41. ドライアイの人にレーシックは良いのか

2021.08.01
ドライアイの人の屈折矯正手術に関してお話します。
現在屈折矯正手術は大きく分けて2つあり、レーシックというものとフェイキックIOLといいまして目の中に眼内レンズをインプラントする方法です。このような屈折矯正手術の合併症の1つとしてドライアイがあります。ドライアイとはそのままですが、涙の分泌量が少ないもしくは涙の質が悪くちゃんと目の表面が潤すことができない、そのため目のごろつきや痛み、視力低下、目の疲れなど様々な目の不快な合併症を引き起こします。
実に日本人の20%近くはこのドライアイがあると言われています。この症状がある方は屈折矯正手術を受ける際には注意しなければなりません。レーシックというのは目の表面の角膜というところをフェムトセカンドレーザーというもので円形に切開しフラップというものを作り、その後エキシマレーザーで角膜実質を矯正する程度に合わせて削り最後にフラップを戻して終了するというものです。この角膜を削る行為がドライアイを更に誘発します。角膜上皮に切開をすることで目の表面から作られるムチンという涙に必要な物質が減少しますし、角膜実質を削ることで三叉神経を切断します。三叉神経は涙を出すように促す神経なので、この部分が切断されると涙の量が減るんですね。レーシックで角膜を削る量はみなさん同じ厚さではなく、近視の度数が強いほど角膜を大きく切除するので、ドライアイになる可能性は高くなります。そのためもとからドライアイの人が注意するのはもちろんなのですが、ドライアイがないにも関わらずドライアイになってしまったということもあるので注意が必要です。ドライアイになると視力が落ちますし場合によっては目を潤わす目薬をずっとしないいけなくなったり涙点プラグをしないといけない場合があります。ただ今だとレーシックの中でもスマイルという方法があります。これは従来のレーシックの方法と異なり、角膜の切開部分が一部なのでドライアイの影響がだいぶ少なくなったようです。現状この手術の欠点はあまりなく、ドライアイの方にも従来の方法よりはいい方法かと思います。
そして色々な芸能人がされているフェイキックIOLという有水晶体眼内レンズは角膜を触らないので基本はドライアイになることはありません。近視が強い方にはこの方法がいいのではないかと思います。レーシックの場合だと近視が強いと深く角膜を切開する必要があるので問題になることがありますし、切開する厚みの限界がありますのであまりに強い近視だとそもそもレーシックが不適応になる事もあります。一方フェイキックIOLはその心配がありません。最悪合わなければレンズと取り出すことができる、すなわちやり直しがきくということも特徴です。レーシック術後のドライアイがどの程度起こるかは予測する方法がありません。文献的な報告によるとレーシック術後半年後にドライアイの違和感がある方は20ー40%ほどいるといわれています。コンタクトレンズをしていてドライアイを自覚している人はレーシック後視力が向上するかもしれませんが、術後ドライアイになり煩わさが増えるかもしれませんので注意が必要です。
今回のお話をまとめますと、ドライアイはレーシック術後に起こりやすく、近視が強いほど角膜の厚みを多く切除するので自覚しやすいということ。レーシック術後のドライアイで予想していた視力よりも悪くなってしまうことがあること。ドライアイがない人でも術後ドライアイになる可能性があり、その程度は予想できないこと。ドライアイがある方は術後ドライアイがひどくなることを自覚していなければならないこと。ただレーシックの中でもスマイルという方法や有水晶体眼内レンズは基本はドライアイの心配がいらないということでした。私も近視で目が悪いのですが、未だにこのような治療に踏み込めないのはやはり色々な合併症を知っているからです。目の矯正方法で一番いいのは眼鏡であることは間違いないと思いますが、やはり裸眼での生活は憧れは未だにあります。同じように考えられている方も多分多いのではと思い今回は屈折矯正手術におけるドライアイの方に向けたお話をしました。この動画では眼科専門医が話す目のお話をしております。よければチャンネル登録と高評価のほどお願いいたします。