緑内障と診断されたら -まず知っておくべき5つのこと-

2025.07.23 緑内障ブログ・症例実績

緑内障と診断されたらまず確認しておきたいこと

こんにちは。今回は、「緑内障」と診断されたばかりの方に向けて、まず知っておいてほしい大切なポイントをお話しします。

緑内障はどんな病気?

緑内障は、日本で失明原因の第1位となっている病気です。すでに80万人以上が診断されており、潜在的な患者数は400万人以上とも言われています。

しかし、「緑内障です」と医師に言われると、多くの方が不安でいっぱいになってしまいます。

「この先、失明するのでは?」

「仕事は続けられる?」

「手術しないといけないの?」

そうした不安を少しでも軽くできるように、この記事では緑内障と診断されたらまず知っておきたい5つのポイントを、できるだけわかりやすくご紹介します。


ポイント① 本当に緑内障なのか確認しましょう

「診断されたのだから間違いない」と思っていませんか?

実は、緑内障に似た症状を持つ別の状態も存在し、慎重な判断が必要なケースもあります。よくある例として、

・眼圧が高いだけで点眼治療が始まった

・OCT検査で「赤く表示されたから」と言われた

・視野が欠けている=緑内障と即断された

といったものがあります。

眼圧測定の落とし穴

通常の「空気を当てる眼圧検査」では、緊張などで本来より高く出ることがあります。

より正確なのは、**アプラネーショントノメーター(直接測定)**による眼圧検査です。

→ 空気で25mmHgでも、アプラネーションで15mmHgだった、という例も。

OCTの「赤」は必ずしも緑内障とは限らない

OCTとは網膜の厚みを測る検査で、色によって異常の可能性を示しますが、強度近視の方は元々網膜が薄いため赤く表示されやすい傾向があります。

視神経や視野の検査とあわせて、総合的な判断が重要です。


ポイント② すぐに治療を始めないでください

これは「治療しない方がいい」という意味ではなく、治療前の“本来の眼圧”を知ることがとても大切だということです。

緑内障の治療は一度始めると基本的に一生続きます。そのため、治療開始前に

  • 眼圧の時間帯による変動(朝と夕方など)

  • 季節や緊張による変動(白衣高眼圧)

など、「無治療時の眼圧の推移」を確認しておくことで、将来の治療の指針が立てやすくなります。


ポイント③ 自分の緑内障のタイプを知っておこう

一口に「緑内障」といっても、その種類はさまざまです。

多くの日本人に多いのは…

・正常眼圧緑内障(開放隅角):眼圧は正常でも視神経が障害される。点眼治療が中心。

特に注意が必要なタイプは…

・閉塞隅角緑内障:隅角が狭く、急に眼圧が上がるタイプ。レーザーや手術など緊急の対応が必要なことも。

よくある誤解:

「緑内障だからこの薬は飲めない」と思っていませんか?
→ それは閉塞隅角型の話です。開放型の多くの方は問題なく薬を使えます


ポイント④ 家族にも緑内障がいないか聞いてみて

緑内障は遺伝的な傾向がある病気です。

・ご両親

・兄弟姉妹

に緑内障の方がいる場合、自分自身も発症リスクが高くなります。

→ 家族にぜひ「一度、眼科で検診を受けてみて」と伝えてみてください。

また、受診時には医師に「家族歴があります」と伝えると、より注意深く診てもらえます。


ポイント⑤ 緑内障の進行スピードは人それぞれ

緑内障は視神経が徐々に傷んでいく「超・慢性疾患」です。
しかし、その進行スピードは人によって異なります。

進行の確認には「MD値」がカギ!

・MD値(Mean Deviation):視野のダメージを数値化したもの。0に近いほど正常で、マイナスが大きくなるほど視野の異常が進行しています。

複数回の視野検査から「MDスロープ(年間変化量)」をチェックすることで、

・年に−1dB以上なら進行が早い → 治療強化

・−0.5dB以下であれば進行は比較的緩やか → 経過観察で十分

など、自分のペースに合った治療方針を立てることができます。


最後に:緑内障と上手に付き合うために

ここまでお伝えしてきた5つのポイントを振り返ると…

緑内障と診断されたら

  1. 本当に緑内障か再確認を(セカンドオピニオンも可)

  2. 治療前に無治療眼圧を確認

  3. 自分の緑内障タイプを把握

  4. 家族の緑内障歴をチェック

  5. MD値で進行スピードを追う

緑内障は一生つきあっていく病気ですが、正しく知って、納得して治療を続けていけば、日常生活を大きく損なうことなく過ごしていくことも十分可能です。

大切なのは、あなたの目の状態を「知ること」から始めること。

「治療やめなきゃよかった」とならないように、正しい知識と信頼できる主治医とともに、一歩ずつ前に進んでいきましょう。