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89. この飛蚊症 要注意!

今回はこの飛蚊症が見えたらすぐに眼科受診してくださいということに関してお話させて頂きます。飛蚊症とは自分にしか見えない浮遊物のことをいいます。透明なものであったり、黒い点のようなものであったり点状のもの、クモの巣みたいなもの、アメーバみたいなものなど色々な種類があります。飛蚊症がみえると不快ですよね。多くの飛蚊症は加齢性のものではありますが、若くして自覚されている方もおられます。飛蚊症がみえるからといって必ずしも病的なものではありませんが、中には病的なものの可能性があり、そのようなものには知っていただきたい特徴があります。今回はこのような飛蚊症みえていませんか?見えていたら即眼科に受診してくださいという事に関してお話させて頂きます。

1つ目は今までより飛蚊症が一気に増えた時です。

飛蚊症は通常加齢によって自覚するようになります。これには理由が2つあって1つ目

は硝子体というゲル状でできた成分のうちコラーゲンというタンパク質が変性してそれが見えるというのが1つ目の理由です。変性したコラーゲン

が硝子体に浮かんでそれが目から入ってきた光の影として網膜に映ってしまうことで自覚します。

もう1つは後部硝子体剥離

が起きているからというのが2つ目の理由です。後部硝子体剥離というのは通常網膜と硝子体がくっついているのですが加齢と共に離れていく生理現象をいいます。 

接着面

から剥がれる際に一部硝子体の残骸を残しながら離れることがあります。どちらも50歳頃から起きやすい症状なので、目の異変に気づいてびっくりして受診されることが多いです。このような飛蚊症は生理的なものであり一般的には問題ないことが多いです。飛蚊症はうっとうしいものではありますが、加齢現象であって徐々に薄くなっていくことが多いので経過をみていくしかありません。

ただし、自己判断をしてはいけません。中には重症な眼科疾患が隠れている事があるからです。代表的なものは網膜剥離に繋がる飛蚊症です。後部硝子体剥離が起きるタイミングで網膜

を強く引っ張ってしまって穴をあけてしまうことがあるからです。飛蚊症が増えたのは単に加齢現象なのか、それともこのような病的なものが原因なのかは眼科に行って検査しないと分かりません。今までに見えていたものが急に増えて広がる事があれば必ず眼科受診してください。

2つ目、強い光のすじ

が多発して見えている場合です。眼科では光視症と言われる現象です。これも後部硝子体剥離が起きているときに起きる現象です。硝子体

が網膜から剥がれていく時に網膜に振動が伝わり知覚できると考えられています。全く光源がないところで夜中ぴかっとして電気がついていないのに何故?とびっくりして受診される方もおられます。この現象は正常の方でも起こります。頻度が少なければ問題ないことが多いですが、頻発している場合は注意が必要です。頻発している場合は網膜と硝子体の接着が強いことを意味しており、網膜を刺激している可能性があります。硝子体が強く網膜を引っ張っていてにまさに穴があく直前の状態であることがわかったりします。そのため頻回にピカッとする光視症を自覚されている場合は早めに受診されるようにしてください。

3つ目、飛蚊症や光視症に加えて視界に見にくい部位があったりすでに視力低下を自覚している場合です。これはすでに病的な疾患が起きている可能性が非常に高いです。最も多いのは網膜に穴があいて網膜裂孔から網膜剥離になっている状態です。網膜剥離は早く治療しなければ歪み、視力低下、中心部の暗点のような後遺症を残すので注意が必要です。網膜剥離も早めに分かればレーザー治療で済む場合があります。それで済めばいいのですが、レーザー治療のタイミングを逃すと硝子体手術といって手術まで必要になることがあります。手術が必要な人のほとんどはこのように急に増えた飛蚊症または頻発する光視症を自覚しているにも関わらず放置している事が多いです。50歳~60歳で発症される方が多いんですが、この年齢の方は働き盛りの方ですよね。目の不調を自覚しているにも関わらず仕事で眼科に行けなかった、いつか治ると思って放置していたという理由で手遅れになるケースをよくみてきました。網膜裂孔は起きやすい場所があります。眼球全体の中で耳上側

が好発する部位です。そのため耳上側

に対応する視野、見える部位は鼻下側の視野です。簡単にセルフチェックする方法として片目ずつつぶって鼻下側の視界は異常がないかを注意されるのもいいかもしれません。網膜剥離の方でよく言われるのは下側から上に向かってカーテンを引かれるようにして見えなくなった。と言われます。視力低下、視野の一部がぼんやりみえるような事があれば今すぐ受診されるようにしてください。

最後4つ目飛蚊症とともに目の痛みを自覚している場合です。代表的なものはぶどう膜炎という目に炎症が起きていることがあります。ぶどう膜炎というのはその名前の通りぶどう膜という葡萄のような色をしている部分に炎症を起こします。このような目の病気になると目の中で様々な反応が起きて目の痛みと共に飛蚊症を自覚するようになります。ぶどう膜炎は黄斑や網膜に炎症を起こしたり早く治療しないと後遺症を残すことがあります。飛蚊症に加えて目の痛みを伴うような事があれば早急に眼科受診されるようにしてください。

このように飛蚊症の量や併発する症状によって重症な病気が分かったりします。その他にも糖尿病、加齢黄斑変性症、網膜静脈分枝閉塞症などによる目の中の出血、硝子体出血が原因であったり、なかには飛蚊症で癌であることが分かったりします。飛蚊症をきっかけにわかる癌で多いのは悪性リンパ腫という血液の癌です。悪性リンパ腫は全身から発症するタイプと目から発症するタイプがあります。飛蚊症をきっかけにこのような血液の癌がわかるような事もあるんですね。

ただし多くの飛蚊症は生理的な飛蚊症であることがほとんどです。ですが、問題ある飛蚊症なのかない飛蚊症なのかは冒頭でもお話した通り検査をしてみないと分からないんですね。手遅れになる前にできるだけ早めに眼科受診されるようにしてください。今回のお話をまとめますと

①急に増えた飛蚊症は注意が必要です。

②暗闇のような電気がないところでもピカッとするような光視症を頻回に自覚する場合強く網膜を刺激している可能性があります。

③飛蚊症、光視症に加えて視界が一部ぼやけたり、視力低下を起こしている場合病的なものが発症している可能性が高いです。

④視界の鼻下側を意識するのが早期発見に繋がる可能性があります。

⑤飛蚊症をきっかけに悪性リンパ腫という癌がわかることもあります。

という5点です。このように飛蚊症で色々病気が発覚することがあります。特に注意しなければならない方は次の方です。50歳以上の方、近視が強い方、目をぶつけた事がある方、糖尿病を指摘されている方、元々強い近視の状態で白内障手術を以前にされた方です。心当たりがある方は注意するようにしてください。眼科受診して問題がないことを確認していただけたらと思います。注意することは一度の診察で問題ないといわれてもそれで終わりではありません。その後も症状が続くなら定期的に受診された方がいいですし、飛蚊症が一気に増えたり今日お話したような新たなイベントが加わった時はその都度受診しなくてはなりません。一度の診察で異常がなければ今後もずっと大丈夫というわけではないんです。僕らの見逃しというわけではなくてそのときは問題なかったけどその後に網膜に孔ができるような事はよくあるんです。担当の先生の指示通りに受診していただけたらと思います。

今回はこの飛蚊症見えたら注意です、ということに関してお話させて頂きました。


(2022.9.15)