~知って得する医療費のポイント3選~
白内障手術は人生に一度きりの大切な治療。見え方はもちろんですが、費用についても納得したうえで受けたいですよね。
今回は、「白内障手術を少しでもお得に受けるには?」というテーマで、制度や医療費控除、民間の医療保険など、知って得する医療費のポイントを3つに絞って解説します。
白内障手術の費用は、「どんな眼内レンズを選ぶか」「保険が効くかどうか」で大きく異なります。主に以下の3つの方法があります。
① 保険診療のみ(単焦点眼内レンズ)
最も多くの方が選ぶのが、健康保険を使って単焦点眼内レンズを入れる方法です。
・3割負担の方:片眼 約5万円
・1〜2割負担の方:片眼 約1〜2万円
※70歳以上の方には上限額の制度あり(後述)
② 選定療養(保険+一部自己負担)
多焦点眼内レンズ(例:ビビティ、パンオプティクス、オデッセイなど)を使う場合、レンズ代は自己負担です。
・レンズ代:約30万円前後
・3割負担:総額 約35万円
・1〜2割負担:総額 約30万円前後
③ 自由診療(全額自己負担)
保険が効かないレンズ(例:ミニウェル、インテンシティ、ギャラクシーなど)を使用した場合。
・手術費用含めて片眼 50万~60万円前後
・医療機関によっては100万円を超えることも
このように手術費用は選ぶ治療内容によって大きく変わりますが、次の3つのポイントを押さえれば、自己負担を大きく抑えることも可能です。
白内障手術は健康保険の対象なので、「高額療養費制度」が使えます。
▽ 高額療養費制度とは?
1か月あたりの医療費が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。
【2025年4月現在の例】
・75歳以上・1割負担:月8,000円または18,000円
・70歳以上・2割負担:同上
・70歳以上・3割負担(現役並み所得):月57,600円~252,600円
・70歳未満:同上+加算あり
▽ 同じ月に両眼手術を受けるとお得
たとえば、1割負担の方で月の上限が8,000円なら、両眼手術を同じ月に受けても合計8,000円で済むケースも。
これを月をまたいで手術してしまうと、片目ごとに8,000円ずつかかってしまうため、「同月に両眼手術」が費用面では圧倒的にお得です。
▽ 70歳を迎えるとどう変わる?
69歳までは原則3割負担。70歳になった翌月からは原則2割負担となるため、急を要さない場合は「70歳以降に手術する」ことが節約につながることもあります。
▽ 限度額認定証は不要になる?
マイナンバーカードを保険証として登録していれば、多くの場合「限度額適用認定証」は不要です。ただし、対応していない医療機関や未登録の場合は、あらかじめ認定証の申請が必要になります。
白内障手術を含めた医療費が年間10万円(所得によってはそれ以下)を超えた場合、確定申告で所得税が戻る制度があります。
▽ 対象になる費用とは?
・手術費用(保険診療/自由診療ともに可)
・保護用眼鏡やサングラス
・公共交通機関での通院費(タクシーは原則対象外)
▽ 自由診療も控除の対象になる?
自由診療であっても「医療上必要な治療」であれば医療費控除の対象になります。
つまり、ミニウェルやインテンシティなどの高額なレンズを選んだ場合でも、数万円~数十万円の税金が戻る可能性があります。
▽ 申請に必要なものは?
・マイナポータル連携済みの場合:保険診療分は自動取得されます。
・自由診療:領収書が必要。スマホで撮影して保管でもOK。
民間の医療保険に加入している方は、白内障手術で保険金が支払われることがあります。
▽ 「入院が必要」と書いてある保険でも?
多くの白内障手術は日帰りですが、数時間でもベッドで点滴等を受ければ「日帰り入院」として給付対象になる場合があります。
ただし、すべての保険が対応しているとは限らないため、必ず保険証券を確認し、契約している保険会社に問い合わせることが大切です。
白内障手術は、制度や医療費の知識があるかどうかで、数万円~数十万円の差が出ることがあります。
ポイントを整理すると…
・高額療養費制度を活用する
両眼を「同月に」手術すると費用を大幅に抑えられる
・医療費控除で税金を取り戻す
・自由診療も控除対象になることを知っておく
・民間の医療保険を確認しておく
入院の定義や給付条件を事前にチェック
白内障手術は医療としての質が最も大切ですが、「お金の知識」もまた後悔のない選択のためには欠かせません。
私自身も開業してからこうした制度を自分で調べて驚いた経験があります。ぜひ今回の内容を、より良い治療選択に役立てていただければ幸いです。