この見え方どうなる?脳梗塞が近い人に現れる「目の症状」

2025.08.03 目の病気ブログ・症例実績

見逃し厳禁!脳梗塞が近い人に現れる「目の症状」とは?

こんにちは。岐阜県の真鍋眼科です。

「脳梗塞」と聞くと、手足の麻痺や言葉の障害といった深刻な症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実は、目の症状が最初のサインとして現れることもあります。

今回は、**脳梗塞の前兆として見逃してはいけない「目の症状」**を5つ、ご紹介いたします。早期発見・早期受診につなげるために、ぜひ最後までお読みください。


脳梗塞と目の関係

私たちが「見ている」と感じるのは、目から入った情報が視神経を通じて脳に伝わり、脳で処理されてはじめて成立します。

また、目の動きやまばたき、ピント合わせなども、すべて脳の神経によってコントロールされています。そのため、脳の異常は、目に異変として現れることがあるのです。


脳梗塞が近い人に起きる「目の症状」5選

1. 一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)

特徴

片目だけ急に真っ暗になって見えなくなる

・数分〜数十分で自然に回復することが多い

(※左目が急に見えなくなった場合)

原因

頸動脈などから飛んだ小さな血栓が、網膜中心動脈に一時的に詰まることで起こります。一度見えるようになっても、血栓が脳に流れ込めば本格的な脳梗塞を引き起こす可能性があるため要注意です。

 

ポイント

・片目だけ

・シャッターが閉じたように一瞬で見えなくなる

・回復しても、放置せずに眼科や脳神経外科を受診

(※戻ったとしても要注意!)


2. 複視(ものが二重に見える)

特徴

・両目を開けると二重に見える(両眼性複視)

・テレビの字幕や人の顔が二重にぶれる

原因

目を動かす3つの脳神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)の異常によって、目の動きにズレが生じることで起こります。特に、これらは脳幹から出ているため、脳幹の梗塞のサインである可能性があります。

併発しやすい症状

・手足のしびれ

・言葉のもつれ、ろれつが回らない

※これらが同時に出た場合は、救急車を呼ぶべき状態です。


3. 眼瞼下垂(がんけんかすい)

特徴

・片側のまぶただけが突然下がる

・視界が狭くなる、眠そうな印象になる

原因

まぶたを持ち上げる「動眼神経」の麻痺により起こります。脳梗塞や脳動脈瘤の圧迫が原因のこともあり、特に「強い頭痛」「目の奥の痛み」「複視」などを伴う場合は、くも膜下出血の前兆である可能性もあります。


4. 同名半盲(どうめいはんもう)

特徴

・視界の右半分または左半分が見えない

・食べ残し、ぶつかりやすい、話しかけられても気づかないなど

原因

目から入った情報は、後頭部にある「視覚中枢」で処理されます。この部分に脳梗塞が起こると、視野の半分が欠けるという症状が出現します。

ポイント

・両目で見ていても片側だけ見えない

・気づきにくいため、周囲の人が発見するケースも多い


5. ピントが合わない・視界がかすむ

特徴

・遠くも近くもピントが合わない

・文字がにじむ

・目の疲れか老眼かと思いがち

原因

動眼神経の麻痺によってピント調節がうまくできなくなっている可能性があります。脳梗塞の初期症状として現れることがあります。

注意点

・白内障や緑内障など眼科疾患でも起こり得るが

・他の神経症状(しびれ、ろれつなど)が伴えば要注意


併せて覚えておきたい「F.A.S.T.」とは?

脳卒中の代表的なサインを示す**F.A.S.T.**という言葉をご存じでしょうか?

特に発症から4.5時間以内に治療できるかどうかがカギとなるため、「ちょっと様子をみよう」は非常に危険です。

自分で運転しないでください!

「病院に行こう」と思っても、自分で車を運転して行くのは非常に危険です。途中で意識を失ったり、運転に支障をきたしたりすることがあります。

迷わず救急車を呼ぶこと。これが命を守る行動です。


脳梗塞予防のために:健康診断と脳ドック

脳梗塞やくも膜下出血を未然に防ぐには、定期的な健康チェックが重要です。

特に以下の方は、「脳ドック(MRI検査)」の受診をおすすめします

・高血圧・糖尿病・脂質異常症がある方

・ご家族に脳卒中を経験された方

・喫煙歴や肥満のある方


まとめ:目の異変は「脳のSOS」かもしれません

今回紹介した目のサイン

・一過性黒内障(片目が一時的に見えなくなる)

・複視(二重に見える)

・眼瞼下垂(片目のまぶたが下がる)

・同名半盲(視野の半分が欠ける)

・ピントが合わない・かすみ

こうした症状は、「一時的だから大丈夫」と自己判断せず、できるだけ早く専門の医療機関を受診することが大切です。

目の異常が命の異常を知らせる“最初のサイン”となることがあります。ぜひ今回の内容を覚えて、ご自身やご家族の健康管理にお役立てください。