眼科医が白内障手術で自分に入れるレンズはこれ!2026年版

2026.01.12 白内障ブログ・症例実績

眼科医の僕が「自分なら」選ぶ眼内レンズはこれです

こんにちは。真鍋眼科の真鍋です。

今回は、外来でも本当によく聞かれる質問、

「先生だったら、どの眼内レンズを選びますか?」

この質問に対して、眼科医としての専門的な視点と、一人の生活者としての本音の両方から、お答えしたいと思います。

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換えます。このとき、どのレンズを選ぶか、どこにピントを合わせるかで、術後の見え方や生活の快適さは大きく変わります。

私はまだ年齢的に白内障手術を受ける段階ではありませんが、日々多くの患者さんを診察する中で、「もし自分だったらどうするか」を常に考えています。


先に結論:今の自分が選ぶならこの2択

いきなり結論からお話しします。

今この時点で、もし自分が白内障手術を受けるとしたら、選ぶのは以下のどちらかです。

・単焦点眼内レンズ

・テクニス ピュアシー(PureSee)

さらに踏み込むと、

・単焦点レンズなら −1.5D
・テクニスピュアシーなら −0.5D前後の軽い近視残し

のいずれかです。

これはあくまで「今の自分なら」という前提の話です。年齢や生活スタイル、目の状態が変われば、選択も変わる可能性があります。その点はご了承ください。


眼内レンズにはどんな種類があるのか

現在使われている眼内レンズは、大きく分けると次の3つです。

・単焦点眼内レンズ(保険診療)

・選定療養のレンズ(回折型、EDOFなど)

・完全自費の多焦点眼内レンズ

最近は「老眼鏡がいらない」「遠くも近くも見える」といったイメージから、多焦点眼内レンズに興味を持たれる方も増えています。実際、良いレンズも多く登場しています。

一方で、多焦点レンズ、特に回折型レンズには

・ハロー・グレア(光のにじみ)

・コントラスト低下

といったデメリットが出る可能性もあります。私自身、日常診療や手術において、細かい所を正確に、くっきり見ることが常に求められる仕事をしています。その立場で考えると、わずかなコントラスト低下や光のにじみであっても、ストレスや仕事の質に影響する可能性があるので中々選択しにくいと考えています。


なぜ「単焦点 or ピュアシー」なのか

私は長年、眼鏡をかけて生活しています。仕事でも日常生活でも、眼鏡を使うこと自体に大きな抵抗はありません。

そのため、

「どうしても眼鏡をかけたくない」

という強い希望は正直ありません。

また、今は目の病気がなくても、将来、緑内障や黄斑疾患などが出てくる可能性は誰にでもあります。そのことを考えると、

・見え方がシンプル

・コントラストが高い

・将来の目の病気の影響を受けにくい

という点で、単焦点レンズは非常に安心感のある選択だと考えています。

一方、テクニスピュアシーは、

・多焦点ほどクセが強くない

・コントラスト低下が少ない

・単焦点に近い自然な見え方

という特徴があります。単焦点と多焦点の“中間”的な立ち位置のレンズで、バランスの良さが魅力です。


単焦点レンズを選ぶなら「−1.5D」

単焦点レンズを選ぶ場合、次に重要なのが「どこにピントを合わせるか」です。

遠く合わせ、近く合わせ、その中間など選択肢はありますが、私が選ぶなら −1.5Dです。

−1.5Dはいわゆる「中間合わせ」に近い設定で、目安としては

・遠方視力:0.4前後

・ピントが合いやすい距離:60〜70cm

・40cmの手元:実用的に見える

といった見え方になります。

実際、患者さんからも

・スマホは老眼鏡なしで使えている

・手元がとても楽

・近くは快適

という声をよく聞きます。

一方で、運転や遠くを見る場面では眼鏡があった方が楽です。そのため、「近くは裸眼、遠くは眼鏡」と割り切れる方にとっては、非常にバランスの良い設定だと感じています。


テクニス ピュアシー(TECNIS PureSee)とは

テクニス ピュアシー(TECNIS PureSee)は、焦点深度拡張型(EDOF)の眼内レンズです。その大きな特徴が

残余近視に対する許容性が高い点にあります。

術後にわずかな屈折ズレ(残余近視や軽い遠視)が生じても、裸眼での見え方が大きく破綻しにくい点がピュアシーの大きな特徴の一つです。

これは、焦点深度を拡張する設計により、ピントが合う範囲が単焦点レンズよりも広いためです。そのため、−0.5D〜−0.75D程度の軽い近視が残った場合でも、遠方視力は落ちにくく日常生活での不自由を感じにくいケースが多く見られます。

遠方〜中間距離を重視した設計【0~-0.25D狙い】

ピュアシーの基本設計は、遠方から中間距離(おおよそ50cm前後)までが自然につながるように設定されています。

そのため、

・パソコン作業

・デスクワーク

・料理や家事

といった中間距離の作業が多い方には、非常に相性の良いレンズです。

近方は眼鏡が必要になることも

一方で、40cmより近い距離、例えば

・小さな文字の読書

・スマートフォンをかなり近づけて見る作業

といった場面では、単焦点レンズと同様に老眼鏡が必要になることがあります

この点は「近くも遠くも完全に裸眼で見えるレンズ」ではない、ということを理解した上で選ぶことが重要です。ピュアシーは、多焦点眼内レンズに見られがちなハロー(光の輪)グレア(まぶしさ)といった症状が比較的少なく、単焦点レンズに近い自然な見え方が得られやすいとされています。

そのため、夜間運転をする方やコントラストを重視したい方にも選択肢として検討しやすいレンズです。ここまでがピュアシーの基本設計ではありますが、私なら少し近視側にずらして度数設定します。具体的には・・・


テクニスピュアシーなら「−0.5D」

テクニスピュアシーを選ぶ場合、私は 少し近視を残した−0.5D前後を狙います。

ピュアシーは単焦点よりも焦点深度が少し広いため、軽く近視を残すことで、

・遠くはほぼ裸眼

・中間〜近方が楽

・細かい文字は老眼鏡を補助的に使用

という見え方が期待できます。「遠近のバランスを重視したい方」には、とても相性の良い設定だと思います。遠方視力は1.0を切るかもしれませんが、近見視力はその分あがる、実際患者さんからの満足度も高い設定となります。


この話は「万人向けの正解」ではありません

ここで大切なことをお伝えします。

この記事でお話ししているのは、あくまで『私ならどうするか』という話です。

年齢、仕事、生活スタイル、眼鏡への考え方、目の病気の有無によって、最適なレンズや度数は変わります。実際、多焦点レンズで満足されている方もたくさんいらっしゃいます。その点はご了承ください。


レンズ選びで一番大切なこと

眼内レンズ選びで一番大切なのは、「自分の生活を具体的に想像すること」です。スマホを見る時間はどれくらい、どの程度離しているか?運転はどの程度する?細かい作業は多い?眼鏡は苦手?

これを考えずに「なんとなく良さそう」で決めてしまうと、術後にギャップが生じやすくなります。


まとめ

眼科医である私が、今この時点で選ぶなら、

・単焦点眼内レンズ(−1.5D)
・または テクニスピュアシー(−0.5D)

この2択です。

理由は、見え方が自然、コントラストが高い、将来の目の病気にも対応しやすい、眼鏡との併用が苦にならないからです。

この記事が、眼内レンズ選びを考える際のヒントになれば幸いです。ご自身の生活に合った選択を、主治医の先生と一緒にじっくり考えてみてください。