こういう方は「単焦点眼内レンズ」を選んで!

2026.01.26 白内障ブログ・症例実績

こういう方は「単焦点眼内レンズ」を選んで!

真鍋眼科の真鍋です。
今回は、白内障手術を検討されている方に向けて
「こういう方は、できるだけ単焦点眼内レンズを選びましょう」
というお話をします。

白内障手術では、どの眼内レンズを選ぶかによって、術後の見え方が大きく変わります。
最近は多焦点眼内レンズのバリュエーションが多く、自費のものを含めて性能の高いものがたくさん存在しています。「どれを選べばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

いろいろ比較してご自身に合ったレンズを選んで頂きたいと思いますが、ただその前に、必ず知っておいてほしいことがあります。

それは、
👉 必ず単焦点眼内レンズも候補にいれることです。

なぜなら、単焦点眼内レンズにしかない明確なメリットがあり、中には最初から単焦点を第一候補にすべき方が確実に存在するからです。今回は、レンズ選びで後悔しないために、「どんな方が単焦点眼内レンズを選んだほうがよいのか」
そのポイントを、眼科医の立場からわかりやすく解説していきます。


単焦点眼内レンズの特徴

単焦点眼内レンズは、「ピントが合う距離が限られる」「合わない距離では術後に眼鏡が必要になることがある」といったマイナス面だけが強調されて伝えられることがあります。

しかし一方で、単焦点眼内レンズにはコントラスト(見え方のキレ)が最も良いという、非常に大きなメリットがあります。実際、どの眼内レンズと比べても、コントラスト性能は単焦点レンズが最も優れています。私自身、レンズ選びで最も大切にしているのがコントラストです。そのため、以前のブログでも「自分に入れるなら単焦点かピュアシーを選ぶ」とお話ししました。

ピントの合わせ方も、「遠くか30cmか」の二択ではありません。生活スタイルに合わせてピントを設計し、乱視をしっかり矯正できれば、単焦点でも自由度が高く、非常に快適な見え方になることを知っていて下さい。


まず単焦点を最優先に選ぶべき方は次の方です。

① 黄斑に病気がある方

加齢黄斑変性症や糖尿病網膜症など、黄斑に病気がある方は注意が必要です。
黄斑は、文字を読んだり人の顔を見分けたりするための、視力とコントラストの要となる部分です。

多焦点眼内レンズは、目に入ってきた光を遠く用・近く用に分けて使うため、どうしてもコントラストが低下します。
黄斑の機能が低下している場合、この影響が強く出やすくなります。

過去に
・黄斑浮腫を起こしたことがある
・眼内注射を受けたことがある
・現在物が歪んで見える症状がある

といった経験がある方は、
まずは単焦点眼内レンズを第一選択にすべきでしょう。

一方で、明らかな症状はなく、黄斑の変化がごく軽度の場合には、多焦点レンズの中でも、ピュアシーのような非回折型EDOFレンズまでにとどめるという考え方もあります。

ただし、現在は軽度であっても、将来的にどのように変化するかは分からないため、単焦点レンズを基本に、慎重に検討することが大切です。


② 不正乱視がある方

乱視矯正は眼内レンズの度数選択と同様に大切ではありますが、眼内レンズで矯正できない乱視があります。それが不正乱視です。円錐角膜など、角膜の形がいびつな場合、もともと見え方の質が低下しています。そこに多焦点レンズによるコントラスト低下が加わると、にじみやぼやけを強く感じやすくなります。

このような方では、多焦点やEDOFレンズは避け、単焦点レンズを選びましょう


白内障が軽く、老眼だけが気になる方

「まだ視力はそこそこ出ているけれど、手元だけが見にくい」すなわち老眼鏡さえすれば困っていないという方
老眼が治りますという説明を受けてこの段階で、回折型の多焦点眼内レンズを選ぶのは、実はリスクの高い選択になることがあります。

白内障が軽い目は、もともとの見え方がクリアな分、
多焦点レンズ特有の
・コントラスト低下
・にじみ
・スッキリしない感じ
といったわずかな違和感が、かえって強調されてしまうのです。

