~自然な見え方を広げたい方へ~
こんにちは、岐阜県の真鍋眼科です。
白内障手術で使用する眼内レンズには「単焦点」と「多焦点」があります。
その中間的な位置づけとして注目されているのが、単焦点+(プラス)と呼ばれる眼内レンズです。
今回は、代表的な3種類の単焦点+レンズである
・テクニス アイハンス(Johnson & Johnson)
・NSP3(ニデック)
・インプレス(HOYA)
について、特徴と違い、さらに「遠方合わせ」「手元合わせ」の場合に通常の単焦点とどう異なるのかを詳しく解説します。
単焦点レンズはピントが合う範囲が限られており、遠くに合わせれば近くが見えにくくなります。
単焦点+はレンズの度数を中心から周辺へ緩やかに変化させる設計により、焦点深度(ピントが合う範囲)を少し広げています。
・遠方だけでなく中間距離(パソコンや会話距離)まで見やすくなる
・光分割をしないため夜間視機能は良好で、多焦点よりもハロー・グレアが少ない
・すべて保険適応で使用可能
・特徴:中心部にわずかな度数変化を加え、中間距離の視認性を改善。テクニスシリーズ特有の低ハロー・低グレア性能や、紫外線・青色光カット機能も備えており、見え方の質と快適性を両立させている。
・メリット:高コントラスト、夜間運転に強い
・トーリック(乱視矯正)モデル:あり
・特徴:レンズ全体に緩やかな度数変化を持たせ、自然な見え方を実現
・メリット:国産メーカーによる高精度・安定供給
・トーリックモデル:あり
・特徴:非球面構造で中間距離視力を強化した単焦点+レンズ。HOYA社の単焦点レンズ「XY1」シリーズの持つ高精度な非球面設計や収差補正性能を引き継ぎつつ、中心部から周辺部にかけて屈折力を緩やかに変化させる独自の前面光学デザインを採用している。
・メリット:国内大手メーカー製で信頼性が高い
・トーリックモデル:現状なし(乱視が強い場合は他レンズの選択が必要)
通常の単焦点(0Dで遠方合わせ)
・無限遠に合わせると、約1m程度までがピント範囲
・1m以内の距離(パソコンや手元)は眼鏡が必要
・コントラストは高く、細かい模様や色の濃淡がはっきり見える
単焦点+(0Dで遠方合わせ)
・無限遠に合わせても、約60cm程度まで比較的クリアに見える
・運転からパソコン距離まで裸眼でカバーできるケースが多い
・ただしコントラストは単焦点に比べるとわずかに劣る
通常の単焦点で手元合わせ
・例えば−2.50Dに設定すると、40cm付近は裸眼で見えるが、60cmを超えると急激にボケ始める
・遠方はほぼ見えないため、室内移動やテレビ視聴にも眼鏡が必要
・ただしコントラストは高く、文字や細かい作業ははっきり見える
単焦点+で手元合わせ
・−2.00D程度に設定すると、50cm付近が最もクリアに見え、40cmもピントが合う
・約40〜60cmまで比較的クリアな裸眼ゾーンが広がる
・遠方は通常単焦点と同様に眼鏡が必要だが、室内の中距離作業(キッチン・デスク上の作業など)は裸眼で可能なことが多い
・ただし通常単焦点に比べ、わずかにコントラスト感度が低下する
すなわち単焦点+の手元合わせは、手元だけでなく「手元に加えて中間距離までの裸眼で見える範囲」が広がることが大きな特徴です。
単焦点+は、通常の単焦点に比べて遠方合わせでも中間距離が見やすく、手元合わせでは裸眼で見える距離が広がります。
ただし欠点として、単焦点よりもわずかにコントラスト感度が劣るため、微妙な色や模様の識別は若干不利になる場合があります。
多焦点の光のにじみが気になる方や、自然な見え方を求める方にとっては有力な選択肢ですが、特性を理解したうえで選ぶことが大切です。