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2. 近視予防について

今回から近視予防について何度か分けて記事にします。
最近になって分かってきたことをメインに、これからどのように取り組んでいけばいいのか記載しますので、参考にして頂ければ幸いです(^^♪

近視という言葉は割と慣れ親しんだ言葉だと思いますが、そもそも近視とはどういうことなのでしょうか?そして、何故近視が問題になるのでしょうか?まず簡単に近視に関する話をさせて頂きたいと思います。何も近視がコンタクトだとか眼鏡が必要でそれだけで済む問題ならばそれでいいのですがそうではないのですね。

近視といいますと一般的に眼が悪いということで別の言い方されることが多いと思います。

近視というのは専門的にいいますと無調節の状態で等価球面値が‐0.5以下の状態をいいますが、それだと何のことか分からないと思いますので、簡単にいいますと、裸眼で0.8を切るような状態で手元でなく遠くが見にくくなるような状態を言います。

ですので、近視になると遠くをみるためにコンタクトレンズや眼鏡が必要になります。

また、近視になるということは眼軸長といいまして眼が大きくなるのですね。見た目的に目が大きくなって、大きい瞳になるというそういった美容的な意味では決してありません。軸性近視といいまして、多くの近視はこれです。

眼の奥行が長くなり、本来球状の眼球がラグビーボールみたいに楕円形に変形するんです。

(目の断層像です。近視は正常に比べて奥行が長くなり、大きな目になっています。網膜などの組織が引き伸ばされることによって様々な合併症の原因となります。一般的に近視の度数が強い程眼球の大きさは大きくなります。)
この眼球の変化が大きな問題になることがあります。眼科的な病気として網膜剥離、黄斑症、緑内障などお聞きになられた病気もあるかもしれませんが、こういった病気の悪化原因となりやすいのが近視です。特に近視の度数が大きくなるほど、眼球の構造的変化のため悪くなりやすいと言われております。

近視はよくなりますか?という質問をよく受けますが、近視は一度なるとよくなりませんし当然元通りにもなりません。大きくなった身長を小さくできるかというのと同じです。

最近ではレーシックやICLと言いまして眼の中に特殊なレンズを目の中に入れるといった方法であたかも近視が治るような錯覚を受ける方もおられますが、裸眼視力はよくなっても先ほど申し上げた眼の構造的変化が治ったわけでは決してないのですね。ですから一度なってしまった近視は一生上手に付き合っていかないといけないわけです。

そこで重要なのが、近視の予防になるわけです。なんでもそうですが、結局のところ予防に勝る方法はありません。

近視の進行は6-12歳、すなわち小学生までがもっとも進み24歳ぐらいまでは進行すると言われております。ですので、近視抑制に対して正しい知識をもち、取り組むことが非常に重要です。平成生まれの方は平均余命が100歳になるといわれています。体の病気の多くは大人になってから予防できますが、眼に関しては小児期の頑張りが一生を決めます。100歳まで強度近視の目というのは中々大変だと思います。

近視の予防法には現在様々な方法があり、例えばオルソケラトロジーといったナイトレンズや低濃度アトロピンの点眼、もしくは最近だとバイオレットライトと言いまして太陽の光をあびながら屋外活動をすることなどです。

私も実は近眼で目が悪いのですが、私の時代にはこのような方法がありませんでしたし、知られていませんでした。

私が生まれた時代にこういったことがすでにあればこうはなっていなかったなと思うばかりで、実は自分のような近視の人を減らしたいと思ったのが眼科医になったきっかけでもあります。2019年の東京都の検査ではなんと小学生では7割弱の児童が近視、中学生卒業までに9割5分の子、ほぼ全員ですよね、近視になっており、日本だけでなく世界的にもこの傾向は続いております。テレビゲームやスマートホンの普及等もあり近視リスクはますます増大していると考えられています。学習面ではタブレットなどの電子機器が普及し、自宅での学習が進められるようになりなってきています。眼の事への負担がないのだったらこの学習環境の変化はとてもいいことだと思っています。自分のペースで勉強でき、何度でもわからないところを見れたりなど、色々な可能性があるなと思っております。勉強という点ではゲームなどでタブレットを使用することとは違いますが、近視への影響という点ではどちらも同じです。教科書からタブレットなどの電子機器の教材に代わっていくことは時代の流れで今後ますます進むと思いますし、それに反対することはもちろんしません。ただ、特に近視進行が止まる24歳ぐらいまでは眼への負担に対する正しい知識をもって取り組む必要があると思っています。


そういった点を当院で正しく治療に関して知識を共有し出来ることは当院も協力させていただきたいと思います。

(2021.1.18)