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84. 緑内障悪化させない7つの習慣

今回は緑内障を悪くしないために知っておきたい7つの習慣に関してお話させて頂きます。緑内障の治療は目薬で眼圧を下げる薬物療法が中心に行われています。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/DKQ8cNDKmNQ

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唯一確立されている治療が眼圧を下げることなので何よりも優先しなくてはならないことであるのは間違いありません。ですが日本人に多い正常眼圧緑内障は他の緑内障とは違い眼圧が正常値であるにも関わらず緑内障になってしまう病気です。そのため眼圧以外の要因、血液循環障害が原因でそれが視神経にダメージを与えているのではないかとも考えられています。今回は日々の食生活から緑内障にはあまり良くないと言われている生活習慣に関して7つお話させていただきます。

まず1つ目、食生活に関してです。これを食べたら緑内障が良くなるといったものは残念ながらありません。ただこのようなものを取りすぎると眼圧が知らない間に上がっている可能性があります。例えばコーヒーに含まれているカフェインです。カフェインは眼圧上昇に関係ある、関係ない様々な報告がありますが、最近

の報告では過剰のカフェインが眼圧上昇に関与している可能性を指摘されております。一日に2−3杯程度なら特に問題ではありませんが取りすぎている自覚がある方は注意してください。逆に積極的に摂って頂きたいものは緑黄色野菜や魚などの不飽和脂肪酸を意識して取られるのがいいです。緑黄色野菜は既にご存知の方も多いと思いますが大量のルテインやゼアキサンチンが含まれています。ルテイン、ゼアキサンチンというのはルッコラやブロッコリー、ほうれん草に含まれるカロテノイドというものです。

視神経や網膜を守るための強力な抗酸化作用があります。

ルテインなどの色素成分は緑内障にも非常に大切なんですが、残念ながら年齢と共に減少していく事が知られています。ルテインは体内では合成できないので食事から摂取するしかありません。食事で充分補えない方はプリザ-ビジョン2やルタックスなどの眼科専用のサプリメント等で補うようにしてください。ルテインだけ含まれているサプリメントを内服されている方もおられますが、ルテインを含んだ複合サプリメントを飲まれた方がいいです。

ルテインを含んだものが目に良いといわれるようになったのはアメリカのAREDSという研究がはじまりなんですが、この研究結果で言われているのはルテインを含んだゼアキサンチン、ビタミンC、Eといった抗酸化ビタミンに加えて亜鉛、銅といった微量ミネラルが含まれたものがよいと言われているからです。ルテイン単独でとるのではなく、どうせ摂取れるならこのように複合したものを取られたほうが効果的です。

魚に含まれる不飽和脂肪酸は抗動脈硬化作用があります。正常眼圧緑内障の方は視神経への血液循環障害の可能性が言われていますので、動脈硬化の予防のために意識的にとられるのはいいと思います。

2つ目、運動に関してです。適度な有酸素運動はぜひ取り入れていただきたいです。運動することで眼圧が下がるだけでなく、全身の循環がよくなるので普段運動習慣がない方はウォーキングなどから初めてみてはいかがでしょうか。有酸素運動は推奨しておりますが重量挙げをされる場合は若干の注意が必要です。息をこらえると思った以上に眼圧が上がることがあるからです。重量挙げをする場合は呼吸を意識するようにしてください。

同じく呼吸で注意することはホルンのような楽器を吹かれている方です。同じく息をこらえると眼圧が上がる可能性がありますので注意してください。

また、ヨガは注意です。頭が下になるようなポジションをとると一気に眼圧があがります。眼圧は重力と比例します。立っているときや座っているとき

一番眼圧が低いときです。身体が横になるほど眼圧が上がっていき、逆立ちになると立っている時の倍の眼圧になります。実際にヨガで緑内障が悪化していたという報告もあります。頭が下向きにならなければ問題にはなりませんが、ヨガに挑戦される方は事前に緑内障があることをトレーナーに申告しておいたほうがよいです。

3つ目、寝る時は枕をしてください。枕をせずに寝るより枕をした方が眼圧の上がり方は緩和されます。可能なら横向きやうつ伏せで寢るより仰向けで寢ることを意識してください。仰向けが一番眼圧が上がりにくいと考えられているからです。うつ伏せで寝やすいように枕をオーダーメイドで作ってみるのもいい手だと思います。

