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112. 老眼 やってはいけないNG行為

今回は老眼を自覚した時にしてはいけない行為と老眼への対策に関してお話させて頂きます。老眼とはピントの調節能力が低下してものがみにくくなることです。眼鏡やコンタクトレンズで遠くが見える状態にしたとき、手元が見づらくなるというのが老眼の症状です。

このような症状は無いでしょうか。

①若い時はどれだけ本を読んだりやパソコンをしていても疲れなかったのに、最近はどうも近くのピントがぼやける。

②遠くを見ている状態ですぐに手元を見たり、逆に手元を見ている状態で遠くに視線を向けるとピントがすぐに合わない。

③近視の方は遠方用の眼鏡またはコンタクトをとった方が手元がみやすい。

このような症状がある方は既に老眼が起きているかもしれません。

今回は老眼になったらどのように対応すればいいのかということに関してお話させて頂きます。

私たち

がものを見るときは水晶体というレンズの厚みを調節してピントを合わせています。水晶体には弾力性があって、周りにある毛様体筋という筋肉が水晶体を引っ張ったり緩めたりして厚さを調節しています。遠くのものを見るときは、毛様体筋が緩んで水晶体が薄くなります。近くのものを見るときは毛様体筋が緊張して水晶体が分厚くなります。

ところが若いうちは弾力性があった水晶体

は年齢とともに弾力性が失われて硬くなっていきます。そうなると毛様体筋がいくら緊張しても硬くなってしまった水晶体が厚くなりません。そのため近くが見にくくなってしまいます。すなわち老眼の原因

は水晶体の弾力性が失われて固くなる事が原因です。水晶体の厚みを調節する毛様体筋という筋肉はほとんど機能が落ちていない事がわかっています。

水晶体の主成分はタンパク質であり、一度変性すると元通りの柔軟性を取り戻す事ができません。そのため老眼治療として次の事をしている方は効果がほとんど期待できません。

①目を動かす運動であったり、②自律神経を改善させるマッサージであったり➂老眼を改善させるような薬やサプリメントを飲んでいる方です。

これらは長時間の近業作業で毛様体筋が凝り固まってピント調節機能が麻痺してしまった方には効果的ですが、老眼への効果はほとんど期待できません。

老眼の原因は水晶体の弾力性の低下なのでこれらをしても機能が回復するわけではないからです。

老眼は40歳頃

から始まりますが、実はピントの調節力は20代から徐々に低下しています。低下しているといっても若い内はまだ充分に調節力があるので老眼の症状はありません。ところが40代になると今までピントが合っていた距離がぼやけてみえて、老眼の症状に気づくようになります。

老眼に気づいたら早めの対策が必要です。理由が2つあって

ピントが合っていない状態で見続けると目が霞む、重いといった目の症状以外に肩こり、頭痛、ひどいとうつ病などの精神的な症状にまで至る場合があるからです。身体の不調が実は目に原因があったということもあります

もう1つは老眼が進んでからだと老眼鏡や遠近のコンタクトレンズに慣れにくいからです。

老眼だということを認めたくない、老眼鏡をしたくないという方がやはりいらっしゃるんですが、できるだけ早めに対応された方がいいですね。

老眼に対する方法はいくつかあります。①低矯正にする ②モノビジョンにしてみる ③コンタクトの方は遠近両用のコンタクトレンズにする ④生活スタイルに合った眼鏡を作るなどです。

軽い老眼を自覚しだしたらまず眼鏡、コンタクトレンズ共に度数を落としてみることをおすすめします。生活の中心がほぼデスクワークである方なら特におすすめしたいです。通常視力検査は遠方視力

を測っています。1.0以上見えるように眼鏡やコンタクトレンズの度数を設定している方が多いと思いますが、その状態は遠方視に最もピントが合っています。遠方の視力を少し落とすことになりますが、近視の方は度数を少し落とすとピントが手前によってくるので手元にもピントが合ってきます。長時間運転をされている方や、スポーツをされている方はこの方法は不向きですが生活のほとんどが家の中やデスクワークの方にはオススメです。

