「認知症」と聞くと、多くの人は「物忘れ」や「判断力の低下」を思い浮かべます。しかし、実は初期の段階で 目の症状 が現れることがあるのをご存じでしょうか。
今回は、認知症のサインとして現れる代表的な目の症状と、早期発見・対策の重要性について解説します。
私たちの脳に入る情報の約8割は「視覚情報」です。
そのため、脳の働きが低下すると「見え方」に異常が現れることがあります。逆に、目からの情報が減ると脳への刺激も減り、認知機能の低下を早めることにもつながります。
実際には存在しないものが見える状態です。
・「部屋に知らない人がいる」
・「虫が這っている」
・「子どもが座っている」
特にレビー小体型認知症で多く見られます。本人には本物にしか見えず、恐怖や混乱を招くこともあります。
あるものが別のものに見えてしまう症状です。
・カーテンの模様が人の顔に見える
・絨毯の模様が虫に見える
・電柱の影が人に見える
幻視と違い「存在するもの」を誤認してしまうのが特徴です。
・無表情になる
・まばたきが少なくなる
・視線が定まらない
・物を目で追う動作が遅くなる
以前の表情や目つきと比べて明らかに変化がある場合、周囲が気づくことが多いサインです。
目に病気がないのに「見えにくい」と感じる状態です。
脳が情報を正しく処理できず、タオルをパンだと思ったり、時計を猫と間違えるといった異常な行動が見られることもあります。
2024年に発表された「ランセット認知症予防・介入・ケア国際委員会」の報告では、視力低下が新たな認知症リスク因子として追加されました。
・視力に問題がある高齢者は、問題のない人に比べて 認知症の発症リスクが2倍。
・白内障や緑内障を放置すると、脳への刺激が減り認知機能の低下を早める可能性があります。
・適切な時期に白内障手術を受けると、見え方だけでなく認知機能にも良い影響があることが報告されています。
「アイフレイル」とは、加齢によって目の機能が衰えた状態のことです。
・目が疲れやすい
・本や新聞を読むのが嫌になる
・眼鏡をかけても見えにくい
アイフレイルが進むと転倒や骨折につながり、活動量や社会参加が減少し、認知機能低下のリスクが高まります。
・40歳を過ぎたら定期的に眼科受診を
・健康診断の「視力検査」だけでは不十分
・白内障・緑内障・網膜の異常を見つけるには「眼底検査」が必要
「見えているから大丈夫」ではなく、早めのチェックが将来の安心につながります。
・認知症のサインとして「幻視」「錯視」「目つきの変化」「中枢性視覚障害」が現れることがあります。
・見えにくさを放置することは認知症リスクを高める要因になります。
・白内障手術や眼科での早期発見は、生活の質を保ち、認知機能の維持にも役立ちます。
「よく見えること」は「よく生きること」につながります。
40歳を過ぎたら、ぜひ一度目の健康チェックを受けることをおすすめします。