4つ目、ストレスになるような生活を避けてください。過度なストレスは眼圧が上がる可能性があります。ストレスを受けるとコルチゾールというストレスホルモンが上昇する可能性があります。これが眼圧を上げる原因になっていると考えられています。ストレスと上手に付き合う事が大切です。マインドフルネス

と緑内障の研究があるんですが、瞑想すると眼圧が下がると言われています。インドでの研究ですが、研究結果をみると1日1時間瞑想を21日間続けたら対照群何もしない人と比較したら眼圧がなんと25%、4-5も下がったという内容なんですね。瞑想することで血圧低下、うつ病や不安の軽減、睡眠の改善など他にもメリットがあるようです。だからといって毎日1時間瞑想してくださいという事はとても言えませんが、このような事からもストレスと上手に付き合うことが大切です。先ほどの話と同じになりますが、運動習慣を作ってストレスへの対策されるのがよいと思います。

5つ目、高血圧、糖尿病、コレステロールが高い場合きちんと内科的な管理はされていますでしょうか。喫煙習慣があれば出来るだけ禁煙するようにしてください。このような生活習慣病を放置しておくと動脈硬化に繋がり血流障害をきたしやすくなります。目の血管は全身の血管の中で最も細い血管です。視神経周辺の血流障害がおき、緑内障に影響を及ぼす可能性があります。緑内障でないとしても網膜静脈閉塞症、失明の原因になりやすい網膜中心動脈閉塞症の原因になります。タバコは加齢黄斑変性症とも強い関係があります。このような生活習慣病があれば見直してみる事が必要かもしれません。

6つめ目薬はきちんと使って下さい。目薬をする日しない日があってはいけませんし、逆に規定されている回数以上にさしてもいけません。たくさんさしたほうが効果があると思われて規定以上にさされる方もおられますが、規定以上にさすと逆に眼圧の下がり方は悪くなります。必ず回数を守ってください。また目薬はラタノプロストのように冷所保存のものを除けば室温保存のものが多いです。室温保存とは1−30°の範囲をいいますが、夏の時期はこの温度を超える日が多くなってきます。そのためできるだけ冷蔵庫での保存を進めています。冷蔵庫は通常2ー8°で薬事法で規定されている1ー30°以内です。冷所のほうが雑菌が繁殖しにくいこともありますので、特に夏場30°を超すような時期は冷蔵庫での保存するのがよいと思います。

最後7つ目、不注意な目の事故を避けてください。外傷性の緑内障というのがあります。これは例えば野球ボールなどが目にあたると、目の中には隅角という水の出口がありますがその部位が損傷することがあります。僕らはangle recession 隅角離開といったりますが、水の出口の隅角が損傷すると、お水の排出ができなくなり眼圧が高くなることがあります。見た目的な問題があるので中々おすすめできないのですが、野球など球技のスポーツをされる場合はスポーツ用ゴーグルをされるのが望ましいです。事故一瞬後悔一生といったりしますが、スポーツ用ゴーグルをしていれば防げたのになという眼外傷をたくさんみてきました。今までに冷やっとした経験をされた事がある方は是非ご参考ください。今回の話をまとめますと

①カフェインの取りすぎは注意が必要です。ルテインを含んだ複合サプリメントを摂るようにしてください。

②日々の習慣に有酸素運動を取り入れるようにしてください。

③寝るときは枕をした方が良いです。

④ストレスと上手に付き合ってください。

⑤高血圧、糖尿病のような生活習慣病は放置せずにきちんと治療してください。

⑥点眼は用法、容量を守って下さい。全て冷蔵庫で保存すると確実です。

⑦目をぶつけたりしないように気をつけてください。

という7点です。緑内障をよくする習慣というのは残念ながらないのですが、今の状態から更に悪くならないようにポイントをまとめさせて頂きました。冒頭でもお話した通り緑内障の治療で唯一確立された治療は眼圧下降しかありません。ただ正常眼圧緑内障は眼圧以外の要因もあるのではないかと以前から議論されており未だにはっきりしていない部分もあります。その中で様々な報告からこういった習慣があれば注意してくださいといったことに関してお話させて頂きました。今回は緑内障で注意したい7つの習慣に関してお話させて頂きました。


(2022.9.3)