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117. 目にいい最強ナッツはこれ!

今回は目によいナッツに関してお話させて頂きます。

おつまみやお菓子としてだけでなくて、ダイエット食品としても人気のあるナッツですが、目にもよくてスーパーフードの1つとして知られています。ナッツは「種子」なので新しい植物(しょくぶつ)になるためのエネルギーが全てあの小さな1粒に詰め込まれています。

そのため1粒1粒の栄養価が非常に高いです。

私自身も間食にナッツを食べていますが、砂糖が多く入った甘いお菓子を食べる習慣がある方はナッツに変えてみる事をオススメします。

今回はナッツにはどのような効果があって何故目にも良いのかということに関してお話させていただきます。

ナッツは身体によい食材として知られていますが、目にも良い食材です。

何故ナッツが目にもよいのか主に理由は5つあります。

①不飽和脂肪酸が多いから

➁抗酸化ビタミンのビタミンEが豊富

③ルテインやゼアキサンチンが多く含まれているナッツがある

④ポリフェノールの1種であるレスベラトロールを含んでいるものがある

⑤亜鉛の含有量が多いから

という5点です。

ナッツには、アーモンド、クルミ、ピスタチオ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツなど様々ありますが、大きく栄養素は変わりません。

1粒の中に脂質が5-7割程度含まれていて、植物性のタンパク質と炭水化物が2割程度、その他ビタミンや食物繊維、亜鉛やマグネシウムといったミネラルが含まれています。

脂質が多いというと太りやすいというイメージをもたれるかもしれませんが、脂質にも取り過ぎに注意すべき脂肪、飽和脂肪酸というものと積極的に摂りたい脂肪、不飽和脂肪酸に分かれます。飽和脂肪酸は牛肉や豚肉に含まれているような脂肪です。飽和脂肪酸は常温で固体なので、摂りすぎると血管に蓄積して動脈硬化の原因になります。一方で魚の脂やナッツに含まれている植物性の脂、不飽和脂肪酸は身体に様々なメリットがあります。

①悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールを減らして、善玉コレステロールとのバランスを改善して血液をサラサラにする効果があります。また、
②脂質が多いのでルテインやビタミンEのような脂溶性の栄養素を効率的に吸収する効果もあります。

特に目に関しては不飽和脂肪酸の中のω3脂肪酸は目の健康維持のために大切です。ω3脂肪酸は青魚に多く含まれていますが、くるみにも多く含まれています。

オメガ3脂肪酸は、ドライアイや加齢黄斑変性症などの眼疾患から眼を守る役目があります。

ナッツにはこのようにω3脂肪酸を含んでいますし、ビタミンEも豊富な食材であることも知られています。

ビタミンEの主成分であるトコフェロールは体内の細胞を害する活性酸素から保護するのに必要な抗酸化ビタミンです。ビタミンEは加齢黄斑変性症や白内障の発症、進行抑制効果があることで知られています。ビタミンEの含有量が特に多いのはアーモンドです。ナッツには天然の脂質が大量に含まれているので脂溶性であるビタミンEを効率的に吸収することができます。

またナッツの中でもピスタチオの成分は眼科的に見逃せません。

ピスタチオには不飽和脂肪酸やビタミンEを含んでいるだけでなくて、ルテインやゼアキサンチンも多く含んでいます。ピスタチオの緑の皮の部分に大量に含まれています。ルテインとゼアキサンチンはカロテノイドの一種で、ビタミンEと同様に強い抗酸化作用があり天然のサングラスと言われています。

生のピスタチオには100gあたり1400μg程度のルテインとゼアキサンチンが含まれているとされています。次に含有量が高いナッツであるヘーゼルナッツは100gあたり90μg程度で、ピスタチオは13倍多く含んでいます。

ルテインはビタミンEと同様に脂質と一緒に摂ると体内への吸収効果が高まります。オレイン酸やリノール酸といった天然の脂質を含んでいるピスタチオはルテインの生体利用率が非常に高いというのもポイントです。

