こんにちは。岐阜県の真鍋眼科、眼科専門医の真鍋です。
今回は、白内障手術後の「眼鏡」について詳しく解説します。
白内障手術は、濁った水晶体を人工のレンズに入れ替えて視力を回復させる手術です。
「これで遠くも近くも見えるようになる!」と期待される方も多いのですが…
実は、単焦点眼内レンズを選んだ方の多くは、手術後も眼鏡が必要になります。
その理由は、水晶体と人工レンズの“構造の違い”にあります。
・天然の水晶体:伸び縮みしてピントを調節する力がある
・人工の眼内レンズ(単焦点眼内レンズの場合):伸び縮みしない=ピントの合う距離が限られる
このため、ピントが合わない距離では眼鏡が必要になるのです。
手術後すぐに作るのはNG?
→ 実は「とりあえずの眼鏡」は術後1週間でもOKです!
・最近の白内障手術は低侵襲で、術後1週間でも度数は概ね安定
・きちんと度数が固定するのは2か月ほどかかるが、そこまで眼鏡なしは不便、とりあえずの眼鏡を作っておくとよい
✅ 無償レンズ交換サービスがある眼鏡店を利用
✅ とりあえずの眼鏡を先に作り、保証期間内に度数を調整
「100均の老眼鏡でもいいですか?」
→ 困らなければOK。ただし注意点あり!
・100均の老眼鏡は左右同じ度数、乱視の補正なし
・見えにくさを感じる場合は、無理せずきちんとした処方眼鏡が必要
手術後におすすめするのは、累進多焦点レンズ(遠近や中近など)です。
・1本で遠くから近くまで見える
・上を見ると遠く、下を見ると近くが見える仕組み
しかし…
・歪みやユレが出ることも
・また、高加入度(近く重視)にすると歪みが強くて慣れない場合も
✅ レンズグレードを選ぶ(高グレードほど歪み少ない)
✅ 中近眼鏡と使い分けるのが◎
中近両用眼鏡=中距離〜近距離に特化したレンズ
たとえば…
・手元:30〜40cm
・中間距離:50cm〜4m
特徴は
・視野が広い
・歪みが少ない
・室内作業向き
✅ 室内=中近、外出=遠近
のように「2本持ち」が快適です。
眼鏡を合わせても見えにくい、モノが二重に見える…そんなときは斜視や複視が原因かもしれません。
・両目で見るとダブる:両眼複視(斜視の可能性)
・片目だけでダブる:単眼複視(乱視など)
✅ プリズム眼鏡で見え方がスッキリすることがあります
✅ 不安な方は眼科での検査をおすすめします
手術後に「まぶしくなった」と感じる方もいます。
これは、水晶体の濁りが取れて光がよく入るようになるため。
おすすめ対策は…
・カラーレンズ
・調光レンズ(紫外線の量で色が変わる)
✅ 屋外・屋内で使い分け不要
✅ 紫外線から目を守る効果もあり
はい、あります。多焦点眼内レンズを入れた方でも1割の方は術後眼鏡(老眼鏡)をする方がいるとされています。
・老眼鏡があった方がラクなケースも多い
・加齢や乱視の進行により見え方は変化する
「絶対に眼鏡なしで生活したい」と無理をするより、必要に応じて近用眼鏡を使う方が快適です。
術後1週間程度で“とりあえず眼鏡”を作る(無償交換付きが◎)
遠近両用レンズはグレード選びが重要
歪みが気になるなら「中近+遠方用」の2本持ちが快適
まぶしさにはカラーレンズ・調光レンズで対策を
多焦点眼内レンズの方も近用眼鏡が役立つことがある
白内障手術は人生の大きな節目の一つですが、その後の眼鏡選びが生活の快適さを大きく左右します。
ぜひ、ご自身に合った眼鏡で“快適な見え方”を手に入れてください。