなのか。ということになります。これは様々な理由があるのですが一番の大きな理由は90%以上のほとんどの緑内障の視野欠損はこの30°以内の視野から欠損が始まるからなんです。緑内障で視野が欠損していくパターンというのはだいたいきまっています。基本は上方の視野欠損から始まります。これは視神経がやられていく部位と連動するからなんですが、視神経でやられていくのはこの視神経の下の方からダメージを受けていく特徴があります。
必ず下の方からやられていくわけではないのですが、基本は下の方から障害を受ける事が多いです。下の方からやれていくとその部位に沿った視神経線維がやられていくんですね。下の視神経から障害を受けていくのなら下方の視野欠損から始まっていくのかなと思われるかもしれませんが、そうではありません。少しずつ障害をうけていき結果として視野は反転しますので上方の視野欠損を認めるようになります。網膜はカメラで言うフィルムと同じです。目に写った部位は反転されて頭の中で画像を処理されておりますので、視野検査を視神経と一致させるためには反転して上下逆にすることで障害の部位と一致するわけです。これを30-2や24-2という範囲で測定していきます。ところで30-2という視野の測定点は76点
あります。

24-2は54点の測定点があります。黄斑部の中心が0°で6°間隔でプロットされているのですが、0°周辺4点のみ3°間隔でプロットされています。
すなわち30°の範囲内を中心を0°次は3°、9°、15°、21°、27°と格子状に広がり全部で76点あります。

この範囲を細かく検査していきます。この部位を光の強さに対して反応出来るかどうかを検査していきます。弱い光から強い光まで点灯して76点のうちランダムに光がでます。それらに対して反応できるかどうかを評価していくんですね。これちなみに76点くまなく1点1点光の強弱をつけて検査していくわけではありません。そのような検査だとしたらとても大変な検査です。これは視野検査という機械がとても優秀なのですが、視神経の走行に対してこの点でこの光が認識できたのなら次の点も認識できる。この光の強さが認識できているのなら隣接したポイントも認識ができる可能性が高い解析してくれます。これが自動視野検査計の素晴らしいところです。視野検査には正常眼と緑内障眼の大量のデーターベースがもともとプログラムがありますから、そのデータに沿って不要な測定は自動的にカットされます。だいたい平均で7分前後ですが緑内障が悪い方の場合時間がかかります。例えば視野に異常がない方なら最も弱い光に反応できればその測定点は終わりの訳ですが、悪い方程どの程度まで光の強さを自覚できるか少しずつ光の強度をあげながら判定されるからです。

この測定点76点の内最周辺部はあまり評価の対象となりません。これは眼鏡のフレームの影響や眼瞼下垂といって瞼が少し落ちている方はこの部分を感知できない可能性があるからです。ですからこの部位に欠損があったからといってそれが緑内障の変化ではない可能性があります。その点24-2という検査は最周辺部を除いています。あえて除いているのはこの理由です。検査側としても最周辺部までは測定することは重要度からいくと低いです。ですからあえてこの部位を測定することはせずにただでさえ労力のかかる視野検査を少しでも短縮して行うために設定されたプログラムであるともいえます。では何故30-2の検査をするところが多いのか。それは30-2の視野検査がスタンダードだったからです。昔はこの30-2というデータで取ることが多く後に24-2の視野検査でも問題ないという流れになりました。ずっと30-2でとっていたのに途中から24-2の検査に変えるとデータが当然変わってきますので特に長年通院されている方は30-2の検査を続ける事が多いです。ですが基本はこの最周辺部を除いた24-2の検査、最周辺部がある30-2の視野検査はどちらも6°間隔にプロットされており、どちらの検査をしていただいても緑内障の検査を受ける上で問題ありません。ここまでの話をまとめますと

①緑内障の視野検査は緑内障診療において今でも欠かすことのできない検査です。

②静的視野検査は中心30°の狭い範囲のみ測定されています。

③代表的な30-2の検査は中心0°が中心窩という部分で、6°間隔でプロットされています。

④大量のデータベースに沿って検査が短縮されています。

という4点です。静的視野検査は情報が多量に含まれており、緑内障診療において欠かすことのできない検査です。ただ最初にお話した通り、患者さんにはとても苦痛な検査で時々スキップしたいとお話される方もみえます。視野の見方は一度では話切れない部分がありまして、何度かに分けて視野検査に関してお話させていただこうと思います。


(2021.10.8)

 

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