こんにちは。岐阜市にある真鍋眼科の院長、真鍋です。
今回は、白内障手術で使用される「単焦点眼内レンズ」に関して、術前にぜひ知っておいてほしいポイントをまとめました。
特に「どこにピントを合わせるか?」という選択は、手術後の満足度に大きく関わります。
白内障手術を受ける方の 95%以上が選択しているのが「単焦点眼内レンズ」 です。
このレンズは一般的に「1つの距離にしかピントが合わない」と説明されることが多いかもしれません。
しかし実際には、単焦点眼内レンズにも “焦点深度(明視域)” があり、ピントが合う距離にはある程度の幅があります。
つまり、完全に1点しか見えないわけではなく、ピントを合わせた距離を中心に、前後数十センチ程度は自然に見える仕組みです。
例えば、
・視力1.0を維持できる範囲は、ピント中心からおおよそ ±0.5D
・有効視力(視力0.6)とした場合、±1.0D 程度の焦点深度があるとされています
この焦点深度によって、読書や運転、日常生活での「ちょっとした見え方のズレ」には意外と対応できることが多く、
「単焦点=1点しか見えない」というイメージはやや誤解を含んでいるとも言えるでしょう。
ピントの位置は「D(ディオプター)」という数値で表されます。
距離との関係は以下の通りです:
Dの値ピントが合う距離0D:5m以上(遠方)、-1D:1m、-2D:50cm、-3D:約33cm
その代わり、読書やスマホなどの近距離には眼鏡が必要になります。
ピント位置を変えることで、見える距離が変化します。下記の表は実際の見え方の目安です
医師によっては、選択肢を十分に提示しないまま、0D(遠方)か−3D(30cm付近)といった極端な設定を前提に話を進めることがあります。
そのため、「近くを重視したい」とだけ伝えてしまうと、自動的に−3Dで計画されてしまうケースもあります。
しかし−3Dでは、30cm付近にしかピントが合わず、少しでも距離が離れると見えづらくなります。
パソコンや料理といった中間距離の作業にも眼鏡が必要になる可能性が高く、かえって不便に感じることもあります。
実際には、ピントの合わせ方にはさまざまな選択肢があり、手元重視であっても−2.0D程度であれば、読書やスマホなどの手元作業に十分対応でき、日常生活の見え方としてもバランスがとれやすい設計です。
①「遠くor近く」ではなく、生活スタイルを伝える
・例:「パソコンと読書が多いのでその距離に合わせたい」
・「スマホも読むが、テレビも裸眼で見たい」
② 両眼を同時手術せず、片目ずつ行うのがおすすめ
・片目で実際の見え方を確認してから、反対眼で調整可能。
③ マイクロモノビジョン(左右差0.5D~0.75D以内)も選択肢
・例えば、右目を−1.5D、左目を−2.0Dにして視野を広くとる。
④ 強度近視の方は片目手術だけだと後悔するかも
・残った強度近視が老後の生活の質に影響する場合もあります。
⑤ 単焦点でも約1Dの焦点深度がある(有効視力を0.6とした場合)
・ピントのズレに対してもある程度の視力は保たれます。
・単焦点眼内レンズには約1Dの焦点深度がある
・ピント位置によって見える距離が変わる
・自分のライフスタイルをもとに最適な位置を選ぶことが重要
・両眼同時手術よりも片目ずつが調整しやすい
・強度近視の方は長期的な視力計画を考える必要あり
単焦点眼内レンズは、正しく選べば非常に満足度の高いレンズです。
自分の生活に合ったピント合わせをするためにも、今回ご紹介したような知識をぜひ参考にしてください。
当院では、焦点深度のシミュレーションやライフスタイルに合わせた度数選定にも力を入れています。
気になる方はぜひご相談ください。