白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を目の中に入れます。
その眼内レンズの中でも、「遠く・中間・近く」すべてにピントが合うように設計された「多焦点眼内レンズ」があります。
その最新型が、HOYA株式会社が開発した
「ビビネックス ジェメトリック🄬」および「ビビネックス ジェメトリックプラス🄬」です。
2024年・2025年に相次いで登場した、日本製の三焦点多焦点レンズであり、
「夜間の眩しさを抑えながら、遠くも近くも自然に見える」ことを目指した、
非常にバランスの取れたレンズです。
ビビネックス ジェメトリックは、以下の3つの距離にピントが合うように設計された三焦点眼内レンズです。
・遠方(約5m〜):運転、スポーツ観戦、風景の眺望など
・中間(約80cm):パソコン作業、料理中の手元、買い物の値札確認など
・近方(約40cm):スマートフォン操作、新聞や本の読書、食事中の手元など
このように、遠・中・近の3箇所にピントが合う三焦点設計により、眼鏡を使わなくても日常生活の多くの場面で快適に過ごすことができます。
では、他の三焦点眼内レンズと比べて、ビビネックス ジェメトリックにはどのような特徴があるのでしょうか?
多焦点レンズでは、「ハロー(光の輪)」や「グレア(にじみ・まぶしさ)」といった見え方の違和感が起きることがあります。
これは、光を複数の焦点に分ける「回折構造」が目の中に入ることで生じる現象です。
ビビネックス ジェメトリックでは、回折構造をレンズの中心部(3.2mm)にのみ配置。
この設計により、夜間や暗い場所で瞳孔が広がったときでも、光の干渉が少なくなり、眩しさが大幅に軽減されます。
夜に運転される方や、明かりに敏感な方にも安心の設計です。
ビビネックス ジェメトリック(Vivinex Gemetric)は、遠方の見え方に優れている三焦点眼内レンズとして注目されています。その理由は、独自の光学設計にあります。
このレンズは、中心部(直径3.2mm)のみに回折構造(多焦点構造)を配置し、それ以外の周辺部は完全な単焦点構造になっています。つまり、レンズの中央では遠方・中間・近方の3つにピントが分かれる仕組みになっている一方で、周辺部は**遠方専用のピント(単焦点:遠用)**に固定されているのです。
この設計の最大のメリットは、瞳孔が大きく開く暗い場所でも、遠くの見え方が安定するという点です。暗所では、自然と瞳孔が拡がり、レンズ周辺部からの光が多く入るようになります。そのため、周辺の遠方単焦点ゾーンの性能が最大限に活かされ、遠方視力が維持されやすくなるのです。
さらに、Gemetricは遠方に多くの光エネルギーを配分しており、見え方のバランスが「遠方やや優位」になるよう設計されています。これにより、日常生活で最もよく使う遠くの視認において、よりシャープで自然な見え方が得られます。
加えて、HOYA独自の非球面設計と、日本製ならではの高精度なレンズ加工技術によって、像のゆがみやコントラストの低下も抑えられています。
ビビネックス ジェメトリックは、**あらかじめ眼内レンズが専用の挿入器にセットされた状態(プリセット型)**で提供されるため、手術の現場で多くの利点があります。
まず、プリセット型であることにより、レンズの準備時間が短縮され、手術全体の時間が効率的になります。また、滅菌された状態のまま挿入できるため、感染リスクの低減にもつながります。
さらに、専用挿入器によってレンズがスムーズに眼内へ導入されるため、術者の操作も安定しやすく、トラブルの少ない手術が可能になります。
加えて、ビビネックス ジェメトリックは非常に小さな切開創で挿入が可能な設計となっており、術後の傷の治りが早く、乱視が出にくいという点も大きなメリットです。
ビビネックス ジェメトリックは、**左右で異なる度数や見え方の設計をする「ペアリング手術」**にも柔軟に対応できる眼内レンズです。
たとえば、
・右目は遠方〜中間がよく見える設計
・左目は中間〜近方が得意な設計
というように、左右の目に異なる焦点バランスのレンズを選ぶことで、両眼で協力してより広い距離をカバーすることが可能になります。
この方法は、単に三焦点で3つの距離にピントを合わせるよりも、それぞれの焦点での見え方の質を高めたり、より自然な視覚体験を得たりすることができるのが特徴です。
・夜間の眩しさに強い設計(回折構造を中心部のみに配置)
・遠方視力をしっかり保ち、中間・近方もバランスよくカバー
・HOYA製の安心・高精度な国産レンズ
・91%以上の人が「眼鏡を使わずに手元が見える」と回答した報告も
・夜に車を運転することが多い方
・遠くからスマホ距離まで、眼鏡なしで過ごしたい方
・日本製の製品に信頼をお持ちの方
・自然な見え方を求めている方
・30〜35cmの超近距離(細かい文字や刺繍など)**は少し見えづらいことがあります
・一度手術を行うと、レンズの交換は容易ではありません
→ そのため、術前にしっかりと見え方の希望をお聞きするカウンセリングが非常に重要です
当院では、
・「ビビネックス ジェメトリック」
・「ビビネックス ジェメトリックプラス」
・「左右異なるレンズによるペアリング手術」
など、幅広い選択肢の中から、あなたに合ったレンズをご提案しています。
術前には見え方のシミュレーションも行い、
納得したうえで治療を受けていただけるようサポートいたします。