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110. 目に気を付けた方がいい食材たち

今回は目を悪くしないために気をつけて頂きたい食事に関してお話させて頂きます。不健康な食事が身体に悪影響があるように摂りすぎると目によくない食事があります。目によい食品はいろいろあります。例えばルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC,ビタミンEや不飽和脂肪酸であるDHAやEPAは白内障や加齢黄斑変性症の進行抑制であったりドライアイを改善させる報告が多くされています。すなわちそんなの当たり前だと言われるかもしれませんが野菜や果物、魚を意識して摂ることが身体だけでなく健康的な目の状態を保つために大切です。このような食品を意識的に摂ることも大切なんですが、逆に目にとって減らすべき食品があることも報告されています。今回はこのような食事の摂り過ぎに気をつけて頂いてその中でも特にこれは気をつけてください。ということに関してお話させて頂きます。


気をつけて頂きたい食品はずばり糖質です。その中でも「精製された炭水化物」と「清涼飲料水」の摂り過ぎに気をつけてください。炭水化物は精製されたものと未精製のものに大きく分かれます。精製された炭水化物は白い炭水化物とも言われますが、ラーメン、うどん、白米、パスタなどです。一方で未精製のものは茶色い炭水化物と言われますが全粒穀物、大麦、玄米などです。

糖質の中でも精製された炭水化物や、清涼飲料水が何故よくないかというと「血糖値が急激にあがる」からです。血糖値を大きく変動させる事がよくないと言われています。

糖は人間が活動するうえで主要なエネルギー源です。

しかし、糖質を必要以上に摂りすぎるとあふれた糖質はタンパク質と結合する特徴があります。身体のあらゆるタンパク質とベタベタと結合して、体温によってゆっくり加熱されることで終末糖化産物AGESというものができて体内で蓄積されます。

AGEsは強い毒性を持っていて、タンパク質の機能を劣化させるだけでなくて、炎症反応を引き起こします。この一連の反応を糖化反応といいますが、この糖化反応の引き金になっているのが血糖値が大きく変動する事なんですね。そのためグルコーススパイクとも言いますが血糖値を大きく変動させる食品に気をつけましょうと言われています。

AGEsができると全身的にはどのような問題があるんでしょうか。

血管や骨のコラーゲン線維と結合して動脈硬化や骨粗鬆症のリスクになりますし、臓器や細胞にも付着するのでアルツハイマー型認知症や癌、心筋梗塞、脳梗塞のリスクになることが報告されています。

目に関しては白内障と加齢黄斑変性症が主に報告されています。


糖質は白内障の発生に大きく関係がある事が明らかになっています。糖尿病の方は正常の方より5倍早く白内障になるといわれています。これは水晶体の中で糖の濃度があがると水晶体の主成分であるタンパク質が変性して白内障の進行をすすめるからです。糖尿病の方はもちろん注意が必要ですが、糖尿病予備群と言われている人も注意するようにしてください。白内障の原因は主に加齢ではありますが、慢性的な高血糖も白内障の原因になることが分かっているので注意が必要です。

また加齢黄斑変性症とも関係があることが分かっています。加齢黄斑変性症は物が歪んでみえたり、霞んで見えたり視覚的な後遺症を残しやすい病気です。現在国内では中途失明4位の病気ですが、アメリカでは1位の病気です。

血糖値

が上昇する速さをグリセミック・インデックス GI値といいますが、GI値が高いものより低いものを摂っていた方が有意に加齢黄斑変性症のリスクが少なかったという報告があります。

AREADSという白内障や加齢黄斑変性症などの眼疾患の危険因子や進行リスクを評価した大規模な研究がありますが、その時の参加者の栄養状態をデータベースに検討された内容です。4003名の方を対象に行われてルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、DHA、EPAを摂ること、そして低GI食品を意識している人ほど加齢黄斑変性症のリスクが少なかったと報告されました。過剰な糖分

