今回は、白内障手術を考えている方からよくいただく質問
「30cmくらいの距離にピントを合わせたいなら、多焦点と単焦点どっちがいいの?」
について、分かりやすくお伝えします。
30cmというと、だいたいスマホを見る距離や読書する距離です。
かなり近くの作業になりますね。
この「30cm」を裸眼でしっかり見たいかどうかは、レンズ選びの大きなポイントになります。
最近は「多焦点眼内レンズ」が人気です。
遠くも中間も近くも、ある程度ピントが合うので、
「メガネなしの生活を目指したい!」という方には魅力的な選択肢です。
ただし――
実は多焦点レンズは、30cmのような“かなり近い距離”は苦手なんです。
多焦点レンズでピントが合う近くの距離は、一般的に40cm前後。
たとえば:
・PanOptix(パンオプティクス) → 40cm
・FineVision(ファインビジョン) → 40cm
・VivityやPure see → 50cmくらい(さらに遠い)
つまり、30cmになると――
✔ 見える人もいるけど、
✔ 基本は「ちょっとボヤける」「読書には老眼鏡が必要になる」
というケースが多くなります。
「多焦点だから近くも見えるはず!」と過信しすぎると、
「こんなはずじゃなかった…」という後悔につながることも。
一方で、どうしても「30cmを裸眼でしっかり見たい!」という方には、
単焦点レンズの方が向いています。
単焦点レンズは、「遠く」「中間」「近く」のどちらかにピントを合わせるレンズです。
度数で言うと−2.5D〜−3.0Dの度数で合わせると、
ピッタリ30〜35cmにピントを合わせることができます。
✅ メリット
・30cmのスマホや読書が裸眼でクリアに見える
・コントラストが良く、自然な見え方
✅ デメリット
・遠くは必ずメガネが必要
・メガネなしでの運転や外出は難しい
✅ 30cmをどうしても裸眼で見たい!
→ 単焦点レンズ(近方ピント合わせ)
✅ 30cmは多少ボヤけてもいい、できるだけメガネを使いたくない!
→ 多焦点レンズ
ただし、多焦点レンズでも「30cmが見える」という方も確かにいらっしゃいます。
でも、基本的には「見にくい距離」だと考えておくのが安全です。
「見えたらラッキー」「確実に見たいなら別の方法も考える」という心構えが大切です。
白内障手術は、レンズ選びがとても重要です。
何を優先するか、どんな生活を送りたいかによって、ベストな選択は人それぞれです。
「こんなはずじゃなかった」とならないように、
しっかりシミュレーションして、自分に合ったレンズを選んでくださいね。
当院でも、丁寧にご相談にのっていますので、気軽にお声かけください。