~種類・設定方法・おすすめの条件をわかりやすく解説~
こんにちは、岐阜県の真鍋眼科です。
白内障手術で単焦点眼内レンズを選ぶとき、左右のピント位置をあえて変える方法をモノビジョンといいます。
例えば右目(優位眼)を遠くに、左目(非優位眼)を近くに合わせることで、遠方も近方も裸眼である程度見えるようになります。
設定次第では、日常生活で眼鏡を使う時間を大きく減らせます。
特に、もともとコンタクトやレーシックでモノビジョンの見え方に慣れている方にはおすすめの方法です。
・優位眼(利き目)は遠方担当
・非優位眼は近方担当
・両眼で見たときに遠近をカバー
・概ね1.5D程度までの左右差であれば、多くの方は大きな違和感なく生活できるとされる(※個人差あり)
・左右差が大きいほど近方は見えるが、立体感や奥行き感はやや低下する
自分の眼がどちらが**効き眼(優位眼)**かご存じでしょうか?
分からない場合は、次の方法で簡単に確認できます。
両手で小さな輪(穴)をつくり、その穴から1つの物を見ます。
片眼ずつ交互に閉じてみて、両眼で見たときと比較します。
すると、片方の眼では両眼で見たときと同じ位置に物が見え、もう片方の眼では少し位置がずれて見えるはずです。
・ズレない方 → 優位眼(効き眼)
・ズレる方 → 非優位眼(非効き眼)
ただし、白内障がかなり進行している場合は、この方法でも優位眼を判断しにくくなります。
また、左右の見え方がほぼ同じ場合は、利き目がはっきりせず、状況や条件によって優位眼が変わることもあります。
・遠方の見え方をほぼ損なわず、中間距離(50〜70cm)が見やすくなる
・違和感が少なく、初めての人にも取り入れやすい
・遠方視力はわずかに低下するが、パソコン距離や食事の距離が裸眼で快適
・日常生活の眼鏡使用時間が大きく減る
・非優位眼をしっかり近方に合わせるため、40cm付近が裸眼で見える
・左右差が大きくなるため、慣れない人は奥行き感が低下する可能性がある
左右差を0D〜−0.5D(遠方担当)と−1.5D〜−2.0D(近方担当)程度に設定すると、
左右差は約1.0D〜1.5Dとなり、多くの方にとって慣れやすく、かつ遠近両方を裸眼でカバーできます。
この設定だと、
・遠方(運転・テレビ)
・中間距離(パソコン・家事)
・近方(スマホ・読書)
まで裸眼で見える範囲が広がります。
ただし、細かい文字や長時間の読書では老眼鏡が必要になる場合があります。特にもともとモノビジョン経験がある方は、この設定がスムーズに馴染みやすくおすすめです。
FEST(フェロー・アイ・セルフ・チューニング)は、白内障手術で片眼の手術が終わったあと、その見え方を基準にしながら、もう片方の目の度数を実際にいろいろ試してみて、自分にとって一番見やすいピントの位置を“体感しながら選んでいく”方法です。
例)
・最初に片眼(通常は優位眼)を遠方ピント(±0D)に設定
・非優位眼で、−0.25D/−0.5D/−0.75Dといった度数差を実際に体験用レンズで試す
・自分の感覚で“ちょうど良い見え方”を体験・選択できる
FESTは、服の試着と同じようなものです。
「試着せずに買ったけどサイズが合わなかった…」という経験はありませんか?
視力も同じで、数字だけではわからない「見え方の快適さ」があります。
FESTを使えば、術後の見え方をあらかじめ体験して選べるので、後悔を減らすことができます。
実際にFESTを受けてみると、次のような声がよく聞かれます
・「0.5D程度ずらそうと考えていたけど、これぐらいではスマホの文字がまだ見にくい」
・「結局、細かい文字を裸眼で読むのは厳しいかも…」
このようなケースは決して珍しくありません。
だからこそ、片眼の手術後に、もう片眼を近くにずらしても本当に見えるのかどうかを“自分の目で確かめてから決める”ことが非常に重要です。
メリット
・日常生活の多くで眼鏡を使わずに過ごせる可能性が高い
・遠近両方を裸眼でカバーできる
・多焦点特有の光のにじみが少ない
注意点
・左右差が大きいと立体感が弱まり距離感がつかみにくくなる
・初めての方は慣れるまで時間がかかる
・暗所や夜間の見え方に差を感じる場合がある
・細かい文字や長時間の近方作業では眼鏡が必要になることがある
モノビジョンは、単焦点眼内レンズのシンプルさを保ちながら、遠近両方の快適さを両立できる方法です。
**0D〜−0.5Dと−1.5D〜−2.0Dの組み合わせ(左右差1.0〜1.5D)**は、慣れやすさと眼鏡不要のバランスが良く、多くの方に向いています。
ただし、1.5Dに近い差では慣れにくい場合もあるため、FESTでの事前体験が理想的です。
白内障手術でモノビジョンを検討される方は、岐阜県の真鍋眼科までお気軽にご相談ください。