によって作られた終末糖化産物「AGES」は網膜に付着して炎症を起こして加齢黄斑変性症の原因になるのではないかと考えられています。事実他の報告

では加齢黄斑変性症の初期症状にドルーゼンという沈着物ができるんですが、組織学的に調べたところこの沈着物にはAGESが沈着していたというような報告もあるんです。食の欧米化によって日本でも加齢黄斑変性症の有病率がどんどん増えてきています。過剰な糖質を摂られている方は注意した方がよいですね。

その他に緑内障、近視などへの影響も報告されています。

AGEsのスコアが高い方ほど緑内障の視野障害と関係していたという報告もされています。

フランス

で行われた研究では4-18歳の特に女児で精製された炭水化物の量が多いほど近視の有病率が高かったという報告もあります。グルコーススパイクによって血糖を下げるインスリンというホルモンの大量分泌が関係している可能性が考えられています。近視の原因は主に

①近業時間の増加

②屋外活動の減少が考えられていましたが、食事も関係があるかもしれません。

③このように過剰な糖分の摂取は様々な眼疾患につながる可能性があります。

何故これほど糖質の研究が今問題になっているかというと、糖質の消費量は世界的に増加していて糖質の大量摂取による様々な健康被害が報告されているからです。

AGESは血糖スパイクが起きた後にその後高血糖が持続化することで溜まりやすい事が知らています。

朝昼晩三食うどんや白米、ラーメンといった食事に加えて間食で炭酸飲料や洋菓子といったものを食べている事はないでしょうか。そして食後に頭痛や倦怠感があって仮眠をとらないととすっきりしないという方はいないでしょうか。血糖スパイクが起きている可能性があります。

血糖値の上がり方を緩やかにするために具体的にはベジファーストと言われていますが

①野菜を先に食べるようにすることであったり、

②早食いどか食いをやめることや

③できるだけ血糖値の上がり方が緩やかな低GI食品を摂ること

が推奨されています。

特に気を付けなければならないのは清涼飲料水です。

精製された炭水化物お米などはGI値が高いんですが、多糖類のデンプンという形で存在しているので飲みものより吸収に時間がかかります。糖質は大きく多糖類、二糖類、単糖類とわかれます。消化の過程で多糖類から二糖類、単糖類と分解されて吸収されます。

清涼飲料水の糖質は果糖やぶどう糖といった単糖類で存在しているので消化の段階がなくすぐに吸収されて一気に高血糖になります。そのため低血糖を起こしているときには非常に有効なんですが、通常はそのような事はほとんどないと思いますのでできるだけ控えられた方がよいです。

また、清涼飲料水には果糖の配分によって少ないものからぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖といった異性化糖といいますが、果糖がふくまれています。果糖はぶどう糖と代謝経路が異なっていて10倍近くAGESを形成しやすいといわれています。特に糖質が高い炭酸飲料水やコカ・コーラやエナジードリンクはこのような異性化糖が多く含まれています。1日に何度も飲んでいる人は注意した方がいいです。

主食にお米やパンを食べている方にこれらをやめてくださいというのは難しいと思います。そのためまずは清涼飲料水だけでもやめてもらう習慣を作っていただいいてはどうでしょうか。その後に精製された炭水化物を減らす、運動習慣を取り入れるなど徐々にステップアップして頂きAGESを蓄積させないような生活習慣を作ることが大切です。

今回の話をまとめますと

①精製された炭水化物や清涼飲料水による急激な血糖値の上昇がAGESができる引き金になります。

②AGESは全身的には動脈硬化、骨粗鬆症、癌、などの原因になり、目の場合白内障や加齢黄斑変性症への関与が報告されています。

③糖化反応が起きる結果白内障のリスクが5倍高まります。

④加齢黄斑変性症の予防のためにルテインなどに加えて低GI食品を摂ることが有効でした。

⑤清涼飲料水は大量の糖質が含まれていてすぐ吸収されるので血糖変動が大きいです。

という5点です。

AGEができる原因はこのように体内で慢性的に高血糖が続くことであったりAGE値が高い食品ステーキや、唐揚げ、を摂る事で体内で蓄積されます。その中でまずは急激に血糖値をあげる甘い液体からやめられてみることからおすすめします。

今回は目のためにできるだけ避けた方がよい食品に関してお話させて頂きました。


(2022.12.28)