ルテインやゼアキサンチンの推奨量は1日あたり6mgとされていますが、成人の平均摂取量は1-2mg程度と多くの方は不足している事で知られています。

気軽にルテインを補えるピスタチオは間食にとてもよいです。

そして4つ目、ナッツには食物繊維が多く含まれています。便秘を改善させたり、食事中の血糖値の上がり方が緩やかになる効果があります。

その中で眼科的に注目したいのは、ピーナッツに含まれるレスベラトロールというポリフェノールです。

ピーナッツはナッツという名前がついているんですが、正確にはナッツではなくてマメ科に入ります。ただ栄養価が他のナッツとほぼ同じなのでナッツのグループに入っています。そのピーナッツの茶色い薄皮部分にはレスベラトロールが含まれています。

強い抗酸化作用があって目の場合白内障の進行抑制効果も期待されている成分です。白内障の原因の1つである紫外線から目を守る効果が期待されています。

レスベラトロールが多く含まれているのはピーナッツの渋皮の部分です。

苦味を気にして剥いてしまう人が多いんですが、食べるときは皮を剥かずに食べるようにしてください。


そして最後5つ目、ナッツは日本人に不足しがちな亜鉛も多く含んでいます。亜鉛は、酵素やタンパク質の合成に関与する必要不可欠なミネラルです。筋肉や骨を中心に皮膚や肝臓、前立腺などに多く含まれていますが目の網膜にも含まれています。亜鉛というとあまり聞き慣れない成分かもしれませんが、眼科では亜鉛欠乏症といって視力低下が起きることもあります。食事摂取量が不足している方の視力低下の原因が亜鉛の摂取量にあったということもあるぐらいです。

亜鉛は抗酸化ミネラルとして目を守る役割があります。亜鉛の含有量が多いナッツはカシューナッツです。20gあたり1mg程度含まれています。日本人における栄養調査では亜鉛推奨量は成人男性で11mg、女性で8mgとされていますが、1mg程度の摂取量が不足しているとされています。ナッツ一食分でちょうど補う事ができる量です。

加齢黄斑変性症の患者さんに行われた研究ではルテインやビタミンEのような抗酸化ビタミンに加えて亜鉛を摂取することも推奨されています。

このようにナッツには目に様々な効果が期待できます。

ただナッツを食べるとき気をつけることが2つあります。

1つはナッツの栄養成分の中心が脂質なのでカロリーが高いということ。もう1つは高血圧の原因になるので塩や油などが使われていない素焼きのものを選ぶようにしてください。

私は食べ過ぎを防ぐためにやや割高ではありますが、ミックスナッツを小分けにしたものを食べるようにしています。

ナッツは腹持ちがいいです。低GI食品で血糖値の上がり方が緩やかになります。食事前に少し取ることで食べ過ぎを防げます。昼食前や夕食前など食事前に食べてみることをオススメします。

今回の話をまとめますと

①ナッツは不飽和脂肪酸が多く含まれているため、悪玉コレステロールを下げたり、脂溶性の栄養素の吸収を促します。

②抗酸化作用のあるビタミンEの含有量が多いです。天然の脂質が多いので効率的に体内に吸収されます。

③ピスタチオはルテイン、ゼアキサンチンが他のナッツより多く含まれています。脂溶性のため生体利用率が高いです。

④ピーナッツの薄皮部分にはポリフェノールの一種で強力な抗酸化作用があるレスベラトロールが含まれています。

⑤抗酸化ミネラルの亜鉛も含まれています。(AREAS2推奨)

⑥食べ過ぎや塩で味付けをしているものは避けるようにしてください。

という6点です。ナッツはこのように目に対する効果も期待できる食材ですが、全身的にも様々な報告があります。

①食物繊維が含まれているので便秘の改善効果であったり、食事においても血糖値の上がり方が緩やかになります。②血糖値の上昇を緩やかにすることで糖尿病のリスクが低下します、③不飽和脂肪酸により悪玉コレステロールが減るので心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らします。④そのため生活習慣病による死亡率が低下するということが報告されています。1日の摂取量は片手で握れる程度の量です。個数にして20-25個程度が適量とされています。大きな袋に入っているものの方が安くていいんですが、つい食べすぎてしまう可能性があります。やや割高になりますが、小分けで無塩のナッツがよいかもしれません。今回は何故ナッツは目によいのかということに関してお話させていただきました。


(2023.1.19)