話題のテクニスピュアシー、これ知っておこう! 

2025.09.12 白内障ブログ・症例実績

テクニスピュアシーとは?

1. ジョンソンエンドジョンソン社「テクニス」シリーズの特徴

テクニスシリーズは世界的に広く用いられている眼内レンズで、以下の特長があります。

・独自の非球面レンズ構造で球面収差を抑え、夜間でもコントラストが良い

・ジョンソン&ジョンソンのテクニス非球面IOLは、角膜のもつ正の球面収差(+0.27μm)を打ち消すように設計されており、これによって夜間でもコントラスト感度が良いというメリットがあります

・疎水性アクリル素材 → レンズの濁り(後発白内障)が起きににくい

・紫外線・ブルーライトフィルター → 網膜保護に配慮

この基本性能を土台に、最新のテクニスピュアシーは開発されています。


2. テクニスピュアシーとはどんなレンズか?

テクニスピュアシーは「単焦点に近い自然な見え方を持ちながら、焦点深度を拡張する機能性レンズ」です。

・遠方を主体に、中間や近方にもピントが広がる

・デフォーカスカーブが「なだらかな台地型」で、屈折誤差に強い

・ハローやグレアといった光のにじみが少ない

テクニスピュアシーは遠方主体ですが、焦点深度が少し広がるため「50cmぐらいまでは比較的見やすい」 というイメージで捉えると分かりやすいです。

生活シーンでのイメージ

・遠方(運転・テレビ・スポーツ観戦):クリアに見える

・中間(パソコン・料理・会話距離):通常の単焦点より安定して見やすい

・近方(50cmくらい:新聞・タブレット・机上の書類):単焦点より「あと少し」伸びて見やすい

・40cm以下(スマホ・文庫本):基本的には老眼鏡が必要


3. テクニスピュアシーの強み:屈折誤差耐性

白内障手術後は、どうしても「遠くにぴったり合わなかった」「少し近視が残った」などの誤差が出ることがあります。
テクニスピュアシーは、このズレに対して視力の落ち込みが少ないのが特長です。
そのため、眼鏡に頼らず生活できる時間が長くなる可能性があります。


4. マイクロモノビジョンとの相性

この屈折誤差耐性のため、テクニスピュアシーは**マイクロモノビジョン(−0.5D〜−0.75Dの左右差)**との相性が良いとされています。

・片眼を少し近方寄りにすることで、遠方+中間+近方がバランスよくカバー可能

・違和感が少なく、初めてモノビジョンを試す方にも導入しやすい


5. 近方視が物足りないとき:テクニスオデッセイとのミックス&マッチ

もし「手元がもう少し見えたら便利」と感じる場合、片眼をテクニスオデッセイにして、もう片眼をピュアシーにするミックス&マッチという方法も有効です。

・オデッセイは近方視に強い設計

・ピュアシーは遠方主体で屈折誤差に強い

・両者を組み合わせることで、遠方から近方まで幅広い見え方を確保

・両眼視することでハロー・グレアを感じにくくなる特徴もある

さらにおすすめの組み合わせは、
👉 優位眼(利き目)にピュアシー、非優位眼にオデッセイ

理由

・脳は優位眼からの情報を優先的に選択するため、遠方主体のピュアシーを優位眼に置くと日常生活の遠方視が安定しやすい

・非優位眼をオデッセイにすることで、読書やスマホといった近方視を補いやすい

・両眼で統合することで、オデッセイ由来のハロー・グレアも抑えられ、自然な見え方を得やすい

優位眼と非優位眼とは?

人には「利き手」があるように、左右の眼にも“利き目”が存在します。これを優位眼(dominant eye)と呼びます。

優位眼(利き目)

・物を狙ったり遠くを見るときに、脳が優先して使う眼

・日常生活の遠方視や安定した見え方に大きく影響する

・多くの場合、右利きの人は右眼が優位眼であることが多いが、必ずしも一致するとは限らない

非優位眼(non-dominant eye)

・優位眼をサポートする役割を持つ眼

・近方視や補助的な見え方を担うことが多い

優位眼の見分け方(簡易チェック法)

両手で小さな三角形を作り、遠くの物をその三角の中心に見えるようにします。片眼ずつ閉じてみたときに、物が中心に残って見える方が優位眼です。


6. ビビティとの比較

遠方から近方の見え方そのものに大きな差はありませんが、調整の仕方に特徴があります。
ビビティは一般的に−0.5Dより強い近視化は推奨されていません。 それ以上に寄せると、遠方視が低下しやすく、近方視も十分に得られにくいためです。
一方でテクニスピュアシーは屈折誤差耐性が高く、遠方視を落とさずに近方視をわずかに伸ばすことが可能です。


まとめ

・テクニスピュアシーは「誤差に強く、自然で広い見え方ができる機能性レンズ」

・マイクロモノビジョンと組み合わせやすい

・近方が足りないときはオデッセイとのミックス&マッチも有効

・ビビティとの違いは、近視化の許容度と屈折誤差耐性

白内障手術の眼内レンズ選びは、生活スタイルや希望する見え方に合わせて検討することが大切です。テクニスピュアシーにご興味をお持ちの方は是非ご相談ください。