アレルギー性結膜炎という目の病気に関してのお話です。アレルギー性結膜炎のもっとも代表的な症状は目やまぶたの痒みです。掻けば掻くほど目の症状が強くなり、痛みやゴロゴロするといった異物感がでてきます。結膜が充血して場合によっては白目がゼリー状にぶよぶよにはれることもあります。昔テレビのCMで虫に刺されたら掻いたらだめなんてものがありましたが、掻くとヒスタミンという痒みの成分が出てきてしまい余計痒くなってしまいます。痒みの悪循環を引き起こす原因になってしまうんですね。ただやはり痒く目をこすると、粘膜を刺激してますます充血や異物感など症状が悪化してしまいます。
特に花粉の時期に目の痒みでお困りの方多いと思います。結膜炎などで眼が痒くごろつきがあってコンタクトレンズもできないし、眼をこすってばかりいると余計赤くなるし困ったなということがあると思います。今回は意外と知られていない眼科医がおすすめするアレルギー性結膜炎の対策をお話させて頂きたいと思います。
アレルギー性結膜炎に関して日本の国民病ともいわれているスギ花粉症は最も多く、日本アレルギー学会の調査では国民の1/3以上が罹患していると推定されています。2016年に東京都の検査では、都内におけるスギ花粉症有病率が48.8%と推定されるなど、地域差はあるものの花粉症患者さんは年々増加しています。また、これまで花粉症は10~20歳代で発症することが多いとされていましたが、近年では低年齢化がすすみ、5歳未満での発症も多くなっています。
スギ花粉は早いと1月頃から、例年4~5月をピークに多くなります。眼が真っ赤になって、痒くなってから眼科の方にお越しいただき、抗ヒスタミン薬といってかゆみ止めの目薬であったり炎症を抑える目薬を処方させていただきます、最近だと点眼の種類が多くありいいものが出てきてますので非常に高い効果が期待されます。点眼等で症状が収まればそれでいいと思いますが、多くの方は痒くなったら目薬をさせばそれでよいと思われている方が多いという印象があります。
スギ花粉にかかわらず、アレルギーをお持ちの方はそもそものアレルギーの源を避けることが大切だと考えられております。結局のところ痒みなどのアレルギー症状は花粉などが眼にくっついて症状が発症するわけですから、アレルギーの元が目につかないようにするということがとても大切です。とはいっても特にスギ花粉は数十kmに及ぶ範囲に飛散するため、二ホンスギがない沖縄や北海道に移住する以外に完全に抗原を避けるのは困難です。そこでマスクなどのようなセルフケアが重要になります。まずは花粉情報を活用し、花粉大量飛散時の不要不急の外出を回避し、洗濯物の屋外干しを避けること。外出時は花粉が衣類に付着しないようにナイロン素材のようなツルツルした表面の素材のものを着用する。帰宅時には花粉を室内に持ち込まないように玄関の外でしっかり払ってから室内に入るといったことも大切です。眼鏡の使用も非常に効果的なのですが、通常の眼鏡では正面からの花粉はカットできますが、上の方からの花粉は避けることができず50%しか花粉の抑制ができないと言われています。花粉防御眼鏡を用いると90%以上の花粉を抑制できるのでそのような庇付の眼鏡を活用することも有効です。同じ理由で、花粉は上方から降り注いでくるためつばの広い帽子も効果的です。通常は涙液で花粉などは洗い流されるのですが、ドライアイの方などは涙液量が少なく洗い流せないためにアレルギー反応が引き起こされやすいとされています。そのため、防腐剤のない人工涙液を使用し花粉などを洗い流すことなどが有効といわれています。目薬も冷やして使った方が抗炎症作用が高まると言われてます。なので、処方される目薬は全て冷蔵庫で保管しておくことをオススメします。冷やした方が目薬に付着する可能性があるバイ菌の繁殖も抑えられます。よく常温保存の目薬を冷蔵庫にいれてしまっていいのですかと聞かれますが、薬事法では常温は1~30°なのですが、冷蔵庫は2~5°であり問題ありません。ただ冷凍はいけません。冷凍すると目薬の成分が変性してしまうので冷凍保存はしないようにしてください。目薬は全て冷蔵庫に入れといて頂いてまず間違いありませんので心配しないでください。
以上のことを気にしながら対策することは非常に効果があると思います。どんな病気もそうですけど、ひどくなる前に先手を打った方が楽になります。花粉症によるアレルギー結膜炎で大事なことは元となるアレルゲンが目に付着するのをできるだけ避けるようにすることです。目に付着したアレルギーがある状態で目薬を使っても効果は一時的です。先程人工涙液で目を洗うのもオススメだとお話しましたが、アレルギー点眼を何滴か目に落として目を洗うというのもちろん効果的です。オススメは人工涙液で目を洗ったのちに抗アレルギーの目薬を使うというのがいいかなと思います。毎年アレルギーにお困りの方は是非参考にしてください。
(2021.5.3)