コンタクトレンズの度数を弱めて運転の時だけコンタクトの上から眼鏡をする、または今まで通り遠方に合ったコンタクトレンズをして近くの作業をするときだけコンタクトの上から手元用の眼鏡をするというような方法もよいと思います。普段コンタクトを使われている方におすすめな方法です。

また、コンタクトレンズの方はモノビジョンにしてみるのもよいと思います。モノビジョン

とは左右の見え方に少し差をつけて広い範囲みえるようにする方法です。例えば右目は遠くを見えるようにして左目は近くをみえるように矯正して両眼で見ると遠くから近くまでみえるようにするという方法です。見え方に慣れるのに時間がかかりますので向き不向きがありますが、適応できる方は広い範囲が見えるようになります。

このように度数を下げたり、モノビジョンをしてみるといったことが老眼の最初の段階にオススメです。ただしだいぶ老眼が進んできて調節力が下がってくると、少し度数を落としたぐらいでは手元の見え方に満足いかなくなりますし、モノビジョンも度数の差の付け方に限界があります。

これらの方法が合わなかった場合、遠近のコンタクトレンズや眼鏡が必要になってきます。

コンタクトレンズの場合遠用、近用のレンズが一枚になってできています。遠近両用の眼鏡はレンズの中央部分に遠用があって、下方に近用部分があります。眼鏡の場合は視線を意図的にズラさないと見えないんですが、コンタクトレンズはその必要がありません。

ただし遠近両用のコンタクトは2つのレンズが合体しているので通常の単焦点のコンタクトレンズよりコントラストが落ちますし、ハロー・グレアといいますが光が滲んでみえたり、輪っかが見えるような症状を伴うことがあります。度数が強くなればなるほどその傾向は強くなります。そのため合う方と合わない方で分かれます。

中には両眼遠近のコンタクトで合わせるとつらいけど片目に遠近のコンタクトレンズをつけてもう片目は通常の単焦点のコンタクトレンズをすれば大丈夫な方もおられます。これはモノビジョンの一種なのですが、実際両目を上手に使い分けて適応される方もおられます。

コンタクトレンズの見え方に慣れない方は眼鏡が必要になります。遠用、近用部分が分かれているので、視線をずらさないと見えないという欠点がありますが、コンタクトと違ってレンズが独立しているのでコントラストが落ちることがありません。


このように老眼への対策は色々あります。老眼鏡も遠近のコンタクトレズもともに言えることは加入度数が低いほど見え方の違和感がすくなくなります。老眼がすすんでいる状態だといきなり加入度数が大きな眼鏡をしないといけません。これが中々すぐに慣れないんですね。

そのような事もあってできるだけ早めに遠近の眼鏡やコンタクトレンズを試されるのがよいです。またデスクワークが中心の方は30台からわざと少し弱めにしておいて「低矯正になれておく」というのもよいと思います。

低矯正になれておけば将来的な老眼への対策にもなるのでおすすめです。

このように老眼に対する方法はいくつかありますが結局のところどれをとっても若い時と同じようにするものではありません。色々試してみて合う方法を探してみるのがいいのかなと思います。

今回の話をまとまめますと

①老眼の原因は水晶体の弾力性の低下によるものです。

②老眼を治すといった目のマッサージや自律神経を改善する方法、薬やサプリは老眼には効果がありません。

③ピントがあっていない状態が続くと目や身体の疲労だけでなくうつ症状にまで至ることがあります。

④老眼への対策は低矯正、モノビジョン、遠近の眼鏡やコンタクトなどがあります。

⑤老眼に気づいたら早めに対策しましょう。ある程度老眼が進行してからでは加入度数が強い眼鏡やコンタクトの見え方に慣れない可能性があります。

という5点です。

老眼の対策や注意点をお話させて頂きましたがまずは老眼を自覚したら眼科受診するようにしてください。老眼だと思い込んでいたのに実はその症状は緑内障だったという事があります。

なんか見にくい、ピントが合わない、霞んで見える、これらは老眼にも緑内障にもある症状です。そのため40歳を過ぎたらまずは目に異常がないか眼科受診するようにしてください。

今回は老眼になった場合にやってはいけないことと対策に関してお話させて頂きました。


(2023.1.11)