「白内障手術をしたのに、前より見えにくい気がする」
「こんなはずじゃなかった」
そう感じやすいのが、まさにこのタイプの方です。

実際、
白内障は軽かったけれど老眼が気になって多焦点レンズを選び、術後に違和感や見えにくさを訴えて相談に来られる方は少なくありません。

このような場合、無理に多焦点レンズを選ぶよりも、そもそも手術を待って様子を見た方がいいケースも多く存在します。


④ 軽い近視(−1〜−3D)の方

このタイプの方は、もともと裸眼で手元がよく見えるという、大きなメリットを持っています。
ある程度白内障が進んでもスマホの文字、新聞、料理中の手元など、日常生活の多くを眼鏡なしでこなせている方も多いでしょう。

ところが、この状態で多焦点眼内レンズを入れると、
・今まで自然に見えていた手元がにじむ
・文字のキレが落ちる
・見え方が「均一になってしまう」
といった変化を感じることがあります。

これは、多焦点レンズが光を分けて使う構造ですが近見は弱いです。
もともと持っていた「近視ならではの手元の強さ」を、あえて手放してしまう形になります。

「老眼を治したいと思って手術したのに、手元はかえって見えにくくなった」
このような声は、軽度近視の方では決して珍しくありません。

そのため、
・裸眼での手元の見え方を大切にしたい方
・これまでの生活スタイルをできるだけ変えたくない方
こうした方では、単焦点眼内レンズで手元に合わせたほうが結果的に満足度が高いことが多いのです。


⑤ 超強度近視(−10D以上)の方

超強度近視の方は、将来的に
・網膜剥離
・黄斑変性
・緑内障
といった視機能に大きく影響する病気のリスクが高いことが分かっています。

そのため、眼内レンズ選びでは、「今どれだけ見えるか」だけで判断するのではなく、将来、目にトラブルが起きたときに不利にならないかという視点がとても重要になります。

多焦点レンズは、光を分配する構造上、どうしてもコントラストが低下します。
これは、網膜や視神経に負担がかかった場合、見えにくさをより強く感じやすくなる原因にもなります。

その点、光学的にシンプルで、コントラストが落ちにくい単焦点眼内レンズや、非回折型で見え方の質を保ちやすいピュアシーは、将来の安全性を考えたうえでも無難で現実的な選択といえるでしょう。

超強度近視の方ほど、
「今の便利さ」よりも「将来、困らない選択」を優先することが、後悔しないレンズ選びにつながります。


⑥ 老眼鏡に抵抗がない方

「見えにくい場面があれば、眼鏡を使えばいい」
そう考えられる方は、実はレンズ選びにおいてとても“強い”タイプです。

単焦点眼内レンズで
遠くをしっかり見える状態を作り
手元は必要なときだけ老眼鏡を使う

この組み合わせは、見え方の質が安定しやすく、違和感や不満が最も出にくい選択肢でもあります。

常に完璧に見えなくてもいい。
必要な場面で、必要な道具を使えばいい。
そう割り切れる方ほど、術後の満足度が高く、後悔も少ないのが実際です。

「眼鏡を使わないこと」よりも、「見え方にストレスが少ないこと」を重視する。
それが、単焦点眼内レンズの大きな強みでもあります。


多焦点レンズを選ぶ場合の注意点

多焦点眼内レンズを選ぶ場合、手術は必ず片目ずつ行うことが非常に重要です。

特に、回折型多焦点レンズは決して万人向けではありません。
見え方の好みや脳の順応には個人差が大きく、「理屈では合うはず」でも、実際には違和感が強く出る方がいます。

そのため、最初の手術は効き目ではない目から試すことをおすすめします。そうすることで、「もし合わなかった場合でも、次の選択肢を残すことができる」という大きなメリットがあります。

万が一、
「思っていた見え方と違う」
「コントラストが気になる、ハローグレアが気になる」
と感じた場合には、左右で異なるレンズを使う「ミックス&マッチ」という考え方もあります。

片眼は多焦点、もう片眼は単焦点や非回折型レンズにすることで、見え方のバランスを取り、満足度を高めることが可能になるケースもあります。

多焦点レンズを検討する場合こそ、一気に決めない・戻れる余地を残すこれが、後悔しないための大切なポイントです。


まとめ

多焦点眼内レンズが悪いわけではありません。多くの方は満足されています。ただし、誰にでも合うレンズではないということがとても大切です。単焦点眼内レンズを必ず検討したうえで、
それでも必要な方が多焦点レンズを選ぶ。それが、白内障手術で後悔しにくいレンズ選びだと思います。